みずいろ/Windows
 
 
2001.4.29

 ねこねこソフトの第三作目。
 一作目「White」を出した時点では無名だったけれど「銀色」になって一部のユーザーの注目を集め、そして「みずいろ」でついに大手メジャーデビュー!
 …というのはまぁオーバーだとしても、「みずいろ」はかなりの注目作であることは間違いありません。
 前作「銀色」とは打って変わって明るい学園ラブコメモノとなったので間口も広がったし、ほのぼの純愛系エロゲとしてかなり良い出来でもあるので、大いに売れそうです。
 
 
 このゲーム、システム面ではほとんど語ることはありません。
 「銀色」で培ったシネマティックノベル形式を一部の演出で用いているとは言え、基本的にはお馴染みビジュアルアーツ系のシステム。
 ギャルゲ・エロゲで見飽きてきたシステムなので、システム的な目新しさはありませんが、その分スムーズにゲームに入り込めます。
 ゲームのメインとなる部分もシナリオ・キャラであるので、別に問題はないでしょう。
 「バグが多い」との噂もちらほら聞きますが、ぼくは何ともなかったので多分大丈夫です。(←いい加減な根拠)
 インストール後に修正パッチを当てておけば問題なく動作するはずです。
 
 
 さて、ではシナリオとキャラについてですが。
 まずキャラはとにかくギャルゲーマーの萌えのツボを的確に突いてくれるキャラばかり!
 ギャルゲ好き人間なら絶対に陥落させられるキャラが一人や二人はいるはず。
 気立てのいい妹・ポンコツだけど素直な幼馴染み・勝気な同級生・大人しい後輩、それに先輩(先輩にはまだ会ったことがないのでどんなキャラなのかよくわからない)。
 よくもまぁここまで見事に萌えるキャラを作ったものです。
 シナリオももちろんユーザーの期待を裏切らず、見事なまでに萌え萌えなシナリオとなっています。
 それでいて、単に萌えるだけのシナリオとしてはいないのがねこねこの凄いところ。
 ぼくはまだへっぽこ幼馴染み早坂日和・大人しい後輩進藤むつきの二人しかエンディングを見てはいないのですが、どちらもグッときました。
 銀色のときのように涙腺が決壊することはありませんでしたが、それでもかなりいけてます。
 一方のCGも極めてハイレベルで、つい一ヶ月前にWhite遊んだばかりの身としては、ねこねこソフトの画力のレベルアップの早さに驚くばかり。
 演出・音楽面にも不安要素などまるで無く、総合的に見てとにかくレベルが高い。
 このソフトは2001年エロゲを代表する一本となること疑いなし!
 ねこねこのファンならずとも遊んでおく価値のある一本です。
 
 
 以下、ヒロイン毎のネタバレ感想。
 
早坂日和:
 初回プレイだったんですが、ヒロインであるか否かでキャラの設定が変わるというのは面白いアイディア。
 セカンドプレイのむつきちゃんシナリオの時には何食わぬ顔して同級生やってたんで笑いました。
 それはさておき。
 シナリオはかなり良かった。
 さすがは片岡とも氏。
 睡眠中に現れるゴースト日和の記憶は、実体日和にはないはずなのに、それなのにラストでストローを指にくるくる巻きつけるシーンは感動モノ。
 おまけシナリオのえちもシチュエーションがかなりいかしてる。
 CGの枚数、ディレクターの片岡とも氏が唯一シナリオを書いている、ということから考えて、おそらくはみずいろのメインヒロインでしょう。
 タイトル画面の「みずいろ」もひよりんだし。
 とりあえず、幼馴染みキャラを「なんでもできる優等生」から「ポンコツヒロイン」にしたねこねこソフトは
「目の付け所がシャープ」ですな。
 
 
進藤むつき:
 子供時代編の時点で既にオチが読めた。
「もしかして、もしかしたらと思ったけれどホントに、もしかしていたとはね」(byリルカ)な気分です。
 しかしそれでもシナリオとしての良さは全然損なわれていない。
 中盤ちょっと中だるみするけれど、ラストの演出は素晴らしいの一語。
「赤いリボンは別の女の子に贈ったんだ…」と言ってみずいろ(←みずいろであることに注意!)のリボンを贈るなんて、格好つけすぎだぜ主人公!!
 それはそうと、この子って実は本名不詳なんですよね。
 エンディング・おまけシナリオ共に明かされなかったし、他のキャラのシナリオでも下の名前は出てこないし。
 この「わざと名前を出さない」というのも演出的に上手いな〜と思いました。
 個人的に、本名は「進藤さつき」って気がします…「進藤むつき」「進藤さつき」なら語感も良いし双子らしい名前な気がするので。
 ところで、(以下Whiteのネタバレ含むのでWhiteのページに移行)
 
 
2001.4.30
 
 片瀬雪希役の声優さんって、前作「銀色」で朝奈ちゃん(三章のヒロイン)を演じてた人っぽい。
 確証はないけれど、耳で聞く限りまず間違いないと思う。
 
小野崎清香:
 これまた萌えさせてくれるシナリオでした。
 最初は喧嘩腰だった清香が少しずつしおらしくなっていく辺りは、お約束ですが実に良い。
 この清香シナリオは、日和とむつきちゃんのシナリオに比べれば、一番「普通」なシナリオだと思います。
 まぁ何日も同級生の女の子の家に泊まりこむってのは非常識といえば非常識ですが、えてしてこういう「喧嘩友達」ってのは、ちょっとしたきっかけさえあれば、良い恋人になれると思うんですよね。
 遠慮せずにガンガン言い合うってのは、裏返せばそれだけ相手を理解し信頼しているからこそ出来るわけで。
 その「きっかけ」の描き方が上手かった。
 おまけシナリオ…スクール水着、さらに風呂場でやっちまうとは…「もはや語るまい」(byアナベル・ガトー)。
 
 
2001.5.1
 
 日和がポンコツなのは、CVの力が大きいんだと気付いた。
 メッセージやCGを見る限りは、まぁポンコツではあるけれど、どうしようもなくポンコツという感じはしない。
 あの力の抜ける間延びした声があるからこそ、日和はポンコツ幼馴染みなわけで。
 CVがここまで大きい意味を持っているエロゲって初めてかもしれぬ。
 
片瀬雪希:
 そこそこの出来でした。
 特にガーッとくるものはなかったけれど、さりとて駄目なシナリオでもなかった。
 とゆーか、ほとんど「裏日和シナリオ」になっていると思うのですが。
 日和が不幸すぎる…うーん、他にやりようがなかったのかなぁ。
 何も日和を当て馬にするこたぁなかったと思うんだが。
 例えば雪希ヒロイン時のみ雪希の設定をちょっと弄くって、親や親族が引き取りにくるとか…。
 それに主人公の態度も気に喰わん。
「銀色」三章主人公の鍋島奉行も優柔不断だったが、雪希シナリオにおける健二はそれ以上に優柔不断。
 他のシナリオの主人公と比較して、ぜんっぜん格好良くない。
 少なくとも雪希と日和の二人の美少女にべた惚れされるような男には見えません。
 朝奈と雪希は声優さん同じっぽいから、ヒロインになると主人公も同じく優柔不断になるのかねぇ。
 
 
2001.5.3
 
神津麻美:
 一番納得できないシナリオでした。
 猫って生き物だってことわかってます?
 麻美ちゃんが飼ってた猫は単にどっか行っちゃっただけなのかもしれないし、もし健二宅で飼っていた猫も同じようにどっか行っちゃってて見つからなかったら、そうしたらどうなっていたんでしょうか?
 猫は気まぐれな生き物なんだから、そうなっていたっておかしくない。
 猫を主題に持ってくるのは良いけど、もうちょっと描き方を考えて欲しかった。
 

 今日までで一応みずいろは遊び終えました。
 むつきちゃんのCGが一枚出てないけれど、シナリオはほぼコンプリート。
 総括しての感想は、良い出来だけど銀色には及ばないかなぁ、というところですね。
 キャラクターはもう完璧と言って良いし、みんな最初ッから主人公ラヴラヴ状態(清香はちょっと違うけど)であるのもまぁ見逃しても良いのですが、肝心のシナリオが五人全員例外なく中だるみしています。
 後半〜終盤に入ってストーリーが動き始めると、そりゃあもう怒涛の展開を見せてくれるのですが、そこまで行くのが辛い。
 ちょっと退屈になることもありました。
 だからタイピングオブザデッドとかやりたくなったのかも。
 シナリオの盛り上がる部分は本当に凄くいかしてるんですが。
 これで中盤がしっかり面白いシナリオだったらケチのつけようがなかったんだけどなぁ。