詩とイラスト[ Like A Moon ]コトバノカケラ 詩集7 あの日のカイガラ

あの日のカイガラ

昔のように純粋じゃなくなってしまったから
悲しいときにすすり泣くことが出来ないかもしれない

忘れてしまったあのときの温もりを
いつまでも抱いて暮らすことは
してはいけないから、ボクは雨の中で
激しく肩を震わせ呼吸を整えるのが
精一杯だった

何かを思い返そうとしても
流れ行く時間を乗り越えることができなくなって
確かにあった貝殻さえも手にすることができない

あの時、あの瞬間、踏み外れてしまった
道の代償を心の傷として背負わなければいけない

正しいも間違いも判別する必要はないけれど
確かに「ボクらしさ」の中にあった
速度や安らぎは元には戻らない

無くせばまたやってくる波の隙間に
少しずつでもいいなくしてしまった
「ボクらしさ」を取り戻せるのだろうか…