ト音記号

遠い朝焼けが消える
瞼の裏にこびりつくビルの影

酒でも飲まなければ
声を張り上げなければ
昨日からやってくる冷たさに
心を掬われてしまうことになる

大量生産的システムの毎日
隣を走り抜ける風の音

寂しさに打ちひしがれて
悲痛に似た叫びが
眠ってしまいそうな僕を
殺してしまいそうな僕を
暗闇に閉じこめてしまいそう

少しは明るくなった窓が
変化していく時代を奏でていた