学校であった怖い話/SFC
 
 
2000.3.27
 
 バンプレストが発売したサウンドノベル。
 …と言ってはいけないのかもしれないけど、ユーザーにとっちゃサウンドノベルはサウンドノベル以外何物でもないやね。
 バンプレストと言えば、スパロボ以外パッとしないソフトしか出していないっつー印象が強いメーカーですね。
 いくつかある出来の良いゲームはだいたいが外注。
 今回も例に漏れず、販売こそバンプレストですが、制作はパンドラボックス(シンプル1500シリーズのところだっけ?)が行っているようです。
 なおこのソフト、後にPSで「学校であった怖い話S」としてリメイクされるのですが、ぼくはSFC版をプレイしたので話をそちらに絞ります。
 
 さて、まずシステムについて軽く触れておきます。
 このゲームは、文章が縦書きであるという事を除けば、特に変わったこともないノベルゲームです。
 ストーリー設定は割と知られているのでわざわざ説明するのも馬鹿馬鹿しいのですが、知らない方のために一応書いておきますと、
 
「新聞部所属の主人公が、学校の七不思議という特集を組むため、七人の生徒に集まってもらい(しかし七人目がいつまで経っても来ないから六人で始めた)、一人一人から話を聞いていく」
 
というものになっています。
 ゲームの基本構成は六話+一話の計七話になっており、話と話の区切りの部分でのみセーブできます。
 古いゲームなのでメッセージスキップ機能はありません。
 
 では、まず良い点を書きましょう。
 このゲームでぼくが最も凄いと思うのは、そのストーリーのバリエーションの多さです。
 六人から話を聞くわけですが、文章中の選択肢を選んでいくことでそれぞれの人物の話が様々に枝分かれしていくのは当然のこと、「何番目に話を聞いたか」でも全く異なる話が聞けます。
 これだけではどれくらい凄いかわからないと思うので、具体的に数字で表してみます。
 まず、一つの話はほとんどの場合二つ以上の全く異なるストーリーに分かれます。
 そのストーリーがさらに多種多様に分岐していくのですが、それはひとまず置いておきます。
 さらに、最初から集まっている六人全て、話を聞いた順番で違う話をしてくれます。
 すなわち、
6(人数)×2(分岐)×6(順番)+6(七話目は六話目の話で決定される)=78
 最低78通り、実際にはもっともっと様々に分かれるから100話はあるでしょう。
 一話の平均は五〜十分程度とはいえ、これはもの凄い数。
 それら全てが学校にまつわる怪談であり、よくもまぁこれだけ考えついたなという感じです。
 怪談とはいえ、シナリオ的に見ても十分楽しめるハイレベルな話ばかり。
 ぼくがストーリーの豊富さに驚いた理由が少しはおわかりいただけたでしょうか。
 ストーリー以外にも、背景CGや音楽、演出などでも「怖がらせるツボ」を心得た作りになっていて、とても楽しめます。
 …あ、言い忘れていましたが、根本として「怪談が好きである」という条件をプレイヤーに要求しますので。
 怪談が嫌いならこれを楽しむことは不可能だと断言できますので、この文章は忘れて下さい。
 
 それでは悪い点ですが。
 最大の難点は、システム的な不備が大きいこと。
 先述したとおり、メッセージスキップが無く、セーブも話が終わった時のみ。
 せっかく話が色々な方向へ展開していくのに、それを全て見るための手段は、
誰かの話を聞き終えたら、「話を聞き直す」コマンドでもう一度その人の話を最初から聞き直す
以外にないのです。
 これは非常に辛い。
 また、背景画像のために文字が読みにくくなってしまう事も多々あります。
 それから…最終的なエンディングに後味の悪い物が多いような気もしますが、これは個人の好き好きかなぁ。
 
 あと、これは良いとも悪いとも言えないのですが。
 本気で怖い話がいくつかあります。
 夜中に一人で読んでいたら背筋が寒くなってゾクッと来ます。
 その点だけは覚悟しておいた方がいいでしょう。
 
 少々長くなってしまいましたが、ここまでの文章をまとめてこのレビューを終わります。
 システムに難ありとは言え、シナリオは本当に面白い。
 怪談オンリーではありますが、怪談が好きなら楽しめること間違いなし。
 今なら中古等で安くなっているでしょうし、\1980以下なら買いだと思います。