プラスドライバーの刃先には、山のような形をした4枚の羽がついている。この羽は、正確に当てないとネジの頭にある溝を削ってしまう。ネジを回せなくなる。プラスネジ時代のいま、この失敗はひんぱんに起こる。 溝が削れたネジを回せるドライバーのひとつに、兵庫県小野市のトーコマがつくっている「エアロビクスドライバー」がある。 一見、普通のドライバーである。よく見ると、刃先が普通のものとはちがう。十字に交差している4枚の羽のうち向かい合う2枚の羽の先端が小さく欠けている。 ネジ溝が削れたといっても溝がすっかりなくなる事はめったにない。一部は残っていることが多い。溝にぴたりと合う羽であれば、その、わずかに残る溝をさぐりあてることができる。なかでも底部の溝は残りやすい。羽の先端を書いた刃先はそこまで届く。。 この刃先は新しいネジにも使える。ネジの溝に刃先を差し入れると,ネジが離れられなくなるほど食いつきがいい。更に強く食い込ませれば,ネジをつまんでドライバーをつり下げることが出来る。 この機能は、手が届きにくい高所や狭い場所でネジを打ち込むときに役立つ。 小野市は、隣の三木市と並んで刃物の街である。トーコマは、「肥後の守」を1920年代から、つくってきた。ドライバー製造に転じたのは、60年代である。 ドライバーメーカーとしての知名度は低く、販売店に製品を置いてもらおうとしても、特別の機能がないと扱えないといわれた。 ドライバーは単純構造である。新しい機能,新しいデザインのドライバーを求められても、開発には時間が必要だった。 刃先の薄いドライバーを発売したのは、87年のことである。 カモのくちばしに似た、薄い刃先は板と板の間にもすっと入り,バールとしても使えた。これが、初代の「エアロビクスドライバー」だった。 91年に2代目の「エアロビクス2」、98年に3代目の「ハイパワーエアロビクス2」を発売した。初代の出荷両は月に500本だったが、いまは2代目と3代目を合わせて4万本に達している。 (小林 好孝)
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