明日、君に
君に出会うのは これで何回目だろうか...
初めて君を見たのは月夜の晩の滑り台の上。
寂しそうに砂場に作られたお城を見つめ、
口笛を風にのせ、誰かを呼んでいた時だった。
次に君に会ったのは、そうあれは偶然だったと思う。
線路に掛かった横断歩道の上で大事そうにバックを抱え、
足早に夕暮れの中を走っていた。
三度目からは、目を合わせる度に君の小さな手と
ソフトクリームを持ったボクの手を振り合って、
奇妙な挨拶を交わす様になった。
でも、時折見せるうつ向き加減の瞳と
小さな唇からささやく様にこぼれ落ちる
ため息が気にかかっていた。
ボクが君の体を抱きしめたあの朝は、
太陽がキラキラとボク達の体を通り抜けた。
風が二人の間をより近付かせてくれたから、
君の冷えきった体を強く壊れてしまうぐらいに、
抱く事が出来たのかも知れない。
56回目に君に会った時には、君はボクの彼女になっていて、
暑いのにも拘わらず手を繋いでいた。
ボクが指で合図を送ると、君が返事を返す。
ボクが強く握ったら、キスの合図。
今度は、
優しく2度振ったら、ボク達は...
そんな事が起きれば良いと思い描く、ボクの夜の楽しみ。
明日は、272回目の君に会いに行く。