2000.9.11
この背景CGを使うのは久しぶりだなぁ。 つまりはその程度の出来のソフトです。 ハイ。 AIRと同時期に買ったソフトですが、知名度はAIRの百分の一以下。 完成度は一万分の一以下。 CGが気に入り、雪色のカルテを出したメーカーだったから多分大丈夫だろうと信じて買ったのですが。 結論。 「信じる者は救われる」という諺は、「信じる者は足を掬われる」の短縮形なんじゃないかと思いました。 まずパッケージにはキャラ紹介とゲーム写真がいくつか載ってるだけで、ゲーム内容は何なのか微塵も書いていない。 それもそのはずで、一言で言えば「ファンタジー世界の『卒業』」だからです。 ヒロインの名前もいかしてる。 一人目、ナルカミ・アカネ。 日本名の名字は里村? 二人目、アサツキ・セリカ。 魔法使いを目指す少女だし、ちょっとした魔術や占い、降霊術なんてお手の物でしょう。 三人目、ビアンカ・アルテミス。 八年くらい石になってませんでしたか? 四人目、シャスタ・バネット…これだけはオリジナル。 ついでにパッケージ裏面のシナリオ煽り文句も紹介しましょう。 優勝した者だけが授けられる「賢者を継ぐ者のローブと杖」 それを手に入れた者だけが、「一人前の魔法使い」として認められる……… 3年に一度、2つの赤い月が昇る日に行われる 「赤い月の戦い」 文章並びの順番を間違えてる上、どことなくへたれてる文章です。 それでも買ったぼくもぼくだが。 さて、それではゲーム内容ですが。 主人公は「剣と魔法の大学校」というエリート(らしい)学校から、「剣と魔法の学校」という母校へ教育実習生としてやってきた青年です。 しかしそれは表向き。 学校について早々校長に「君の受け持つ四人の少女は力がある、君が伸ばしてやってくれ」とか「それ以外にも君に頼みたいことがあるが、表向きは教育実習生ということにしておく」とか「彼女たちは本当は良い子なんだよ」とか「君しか頼れる人はいないんだ」とかさんざんのたまってくれます。 マニュアルを含めてプレイヤーに対する説明は一切無し。 主人公がどんなすごいヤツなのか全くわかりません。 スタートダッシュでいきなりプレイヤーを置いてけぼりにしてくれます。 えーと…その後のシナリオは、なんか適当に選択肢選んでたら二章でいきなり「お兄ちゃん」キャラとHしてその後なんとなく話が進んで五章でいかにも〜な男キャラが出たと思ったらやっぱり魔族で魔族を復活させて世界征服を企んでたけど四人でやっつけてああ良かったねデメタシデメタシ。 終わり。 いやぁ、実に素薔薇しいシナリオでした。 あかほりさとるが酔っぱらった頭で十秒で考えたような素薔薇しさ。 これを定価の\8800で売るのは犯罪以外の何物でもないと思いました。マル。 このゲーム、だいたいにしてふざけてます。 主人公はゲーム中一言も喋りません。 だからシナリオ(…と呼ぶのはAIRやTHのシナリオに対する冒涜のような気もするが)の進行に唐突な印象が拭えない。 クロノトリガーじゃあるまいし、少しはしゃべれ。 もちろん、ストーリーテリングが素晴らしく巧みだと言うのであればまだわからなくもありませんが、このゲームの文章レベルはあかほり並み。 選択肢だって、ヒロインの行動に対して 「困惑した表情で」 「快い表情で」 「不安げな表情で」 「考え込んだ表情で」 「小気味よい表情で」 等が三つ表示され、一つを選ぶだけ。 しかも選択肢は内部フラグのみに影響を与えているようなので、どの選択肢を選ぼうが、選択肢直後のヒロインの受け答えは全く同じ。 だからどういう効果があったのか極めてわかりにくい。 そもそもゲーム自体、OPからEDまで一時間もかからない極めて短いもの。 何度も繰り返し遊ぶにはまぁ好都合だと言えなくもありませんが、シナリオ分岐もヒロイン毎の小さなもの程度っぽいから、CG以外では繰り返し遊ぶ魅力もない。 シナリオの最終的な部分は、ホンのちょっとは見られない事もないんですが、見せ方が下手だから全然盛り上がらないし。 エロゲの平均点を大幅に下回る出来であることは間違いないです。 これは買ってはいけません。 ところで、何故今回は久しぶりにこの背景CGを使ってのレビューにしたのか、ということですが。 このゲーム、絵がもの凄く好みなんです。 絵に惚れて買った。 褒めるべき点が少ないこのゲームもCGに関しては気を使っているらしく、なんと全CGがイベントCG扱いになっている。 実際使い回しのCGは一枚もない。 現在一般的になっている、「背景CG+立ちポーズの使い回し」という構図が存在しないんです。 それらのCGはほとんどがぼくの好みの絵。 つまりCGに関しては、(ぼくの基準では)全く問題がない。 なのに、それ以外があまりにも酷すぎる。 前作「雪色のカルテ」で多少なりとも良い評判を得たのだから、少なくとも及第点の物を作るだけの力はあるはずなのに、それを忘れたかのようなエロゲ界の最底辺クラスのソフトを発売した。 それが残念で悔しくて、それでこういうレビューを書こうと思ったんです。 絵に惚れて前作の評判を信じて勝手に期待して裏切られたぼくの憂さ晴らしだと言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが。 とにかく、絵は悪くない。 今時のアニメ絵のお約束コテコテな絵柄ではありますが、ギャルゲーマーなら好感を抱く。 ああ、せめて「可もなく不可もなく」程度でも良かったのに…どーしてここまでダメダメにしちゃったのかなぁ。 2000.9.12 まず昨日の訂正と補足。 「雪色のカルテ」を作ったのはPeachではなくTOPCATだそうです。 TOPCATは「果てしなく青い、この空の下で…」で今話題のソフトメーカーなので、説明するまでもないでしょう。 Peachは販売しただけだとか。 雪色のカルテのスタッフの力は健在だったわけですね。 この点に関しては、全くの誤解でした。 TOPCATのスタッフには全くの謂われのないイチャモン。 謝罪します。 では本日の主題。 上でさんざんこき下ろした酷評をしましたが、それでもこのゲームで遊んでいます。 アイドリング状態のAIRすら遊ばずに、この「駄目エロゲの理想が形を取ったような」(from ガンダム0083)駄作で遊んでいます。 それっっっっっっっっくらいに絵が好みなんです。 ゲームシステム・シナリオ・音楽・CVあらゆる面で褒められない出来であっても、それでもCGのためだけにひたすら苦行に耐えています。 しかし、選択肢の効果が嫌になるほど(本当に嫌になるほど)わかりづらいため、今日三回遊んで三回ともバッドエンド。 CGまで思い通りに見られないんだったらこのゲームに価値なんて無いじゃねぇか! …と思ったのですが、さすがにネット界は広い。 このゲームを攻略しているページが結構あった。 (ここで探してみて下さい) 明日は攻略情報を元にCGを回収する予定です。 一プレイ三十分くらいだから二時間程度かなー。 アハハハハ……。(乾いた笑い) ……はあ。 ああ、これでゲームそのものもまともだったなら。 本当になぁ、ゲームが良い出来だったら、宣教師として布教活動に勤しんだのになぁ。 こんなゲームを人に薦めるのは嫌がらせでしかないからなぁ。 なお、前回から絵が良い絵が良いとくどいほど繰り返していますが、これはあくまでも”ぼくの基準では”ということです。 ぼくのツボをついた絵ではありますが、一般的には中の上〜上の下程度でしょう。 ぼくの贔屓目も多分に入っているので、再三繰り返している「CGが良い」発言は話半分に聞いておいて下さい。 2000.9.13 やっぱり今日も遊んでしまった。 昨日得た攻略情報を元に三十分でヒロイン一人をコンプリートしたんですが、やっぱりCGだけは本当に素晴らしく良い。 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、惜しい。 このゲーム内容にこのCGは釣り合わない。 ぼくはこのゲームを中古で\3500で買ったのですが、この価格ならCGだけで十分元が取れそうです。 それくらいCGが気に入った。 CGを一枚か二枚コピペで取り込んで参考のために表示させようかとさえ思いました。 ああ…しつこいようだけど、これでゲームもCGに見合う出来だったらなぁ。 しかし、なんだかんだ言いつつそれでも遊んでいるぼくは、世間一般的にはファンになったと考えるべきなのでせうか? 2000.9.15 ついにCGコンプリート。 一プレイ二十分程度とはいえ、本当にどうしようもないクソゲーをここまでやり込んでしまった…。 いや、もう正直に認めます。 ぼくはこのゲームが好きになってます。 CG以外はまるで見るべき所もないゲームで、キャラクターだってしっかり立ってないし、音楽やCVもさしたることはなし、ことにADVの肝であるシナリオが全然取るに足らないものであるにも拘わらず、それでもぼくはこのゲームが好きになっています。 Kanon以上に薄いエロシーンしか無いエロゲなのに、それでも好きです。 ギャルゲーにおいて絵がいかに重要なのかヒシヒシと痛感しました。 絵だけで惚れたバカがここにいますから。 うーむ、CG系サイトならこのゲームの二次創作CGとかあるやもしれん…探してみよ。 |