家族計画 〜心の絆〜/Playstation2
 
2005.02.28
 
 本作は、D.O.が2001年末に18禁PCソフトとして発売したパソコンゲームの移植で……
 
なんてことぁもう言う必要ありませんね。
 
 ええ、家族計画です。
 
 発売当初こそマイナーでしたが、その後評判が鰻上り、いまやブランドと言っても良い
 
ほどの存在感を持つ、エロゲー史上に名を残すこと疑いなしの超大名作ソフトの移植作。
 
 個人的エロゲランキングNo.1、もはや崇拝の域に達しているくらいのお気に入りエロゲ
 
のPS2移植ということで、当然発売即買いしました。
 
 PC版も何十回と繰り返しプレイしていて、名シーンはメッセージを全て暗唱できるく
 
らいやり込んでますが、家族計画をやり飽きるなどということは物理的にあり得ないので
 
何の問題も無し。
 
 というわけでPS2版家計の話をするわけですが、基本フォーマットはPC版と全く同
 
じなので、PS2版をやっていて思った点を書いていきます。
 
 なお、今更家族計画でネタバレに気を使う気は無いので、ネタバレバリバリです。
 
 そんな人はまずいないと思いますが、もし万が一まかり間違ってありえないことだけど
 
神に唾棄するも等しい重罪ですが、PC版家族計画を遊んでいない人がいるなら、
 
 今すぐ買って来い!!(←命令系。英語で言えばBuy that game, right now!!)
 
 とりあえず一通りクリアしろ!!
 
 話はそれからだ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 プレイしていて一番気になるのは、やはり規制対策として全体的にマイルドな表現ばか
 
りになっていること。
 
 エロシーン全面カットは言うに及ばず、『既知外』が『埒外』になっていたり、春花が
 
持ってきた鞄の中身が媚薬からDATテープに変わっていたり、春花の祖国が中国と明言
 
されていなかったり。
 
 その他にも細かいネタが大量にカットされています。
 
 上手いこと加筆して誤魔化してますが、やはり違和感が残ります。
 
 確かに、家族計画の本質は、ハートフルホームラブコメです。
 
 その本質部分は、PC版そのままに受け継がれています。
 
 しかし、ハートフルホームラブコメと、全編に散りばめられた毒のあるギャグネタの絶
 
妙なバランスこそ、家族計画のテキストの巧みさでもあったのです。
 
 例えるなら、PC版がドラえもん1〜20巻、PS2版がドラえもん30巻〜45巻っ
 
て感じですね。
 
 ……ドラえもんマニアじゃないと意味わからないか、この例え。
 
 解説しますと、ドラえもん20巻辺りまでが初期ドラえもんと言われておりまして、ま
 
だA氏もドラえもんに絡んでいた時期なのです。
 
 なので、A氏らしい毒がそこここに見受けられ、1コマ1コマの重みが最も大きく、全
 
てのドラえもんのエピソードの中で一番面白い時期だと言われています。
 
 一方の30巻〜45巻ですが、こちらはコンビ解消したF氏が一人で描いているドラえ
 
もん。
 
 F氏もF氏でA氏とは別味の毒を持ってはいるのですが(その辺はF氏のSF短編集を
 
読むと良く分かります)、その毒はドラえもんには反映されておりません。
 
 F氏はドラえもんを夢のある漫画にしたかったから、毒を出さなかったのだと僕は考え
 
てます。
 
 初期ドラえもんにあった毒こそ失われても、そこは希代の天才漫画家藤子・F・不二雄。
 
 日常のS(すこし)F(ふしぎ)漫画として、ちゃんと楽しめる漫画としてのドラえも
 
んを描いてます。
 
 これが後期ドラえもんと言われてます。
 
 なお、その後F氏がご逝去されて以降、現在まで藤子スタジオで続けられているドラえ
 
もんについてはぼくはなーんにも言いたくありません。
 
 極稀に面白いものはありますが、大半が取るに足らないようなものばかり。
 
 面白いと思った映画も「さようならドラえもん」だけ。
 
「さようならドラえもん」は面白かった、原作で抜け落ちていたエピソードを上手く盛り
 
込んでより感動を盛り上げてくれた。
 
 でも他の映画はねえ…ドラえもん映画はやっぱ第一作〜九作辺りまでの一桁シリーズが
 
一番面白い時期だったなぁ。
 
 ってふと気付けばドラえもんの話になっていた。
 
 でもこれだけ語れば、先のドラえもんの例えの意味がおわかりかと。
 
 さらに、今度はちゃんと家族計画の話ですが、エロシーンが全てカットされているとい
 
うのもしっくり来ない。
 
 最初に春花を拾った夜の自室での春花との行為が、司に春花に対する責任・負い目を感
 
じさせ、春花に借りを返さねばならない、と思わせるわけです。
 
 それがカットされた分、別エピソードが盛り込まれていますが、どうにも収まりが良く
 
ない。
 
 学生時代の準とのことに関しても、一線を越えてはいない。
 
 これもやはり、現在の司と準の関係にそぐわない。
 
 つまり家族計画というゲームは、一見エロが薄そうでありながら、本来はエロシーン無
 
しでは話が成立しない構造になっているのです。
 
 それを無理矢理PS2に移植したもんだから、規制でがんじがらめになっちゃって、い
 
いところを幾つも失う羽目になってしまったわけです。
 
 いや、もともとが極上クラス、逆境ナイン風に言って
 
「伝説! はっきり言って歴史に名が残る!」
「教科書に名前が載る! 受験生は電車の中で必死に名前を暗記する!」
 
レベルだったのが、アジアの一大事クラスになった程度なので、これでも十分過ぎるほど
 
の名作であることに違いはありませんが。
 
 PC版から比べればグレードダウンしているのは否めないなぁ、ということです。
 
 
 
 
 
 
 ──とまあ、さんざんイマイチと書いてきましたが。
 
 久しぶりに末莉エンドを見て、改めて感動しました。
 
 やっぱ、末莉シナリオがトゥルーエンドって気がしますね、ぼくは。
 
寛「本日19時45分をもって、家族計画を終了する」
 
の後の展開も、他の四人は同じだけど、末莉シナリオだけ違うし。
 
 いっちばん最後の終わり方も、末莉シナリオが一番綺麗。
 
 他キャラのエンディングも勿論良いけど、末莉シナリオのエンディングこそ、最も明る
 
い未来を予感させてくれる。
 
 十年後に再開した面々を直接描かず、プレイヤーの想像に任せるという、なんとも卑怯
 
で泣かせるやり方。
 
 なおこのテキストを書いている2/28PM23:50現在、パッケージ裏面の楓・景の追加CG
 
はまだ見られていません。
 
 既存ルートでは見られないっぽいからバッドルートの分岐なのかなーと思案中。
 
 
 
 
 
 
 余談。
 
 本作を発売日に買ったというのは先述の通りですが、当初はさほどの話題作とも思って
 
ませんでした。
 
 同日発売ソフトに真三国無双4とデビルメイクライ3がありましたからね。
 
 大多数のPS2ユーザーにとっちゃ2/24はこの二本が本命で、家族計画はおまけみたい
 
なもんだろうとたかをくくって、昼頃余裕ぶって近所のゲームショップへ向かうと全て売
 
り切れ。
 
 まぁ小規模店だし入荷本数も少なかったんだろう、と車を飛ばして別の店を三件回るも
 
全て売り切れ。
 
 ヲイヲイヲイヲイヲイと冷や汗感じつつ、どうにもアテが無くなったのでやむなく市街
 
地のヨドバシカメラへ向かうとこれまた売り切れ。
 
 ちょっとちょっと奥さんシャレになりませんよこれどういうことディスカーオンドゥル
 
ルラギッタンディスカー実は発売日今日じゃなかったとかー? と半狂乱になって側のビッ
 
クカメラへ向かい、やっと発見、在庫残り2本。
 
 危ういところでゲット成功。
 
 駐車料金払って家路を辿りつつ、ぼくは思いました。
 
 今日は、真・三国無双4の日orデビルメイクライ3の日だと思っていたけれど、実は家
 
族計画の日だったんだな、と。