Milky Season/Dream Cast
 
 
2002.3.28



 KIDが出したギャルゲ。

 KIDと言やあ、一昔前はコンシューマ随一のギャルゲーメーカーとして名を馳せたモ

ンですが、最近はオリジナルモノに凝ってるせいか移植はあんまりやってません。

 PCからの移植をバカスカやってるプリンセスソフトに押され気味な感アリ。

 まあゲームメーカーはオリジナルで良いものを作れてナンボだと思うので、オリジナル

偏重路線なのは正しい選択でしょう。

 でも実際の話、KIDのオリジナルギャルゲって、「佳作」レベルに留まっているんで

すよね。

 メモオフとメモオフセカンドはレベル高いけど、その他のオリジナルモノは「ま、やっ

てみてもいいだろうね」としか言えません。

 ぼくはKIDオリジナルギャルゲを全部遊んでますが、自信を持って薦められるのはメ
モオフの二本だけです。

 次点は「Close to」あたりで、まずまず出来は良いのですが、フルスロットル

全開レッドゾーンで薦められるほどぢゃあない。

 はっきしゆって、これよりは「家族計画」や「恋ごころ」を遊んだ方がずっと良いので

す。

 KIDにはメモオフという傑作を作るだけの地力があるんだから、その力を出し惜しみ

せずガンガン発揮してもらいたいものです。

 

 

 

 

 …と、思わずKIDについて語ってしまった。

 話をミルキィ・シーズンに戻します。

 本作は、主人公が女子寮の管理人になる、というどっかで見たよーな設定のオハナシ。

 ちなみに女子寮に住んでいる女の子は12人。

 12ってシスプリと同じだな〜と思ってたら、シスプリと同じく電撃G’sエンジン誌

上で展開された読者参加企画だったんですね。

 それじゃ同じでも当然だ。

 でもゲーム内容が薄っぺらな点まで似せるこたぁなかったと思うケド。

 

 

 

 

 では本ソフトについての解説ですが。

 特徴が無いのが最大の特徴、というジムカスタムのよーなゲームです。

 あ、でもジムカスタムは「全ての要素がハイレベルにまとまっているため特徴がない」

のだから、比較対象としてはジムカスタムに失礼だな。

 MS性能で考えるなら、アッガイが妥当なライン。

 「大した能力はないけれど、フォルム(外形)で一部のファンに人気がある」という点

もアッガイっぽい。

 システム回りがキッチリ整っているという点も、ザクIIの部品を流用できるというアッ

ガイの整備性の高さに似ている。

 つーわけでこのゲームはアッガイです。

 

 

 って、「アッガイです」なんて言っても、ガンダマー以外には理解できないですよね。

 ガンダム用語を使わずに説明しますと、このゲームは絵だけのゲームである、というこ

とです。

 絵はね、凄く良いんですよ。

 萌え萌エ系でギャルゲーCGとしてかなりハイレベルであることは間違いありません。

 んが、他にはなーんの特徴もない。

 強いて言うなら、システムが整っているからプレイしやすいってことくらいですが、A

GV32のゲームでシステムが整っているのは当たり前です。

 DCのゲームを遊ぶためにはDC本体が無ければならないってのと同じくらい当たり前

です。

 

#その当たり前が出来てないゲームが21世紀の今現在まだまだ多いんだがな。

 

 キャラだって大して萌えません。

 ぼくは「萌え」と言うものに対して極めて弱いのですが、そのぼくでさえ、萌えたのは

礼香サマくらいです。

 

#結局は萌えたんじゃないか! というツッコミは不許可。

 

 ストーリーも平々凡々で、

「四コマ漫画の基本は起承転結だよね!」

という最低限の原則すら成立しておりません。

 あまりのつまらなさに何度プレイを投げ出しそうになったことか(それでもコンプリー
トしたけど)。

 退屈のあまり、「南国少年パプワくん」のコミックスとか読んでました。

 パプワくんが面白くて、一時間くらいゲームをほったらかしてたりもしました。

 まーパプワくんは鬼才柴田亜美氏の傑作だから無理ない話かもしれず。

 

 

 

 

 なんか書けば書くほど話が逸れていくので、この辺でまとめます。

 先述の通り、このゲームは元はG’sエンジンの読者参加企画だったようです。

 だから、元々はその企画の参加者向けに作られたゲームであるのかもしれません。

 ひょっとすると、参加者ならすっごく面白いのかもしれません。

 それならば、部外者であるぼくが楽しめなくても道理と言う物です。

 でも市販されている以上、非参加者が買うことも当然あり得ます(実際ぼくが買ってい

る)。

 一般向けに売り出すのならば、元の企画を知らないユーザーでも十分楽しめるようにす

るべきです。

 …と言っても、難しいことではありません。

 普通のギャルゲのようにしっかりとシナリオを作って欲しかった、というだけのことで

す。

 つまるところギャルゲなんてシナリオ次第なんだから、確固たるシナリオさえあれば大

概のことは許されるものです。

 一部の限定されたファンのみならいざ知らず、普通のギャルゲとして売り出すのだから、

最低でも普通のギャルゲと同じようにしっかり作り込むべきでしょう。

 その程度のことさえ出来ていないのです、このゲームは(本作、という言い方はしたく

ない)。

 KIDのギャルゲはどれも「佳作以上」の出来ですが、「Milky Season」

に関しては例外です。

 何年か前、「食べてはいけない」とゆータイトルの本が話題になったことがありますが、

さしずめこのゲームは「買ってはいけない」ですね。

 

 

 

 

 うーむ、今日は久しぶりに辛口な感想レビューを書いてしまった。

 辛口はぼくの口にあわんな、書いていて辛い。

 次は絶賛できるものを書こう。

 PS2版Kanonなんて良いかも知れぬ。