Screen/PS
 
 
2001.3.9
 
 知る人ぞ知るエロゲ「Campus 〜桜の舞う中で〜」の一般移植作。
 移植したのはもちろんKID。
 KIDお得意の「エロシーンだけを取り除いた移植」です。
 …とは言っても、決して下手くそな移植ではありません。
 そもそも「Campus」自体がシステムの悪いゲームだったらしいのですが、その辺をメモオフなどで培ったギャルゲの一般フォーマットとでも呼ぶべきシステム(つまりはKanonなどのエロゲと同じシステム)に置き換えることで、快適に遊べる環境を再構築することに成功しています。
 シナリオ面でも、一部のキャラはあからさまにHシーンだけを取り除いたのがわかっちゃったりもするんですが、概ね許せる範囲内。
 スーパーライトで1500円という値段を鑑みれば、過分なまでに楽しめること間違いなし。
 ギャルゲーマーならこれを買わずしてどうする! と言える一本です。
 
 
 このゲームのOPストーリーは、
東京で一人暮らしをしている大学生の主人公の下へ、同じ大学に合格した唯一の肉親である義妹がやってくる
という、極めてギャルゲ−らしい物。
 他のヒロインたちも、幼馴染、可愛い後輩、おっとりした先輩、ダウナー系巫女さんと、これまたギャルゲーマーのツボを狙い撃ちするかのようなキャラばかり。
 しかしッ!
 しかしですよ。
 そう思わせておいて実は…というどんでん返しがちゃんとあります。
 こういう手法は、ストーリーがしっかりしているからこそ出来るんですね。
 ただ、少し選択肢チェックが厳し目かも。
 まぁネットで攻略情報を拾っておけばそれで済む話ではありますが。
 
 
 …と、まずは良いことを書きました。
 しかし残念ながら粗もあります。
 まずCGにハズレがあること。
 おそらくはHシーンのCGを削除した分の追加CGなのでしょうが、はっきり言って浮いている。
 他のCGとの兼ね合いが取れないくらいに下手。
 これなら無い方がまだマシだった、零でもマイナスよりは良い。
 また、もう一点の粗として、シナリオは一本道である、ということがあります。
 EDは複数あるのにシナリオは一本しかないので、ED分岐は選択肢チェックに依るのですが、これが極めてわかりにくい。
 まともにやってたら多分わかんねぇです。
 上で「選択肢チェックが厳しい」と書いたのはこのこと。
 特定のキャラのエンディングを見るだけならともかく、全CGを埋めるのは自力ではかなり難しい。
 まぁでも、これらの粗は見過ごしても良い程度の物なので、特に気にしないでゲームを遊べます。
 
 
 ところで。
 このゲーム、実はゲーム本編以外の部分で無駄に力が入っています。
 例えばシステムメニューの「音声の大きさ」にカーソルを合わせると、なんと登場キャラたちのしりとりが聞ける。
 二〜三分はしりとりで喋り続けてくれます。
 また、タイトル画面「おまけ」内には「ヒント」という項目があり、ゲーム攻略に際してのちょっとしたヒントを聞くこともできます。
 さほど役には立たなかったりもするんですが、それでもこーゆーところで無意味に力を込めるセンスは大好き。
 この辺も含めて、このScreenはお薦めです。
 世紀の傑作とは言えませんが、良作であることに間違いはありませんから。
 
 
 ………以上、ゲーマーとしてのScreenへのコメントでした。
 以下はギャルゲーマーとしてのタワゴト。
 
 このゲームには、いわゆるエンディングトラップのようなものはほとんど無いのですが、智里シナリオだけは、麻由美シナリオを終えてから遊んだほうが良いです。
 絶対その方が良いです。
 あと個人的には舞子シナリオ・彩女シナリオはトリに回して欲しい………。
 四人分のシナリオをコンプリートしてから、舞子、彩女と行ってこのゲームを終えるのがもっとも美しく終われると思います。
 舞子と彩女のシナリオは、エンディングまで含めて最も胸に残る。
 ってゆーかメインヒロインは絶対彩女だ。
 特に気に入った三本のシナリオについて、感想。
 当然ネタバレなのでネタバレガード発動。
 
 
智里シナリオ:
 まさか麻由美の変装だったとわ…。
 智里が言っていた「同級生の男の子」ってのは主人公のことだったんですねぇ。
 全然気付きませんでした。
 これは上手いと素直に思います。
 あとエロシーンの存在が一番顕著なのもこのキャラのバッドシナリオ。
 まぁねぇ…『智里』と主人公がそこまで深い仲になってしまうと、『麻由美』はやりきれないだろうからねぇ…。
 この智里シナリオは実に見事でした。
 
 
舞子シナリオ:
 二つのSADエンドがきつかった…。
 あまりにも悲しすぎ。
 舞子と引き離されるパターンでは舞子だけが先に死んでしまうし、交通事故で死んでしまうパターンでも、舞子はすぐに衰弱死してしまうし…。
 でも、二人であの世へと旅立つシーンで終わるというのは新しいです。
「俺、もうちょっと待つつもりだったんだけどな」のセリフでは少し感動しました。 
 ある意味、ハッピーよりも良かったかも。
 
 
彩女シナリオ:
 ぼくはこの手の転生モノに極めて弱い。
 いや、やっぱ転生モノは燃えるでしょ。
 この彩女シナリオもねぇ…燃えまくり。
 源四郎とクレーベルの生き様は熱かった。
 シナリオ的に舞子を喰ってるよなぁ…だから彩女が真のヒロインなんて言われるんだ。
 まーいーけど。
 
 
 なお余談ですが。
 Campusはかなり前から「いつか遊ぼう!」と思っていた一本で、ぼくは今回それと気付かずに遊んでしまったわけです。
 期待を裏切られることなく、ぼくは凄く気に入ったんですけど…うーん、やっぱPC版も遊んでおいた方が良いのかな。