詩とイラスト[ Like A Moon ]コトバノカケラ 詩集4 街の風景

街の風景

街の風景をこんなに高い所から眺めると、
少しだけ雲になった気分になる。

春の優しい日差しと、夏の爽やかな風と、秋の夕暮れが
ボクの頬に触れ、ボクは、生きている事を実感させられる。
いつしか、草原に立って冬の寂しさを持ってたら、
気の遠くなるような程のレンゲ草の花が一瞬で咲いて、
すぐに枯れた。

季節のない風が強く体を揺さぶり、ボクは襟を少しだけ立てて、
足下に咲くタンポポの花びらを一枚一枚取りながら、
「好き、嫌い」と時間を占った。

花びらが一枚残ったところで、「嫌い」だったから、
ボクはそっとタンポポを元の場所に戻した。
すると、タンポポは一枚だけ花びらを出し、
そのまま元に戻った。

ボクはちょっとだけタンポポに笑いかけ、
草原を去って、街の見えるこの場所へ足を運んでいた。

月夜の晩に大きく深呼吸して、スキップしながら
街の中へ潜り込んでいった。

街灯は相変わらず下を向いていたから
「おっす!諸君元気にしているかね?」
と、声を掛けながら歩いていった。

いつの日か、また、草原に立って思いきり風を体に受けて、
「うはは」と大声で笑いながら、
ぽかりと浮かぶ三日月に
「今宵のご機嫌は如何かね?」
と、尋ねよう。

街の真上であくびをしている三日月に。