ふらせら/Playstation2
 
2005.10.10
 
 久しぶりにゲーム感想雑記を書きたいと激しく感じられるゲームを遊んだので、今こう
 
やってカチャカチャキーボード叩いてます。
 
 本日のお題はふらせら。
 
 月刊電撃ガオ!に連載されていた漫画ですが、漫画のゲーム化というよりは、もともと
 
ゲームの企画があって、その前フリとして漫画連載していたんじゃないかって気がします。
 
 電撃ガオ!は『くろぼね』を打ち切った時点で自らダメ漫画雑誌の烙印を受けいれたよ
 
うに思いますねえ、確かにカギ十字やらナチスやら政治思想やら危ういテーマのあった漫
 
画だけど、真鍋譲治氏の画力で物凄く面白かったのに。
 
 こういった漫画をキッチリ載せていけば、すごくイイ漫画雑誌になれるのになあ……まぁ
 
菊タブーとかと同系列の問題なんだろーけどさ。
 
 今は同人という形になってるけど、この作品を完結する意思はあるようなので、通販で
 
買おうか迷ってます。
 
 札幌のらしんばんや虎の穴のような同人ショップも、エロ同人ばっかじゃなく、こういっ
 
た骨太な同人漫画も仕入れろよなぁ。
 
 エロを否定はしないけど、エロのみになっちゃったら、もうオシマイだと思うのですよ。
 
 エロじゃなくても面白い物は面白いとちゃんと評価されないとね。
 
 だから、今こうやってマイナー(っぽい)気がするふらせらの話を書こうと思い立った
 
わけでして。
 
 思い切り脱線して地球を一周してきた挙句元の線路に戻ったような感じですが、気にせ
 
ずふらせらの話を始めようと思います。
 
 
 
 
 
 
 まずは恒例のオフィシャルサイトチェックをよろしくメカドック。
 
 大規模な星間戦争の最中、敵味方の遭難兵が呉越同舟的に休戦し、平和な惑星でシャト
 
ルを修復し戦線復帰を目指す、という設定。
 
 このゲームの場合、既に設定で勝ってる気がしますね。
 
 設定がすごくイイ。
 
 また、先述のとおりガオ!で連載されていた漫画がコミックス二冊分出てます。
 
 これがメチャメチャ面白い。
 
 それぞれのキャラクターや心情を巧みに描いていて、本当にモノスゲェ面白いのですが、
 
たった二巻で終わってしまう。
 
 読み終わった時の心境は、
 
「ヲイヲイこれで終わりかよ?!
 各キャラの背景や考え方なんかを描いてきて、家族計画に例えればやっと七人揃って高
屋敷家で乾杯した段階だろ?! 
 ここから、戦線復帰へのエピソードを描いていくんじゃないのかよ?!!」
 
と大変な消化不良。
 
 決着はゲームでね、と言わんばかりの終わり方で、これはもうゲームを遊ぶしかない、
 
と翌日に購入。
 
 早速遊んでみて、久しぶりにコンプリートまで脇目もふらずにプレイしてしまいました。
 
 ゲーム自体は普通のADV32ギャルゲで、前半の共通ルート+後半のヒロイン個別ルートな
 
構成になっていて、それぞれのヒロインについてトゥルーエンドとノーマルエンドの二つ
 
があります。
 
 主人公・ショーヤは元々大した感慨も無く戦争に従軍していたわけですが、平和な星へ
 
遭難し、敵方の兵士・コニカと共同生活をすることで、敵にも敵の事情があること、敵も
 
自分と同じ人間であること、何故戦わねばならないのか等を見つめ直し、そしてそれぞれ
 
のシナリオで結論を出していきます。
 
 ハッピーエンドが無いのがミソで、キャラによってはトゥルー≒ハッピーなこともあれ
 
ば、ノーマル≒ハッピーなことも。
 
 特筆すべきがイチノシナリオ………というか、イチノがいるからこそこのゲームにここ
 
まで惚れ込んだわけで。
 
 オフィシャルサイトのキャラ紹介にも書いてあるとおり、イチノはクローン兵で、戦艦
 
を動かすためのパイロットという名の部品の一つに過ぎず、二重帝国軍の大多数の戦艦に
 
イチノと同型のクローン兵が搭乗しています。
 
 戦艦を操艦するための技能と人の命令に従う知識しかなく、自我も感情もなく、死ぬま
 
で軍に従事させられ、連日の戦闘で多くのイチノ達が死に、クローン兵として新たに量産
 
されます。
 
 ショーヤはそんなイチノを憐れみ、せめて人並みに走ったり泳いだりできるようにと練
 
習に付き合ってやり、その甲斐あって少しずつ上達し、おぼろげに感情の揺らぎを持つよ
 
うになったイチノ。
 
 しかし、クローン兵であるイチノは、シャトル備え付けのカルティベーションシステム
 
と、毎日大量に服用する維持薬が無ければ死んでしまうのです。
 
 故障中のシャトルのカルティベーションシステムがいつまで保つのかわからないし、維
 
持薬に関しては、それを知った時点で残り200日分しかない。
 
 また、仮に戦線復帰できたとしても、そうなったらイチノは再びパイロットという名の
 
消耗品として扱われ、死ぬまでそれは終わらない。
 
 このまま星に居ても遠からずイチノの命は尽きるし、戦線復帰すれば、とりあえずイチ
 
ノの命が助かるというだけ。
 
 どっちに進んでもイチノにとって良いことはない………そんな状況でも、イチノは健気
 
に練習を続ける。
 
 ショーヤもシャトルの修理を急ぐもそうすぐ直るわけもなく、刻々と維持薬の残りは少
 
なくなっていき、そして………。
 
 もうね、この先の展開は是非自分の目で確かめて欲しい。(ネタバレガード)
 
 トゥルーエンドは本当にきつかった……けど、自分を知っている人がいなくなるのが悲
 
しい、と涙する感受性を獲得したイチノにとっては、戦線復帰するより、あの星で土に還
 
るのが一番良かった。
 
 その後にみたノーマルエンドは、トゥルーエンドが嘘のようなハッピーエンド。
 
 SADなトゥルーとHAPPYなノーマルがあるおかげで、それぞれのエンディングがより際立
 
ちますね。
 
 イチノがクローン兵である、という設定自体を恨みたくなるような悲劇的展開ですが、
 
クローン兵という存在がそもそもの物語の根幹にあるので、もしクローン兵でなかったな
 
らこの物語は成立しないということにもなるわけで。
 
 本当に良く考えられた設定と物語です。
 
 
 
 
 
 
 
 気付くとイチノについてばっかり書いてたな。
 
 まとめとしては、本当に面白いゲームでした。
 
 システム的には、メッセージスキップを既読or全スキップか選べるのに一部既読なのに
 
スキップされてしまう箇所があったり、キャラ立ち絵変更がちょっと遅かったり、と若干
 
の不満もありますが、話の面白さで帳消しに出来るレベル。
 
 地味ながら音楽も、ギャルゲっぽくない高尚なイメージで大変良い。
 
 とりあえず漫画を買ってみて、それで読み足りなくて欲求不満になったらゲームを買う
 
のがいいでしょう。
 
 ぼくは、今まで遊んでなかったのを後悔するくらい楽しめました。
 
『夜明け前より瑠璃色な』の途中で買ったんですが、そっち放り出してふらせらばっかやっ
 
てましたから。
 
 瑠璃色もこれはこれで面白かったけど、設定勝ちなふらせらには敵わなかった。
 
 古いゲームですが、本当にお勧めです、これ。