Prismaticallization/PS
 
 
1999.12.5
 
 タイトルは「プリズマティカリゼーション」と読みます。
「何度目覚めても始まるのは同じ一日」という設定に色々期待しながらプレイしたんですが、
何か違わない?というのが最初の感想です。
 ぼくの予想していたゲームシステムでは、
 
・例えば朝七時半に目覚める。
・一日いろいろイベント起こしたりして、十時半に寝たとする。
・翌朝目覚めると、また同じ一日が始まる。
・ただしほんのちょっとだけ、前回とは違う事が起こる。
・これを積み重ねていって、最終的に事態の核心に迫る。
 
 みたいな感じだったんですが。
 実際のゲームでは、朝九時頃、避暑地の山荘へ向かうところからスタート。
 一日が終わって翌日、朝のイベントが起きる。
 んで九時くらいになったらいきなりブツッと終わる。
 そしてまた避暑地の山荘に向かうところからの再スタートになる。
 何で突然途切れるワケ?
 全く訳が分からん。
 しかも主人公が変に爺臭い。
 モノローグで妙なことバッカリ考える。
 蹴っ飛ばしたくなるね。
 …まぁ、基本的なシステム回りは整っているし、ここのレビューとか読んでみると、エンディングを見たか否かで
評価が分かれるっぽいので、エンディングを見るまでプレイしてみるつもりです。
 誰狙いかって?
 そりゃもちろんみゆに決まってるじゃん(笑)
 
 
1999.12.6
 
 ファーストプレイ終了。
 計画通り、みゆエンディングを見ることが出来ました。
 しかし、何がなんだかサッパリ。
 どーいった理由から今回の一件が起きたのか、それすら分からない。
 謎が全然解明されてないよ。
 
 一応エンディングまで見たので、ゲームのシステムはほぼ把握できました。
 が、このシステムにも難がある。
 これ、「サークレイトアドベンチャー」なんて銘打ってはいますが、システム的には従来のフラグ立て式ADVと大差ありません。
 具体的に言いますと、
 
・初日にAという行動を起こし、それを『記録』する。
・翌日、Aの『記録』を『解放』することで、AではなくBが起こる。
・さらに翌々日、Bを『解放』することでCが起こる。
 
 …というのが基本的な進め方。
 で、『記録』するかどうかはプレイヤーが選べますが、『解放』は任意ではありません。
 自動的に解放されます。
 だからちょっと考えれば分かるとおり、もしCを『記録』し損なうと、またAからやり直さなければならないわけです。
 これが一番痛い。
 せめて、一度『記録』した情報については、ゲームスタート前にプレイヤー側で自由に操作出来るようにして欲しかった。
 それだけで格段にプレイしやすくなったのに。
 これは「アトラク=ナクア」を思ってもらえれば分かりやすいでしょう。
 他にも、主人公がやたら博識すぎる事やぶつ切りで終わる通常のゲームスタイル等々、不満点はいくつかあります。
 しかし、それでも何故かプレイしてしまうだけの力があります。
 精製されていないダイヤの原石、みたいな感じです。
 粗は多いけれど、それでも惹きつけられる何かがある。
 同じ事の繰り返しでゲームを進めていくので、根本的にはルーチンワークなはずなのに、それが純粋に楽しい。
 他のゲームにはない魅力が確かにあります。
 アークシステムワークスには、今回の経験を生かして、このシステムを昇華させた新作を作って欲しいです。
 きっと、もの凄く面白いソフトになると思う。
 …とゆーわけで、このソフトは一度プレイしてみる価値はあると思いますが…人を選ぶソフトであることも確かだなぁ。
 
 
1999.12.7
 みゆ以外の四パターンのエンディング見ました。
 マニュアルにエンディングは五パターンだと明記されているので、実質的にシナリオはほぼ見終えた事になります。
 総合的な感想ですが。
 このゲームを作った人は、たぶんもの凄く頭のいい人なんだと思います。
(ここでいう「作った人」とは、YU-NOに於ける剣乃氏、という意味合いです)
 こういった発想ができるのは凄いことだと思うし、
「おおっっっっっっ!」と唸ってしまう展開も見せてくれます。
 でも、確かに凄いけど、残念ながらその頭の良さは、「ゲームを作る」という方面にはあまり発揮されていないようです。
 ゲーム全般通して説明不足。
 僅かな情報を元にユーザーに考えろと言っているのかもしれないけど、それにしたって絶対的に情報が足りない。
 解決出来ない謎がいくつも残ってしまう。
 システムの不備も上記したとおりです。
 もうちょっと、「ゲームをプレイヤーに見せる」という事を考えて欲しい。
 それを踏まえてゲームを作ることが出来れば、絶対にすっごく面白いゲームが作れると思う。
 「Prismaticallization」にしても、修正すべき点はいくつもあれ、それでもプレイヤーを惹きつける求心力はもっていますから。
 この面白さが分かる人なら、絶対に楽しめるだろうし。
 粗がありますけれど、それでもキラリと光る物を持っています。
 今回は実験作ということでもいいから、次はこれを改良した物を出して欲しいですね。