2003.09.15 バンプレストの人気SLGシリーズ第三作目。 とはいっても、ぼくはこの3が初めてですが。 なんとなーく興味を引かれて買ってやってみたのですが、結論は 「初回プレイは面白いがセカンド以降はイマイチ」 という、マルチエンディングを謳ったSLGが最も犯しやすい過ちを見事にやっちゃった ゲームでした。 その根拠を以下に書いていきますが、掻い摘んで言えば上記「」内の一言で済む話です ので、その点留意してお読みください。 さて、最初にゲームシステムの簡単な説明。 アドンベチャーパートでマップのあちこちに移動し、そこで会ったキャラとバストアッ プCG付きの会話をし、ストーリーの要所要所で戦術シミュレーションゲームになる…と いう、よくあるタイプのゲームです。 サクラ大戦でもスパロボでもうたわれるものでも、何でもいいのでプレイ済みのゲーム を思い浮かべていただければよろしい。 アドベンチャー部分ではキャラがしっかり立っていて、シナリオもそれなりにいい感じ (お約束な展開ではあるが)だし、戦術シミュも「クリアするだけなら容易いが好成績を 狙うとかなり苦労する」という絶妙のバランス。 クリアまでに40−50時間はかかるけど、それが苦にならない。 ファンが多いのも頷ける内容です。 しかし。 しかしですよ。 これはあくまで初回プレイ時のお話。 エンディングも終わり、セカンドプレイを始めてみると、愕然とします。 ストーリーがほぼ一本道なため、シナリオ面での目新しさなど皆無に等しい。 その上メッセージスキップ機能は既読のみ(しかもマニュアルに記載されていない隠し コマンド)という不親切さ。 さらに戦闘面でも、多少は楽になりますが、基本的に時間がかかる仕様であるため、サ クサククリアしていく、ということは望むべくもない。 当然、セカンドプレイでも10時間やそこらでは到底終わらず、初回プレイ時と同じく らいの時間をかけなければクリアできないのです。 これでは、セカンドプレイをしようという気になれません。 セカンドプレイではプレイ時間を大幅に短縮できる工夫をするか、キャラ毎にシナリオ を変えるくらいのことはすべきです。 それが出来ていないゲームが大変多いのですが、残念ながら本作もその例に漏れなかっ たようですね。 ってかこれ三作目なんだろ…なんでこんな初歩的なミスやるんだよ…。 というわけで。 冒頭に書いた通り、本作はキャラ・ED設定とシステム・シナリオ設定が全く別方向の ベクトルを向いてしまった、残念な一本です。 願わくば次回作ではこの点が改善されていますように。 余談。 最近の流行は「ヒロインが複数います、複数回遊べますよー」なキャラ設定ですよね。 それは大変に結構なことですが、複数回遊ばせることを前提としたキャラ設定になって いるならば、システムも複数回遊べる設計にすべきです。 「キャラ毎にシナリオが変わる」とか、「セカンド以降は既読メッセージがスキップでき る&戦闘が大幅に楽になる」などのように。 つまるところ、PCエロゲの設計思想で作れということなのですが、PCエロゲ──もっ といえばビジュアルアーツフォーマットのADVシステムは、「複数回遊ばせる」という 面から見れば、究極とも言えるシステムだと思うのですよ。 まあその代償として、エロゲはソフトの消費が早いという面もありますが。 単なる時間稼ぎでダラダラと長く遊ばせるより、短期間でも至れり尽せりで楽しめる方 がずっといいと思うんですがね。 また、サモンナイト3タイプのSLGには、偉大な先達「タクティクスオウガ」も存在 します。 こちらはセカンドにデータを引き継げないし、メッセージスキップ機能もないけれど、 選択肢でシナリオが大幅に変わるので、一プレイ30時間とかかかっても、L・N・Cの 三ルート分キッチリプレイしようという気になります。 セカンド以降の楽しみがちゃんと用意されてあれば、システム的な配慮が無くても、何 周回でもプレイするのですが。 これが出来てないゲーム多すぎ…。