デスクリムゾン/SS  1999.1.31  
 クソゲーを語る上で、決して避けては通れぬ道…それがデスクリムゾン
 既にさんざん語り尽くされているような気がなきにしも非ずですが、敢えて書きましょう。
 
 
・偉大なる帝王、デス様との出会い! 編
 そう、それは雪国北海道の空に、仄かに冬将軍の到来が予感できるようになってきた、1997年11月頃の事。
 当時、インターネットにはまりだしたばかりの頃のぼくは、たまたまLeaf系で知り合った人のHPで、初めてデスクリムゾンというゲームを知ったのです。
 しかし、その頃のぼくはまだアマちゃんでした。
 学校近くのゲームショップで、デス様が\2680にて売っていたにもかかわらず、購入しなかったのです。
 その後、伝説の「デスクリムゾンリンク集」を飛び回り、デス様の偉大さに心酔。
 今更デス様が欲しくなっても、後の祭り。
 その店では売り切れてしまい、他店にも当然のように売っていません。
 ああ神様仏様お釈迦様ついでにありおりはべりいまそかり、私めはもう一生デス様にお目にかかることはできないんデスか?
 哀れな子羊はデスの部分を強調して祈りました。
 その時、奇跡は起こりました。
 奇跡は起きます! 起こしてみせます!
 子羊めがけて四トンダンプが突っ込んできたのです。
 祈りに夢中になり過ぎてハイになっていた子羊は、直撃を受けてジ・エンド。
 そう、子羊の前に、「死神」という名のデス様がおいでになったのです。
 子羊はデス様に手を引かれ、綺麗なお花畑へと導かれていきました。
 めでたしめでたし。
 
 …いや、違う。
 めでたく終わってはいけない。
 デスはデスでも、SSソフトのデス様のお話に戻りましょう。
 とにかくそんな時に、学校の後輩が
「先輩。これ、友達から借りてきました」
と言って差し出したのが、他ならぬ偉大な帝王劉備玄徳その人!
 …もとい、クソゲー超魔王デス様だったのです。
 その時、ぼくの耳には、確かにこの言葉が聞こえました。

「こうして、セリスはクリムゾンを手に入れた…」
 
 
・衝撃の事実! デス様の持つ魔力! 編(国際的調査組織FREC社中間結果報告書より抜粋)
 デス様の入手に成功した我々は、早速分析に取りかかることにした。
 調査を依頼したのは、バカ田大学クソゲー研究室クソゲー研究課のパパ=バカボン氏(年齢不詳)。
 精密検査を行うことを力強く約束して下さった同氏であったが、三日後研究課より緊急連絡が入った。
 急行した我々が見た物は!
 そして、この後デス様に関する驚愕の事実が明らかとなる!
 CMの後すぐ!
 
 
 
 エコールからのお知らせです。
 現在、デスクリムゾン2の開発が進んでおります。
 ハードはDCを予定しておりますので、全国のクリムゾナーの皆様は、DCを購入・用意しておいて下さいませ。
 なお、発売日は夏頃を予定しております。
 以上、エコールからのお知らせでした。
 
 
 
 我々は、バカ田大学のパパ=バカボン氏に、入手したデス様の調査を依頼した。
 しかし三日後、同研究室より緊急連絡が入った!
 即座に急行したが、そんな我々を迎えてくれたのは、パパ=バカボン氏の意外な姿であった。
 「タリラリラ〜ン」、「これでいいのだ」等、意味不明な発言を繰り返す同氏。
 研究助手であったオジサン=レレレ氏(趣味:掃き掃除)によると、パパ=バカボン氏はこの三日間、何かにとりつかれたかのように、デス様に熱中していたという。そして、今日オジサン=レレレ氏が来てみたら、もうこうなっていたそうである。
 オジサン=レレレ氏はまた、
 「これこそが、デス様が多くのファンを生み出した力なのではないだろうか」とも語ってくれた。
 同日、不幸な事故により優秀なる研究員パパ=バカボンを失ってしまったバカ田大学から本機関宛てに、正式な調査中断の書状が届いた。
 我々は、デス様への疑問を残したまま、調査を終えざるをえなかったのである。
 
 
 
・孤高の帝王、デス様の洗礼! 編
 ぼくは、ゲームをプレイする前に、必ずストーリーに目を通すようにしています。
 そうすることで、ゲーム内における世界観が掴みやすくなるからです。
 しかし、デス様の場合は、かえって分かりにくくなるような…。
 とゆーか、アレは日本語じゃありません。
 日本語と同じ文字・発音を用いていながら、独自の文法を持つ「デス語」です。
 残念ながら、現代日本でデス語を理解できるのは、エコール社長真鍋氏以下数人しかいないため、大多数のユーザーにはちんぷんかんぷんです。
 まぁ別にいーでしょう、ゲーム本編とはまるっきり関係ないし。
 早速CDをセットして、電源オーン!
 ……なんとも形容しがたい不気味な音楽と共に、デス様の象徴の一つである「デスマスク」が画面内で踊ってくれます。
 常人なら、この時点で電源を切って、中のCDでそこらの犬とフリスビー遊びに興じるでしょう。
 しかし、そこはそれこちらもそれなりにスレたゲーマー。
 この程度では蚊が止まったほどの痛痒も感じません。
 むしろ愉快な気持ちにすらなります。
 すでに人間失格です。
  続いて、モニター上にはゲームの顔とも言うべきタイトル画面が表示されます。
 「このハードって、8ビットマシンだっけ?」と疑うようなチープなタイトルロゴに、何やら怪しげな手が二つ、申し訳程度にくっついています。
 しかもそのうち左側はピクピク動く。
 おそらくはアクセントのつもりだったんでしょうが、手なんかない方がまだマシ
  この二つの手を見て、「タイの活き作り」という言葉が脳裏をよぎったのはぼくだけでしょうか。
  そして、その後に待っているのは。
 一同ひかえおろう頭がたかぁい、ここにおわすお方をどなたと心得る。
 このお方こそ、かの高名なる伝説のOPムービー様であらせられるぞ。
 へへぇ〜、まいりましたくそげーちょうまおうさま。
 このムービーに関しては、とにかく見るしかありません。
 例えるなら、どっかの大学のお笑いサークルが制作費千円で実写ムービーを作ったらこうなるといった感じです。
 画像・カメラワーク・音声・構成、何もかもが最低ランク。
 と言うか変。異常。緊急事態発生。エマージェンシーコール。
 当施設は五分後に自爆します、作業員の皆様は至急退去して下さい。
 いや、そもそもランクなどという壁を突き破ってくれています。
 普通のゲームのOPムービーが目指す方向と比べて、ベクトルが270度ずれているんでしょう。
 100点満点のテストで-243点を取るような。
 そのおかげで、世界NG大賞受賞間違いなしのお笑いムービーに仕上がっています。
 それでも何とか気を取り直し、スタートボタンを押します。
 一応オプションも見る。

 サウンド  ステレオ モノラル
 
 一体いつからこの国では「音楽設定」を「オプション」と呼称するようになったのでしょうか。
 一応申し訳程度に照準合わせ機能らしきものもついているようですが、ぼくはクリムゾン(一般名:バーチャガン)を持っていないので関係ありません。
 ってゆーか一発撃ったら終わりだから合ったのかどうかも分からないし。
 では、満を持して、早速ゲームスタート!
 
 
 
・デス様は強者を求む! 熾烈を極める見極めの儀式! 編
 たいていのデス様初体験プレイヤーは、10秒と経たずに瞬殺されるそうですが、どっこいこちとら生きてるシャツの中。
 ぼくは一分半くらい持ちました。
 クレジットが尽き、ゲームオーバーとなった者を等しく温かく穏やかに見守ってくれる有り難い存在。
 デスマスク様降臨。
 「私は超人のマスクを集めているのだ!」のネプチューンマンでもいらないと言うであろう、恐ろしいお顔です。
 スキップなど不可!
 昔のゲームにはスキップ機能なぞなかったのぢゃよ、分かるかね少年。
 ある程度まともな人間なら、サターンの蓋を開けて中に入っている遊星からの物体X、またはクトゥルフ神話の世界からの刺客を、全力を持って抹殺するでしょう。獅子がウサギを狩るのに全力を尽くすが如く。
 しかし、何故か再プレイしたくなる魅力を感じる人間も、ごくごくわずかに、サリーちゃんとよっちゃんを比べてよっちゃんの方が可愛いって言うくらいの人間比率で存在します。
 ぼくは不幸なことに喜ばしいことに、そういった人間でした。
 あ、でもぼくはサリーちゃんの方が可愛いと思いますが。
 いや、この際サリーちゃんは関係ない。
 とにかくそーゆーわけで、その後もエコールロゴ・デスマスクに嘖まれつつ励まされながらプレイを続けました。
 慣れてくれば、動きが早すぎて照準を合わせるどころではないカーソルも、突如ワープしてきて超能力で攻撃しているとしか思えない上にアニメーションパターンなどなくその上ポリゴンは汚くて3D演出のハズがどう見ても平面的なサイキッカー敵キャラも、撃ちやすい位置に出てくるくせに撃ったらダメージを受けるくせにマニュアルには一切説明がない白服を着て民間人を装いつつその実は越前を追い詰めようとするブービートラップ佐藤とそのペットのむささびも、なんとか対処できるようになります。
 基本は、「殺られる前に殺れ」。
 攻撃を受けても無敵時間は一切ないこともあり、「殺るか殺られるか」とゆーゴルゴ13のような緊張感溢れるリアリティに満ちたプレイが楽しめます。
 
 
 
・さらばデス様! デス様よ永遠(とわ)に! 編
 プレイを続けるうちに少しずつ上達してきたデス様の腕前ですが、残念なことにぼくの私物ではなく、借り物です。
 いつか、返さなければならない日がやってきます。
 その日は、意外すぎるほど意外にあっけなく、何の感慨も持たせないまま過ぎていってしまいました。
 ある日気がついたら、デス様が無く、後輩の「ああ、もう返しました」の一言。
 結局、自力で進めたのはステージ2シーン5「アッシムの館」まで。
 まぁようするに、マイナスとマイナスをかければプラスになるということでしょうねぇ。
 デス様よ、永遠に…。
 
 
 
・衝撃の新事実! Leaf内にデスクリムゾナーが?! 編(1999.4.8加稿)
 ついにと言うかようやくというか、とにかくPSで発売されたパソゲー移植「To Heart」。
 このゲーム内に、デスクリムゾナーの存在を匂わせる重要なポイントがありました。
 それは、志保とのミニゲーム「ウォーターバトル」。
 このゲームのルールは、
「志保と水鉄砲で撃ち合う。ただしこちらのライフは三つ。また、雅史を撃ってしまうとライフが−1される」
という、至って単純明快なもの。
 しかし、よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜く考えてみて下さい。
 雅史の名字は佐藤
 すなわち、「佐藤を撃ってしまうとライフが−1」なのです!
 さらに言えば、ライフは三つしかないし敵である志保はテレポートしているとしか思えない動き方をする上に攻撃も超能力っぽいし。
 これはもう、Leafスタッフが狙ってやったと考えるのが自然でしょう(不自然だって。笑)
 
 
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