街の風景
街の風景をこんなに高い所から眺めると、
少しだけ雲になった気分になる。
春の優しい日差しと、夏の爽やかな風と、秋の夕暮れが
ボクの頬に触れ、ボクは、生きている事を実感させられる。
いつしか、草原に立って冬の寂しさを持ってたら、
気の遠くなるような程のレンゲ草の花が一瞬で咲いて、
すぐに枯れた。
季節のない風が強く体を揺さぶり、ボクは襟を少しだけ立てて、
足下に咲くタンポポの花びらを一枚一枚取りながら、
「好き、嫌い」と時間を占った。
花びらが一枚残ったところで、「嫌い」だったから、
ボクはそっとタンポポを元の場所に戻した。
すると、タンポポは一枚だけ花びらを出し、
そのまま元に戻った。
ボクはちょっとだけタンポポに笑いかけ、
草原を去って、街の見えるこの場所へ足を運んでいた。
月夜の晩に大きく深呼吸して、スキップしながら
街の中へ潜り込んでいった。
街灯は相変わらず下を向いていたから
「おっす!諸君元気にしているかね?」
と、声を掛けながら歩いていった。
いつの日か、また、草原に立って思いきり風を体に受けて、
「うはは」と大声で笑いながら、
ぽかりと浮かぶ三日月に
「今宵のご機嫌は如何かね?」
と、尋ねよう。
街の真上であくびをしている三日月に。