カナリア 〜この想いを歌に乗せて〜/PC
 
 
2000.11.9
 
 新進メーカー「FrontWing」の処女作。
 …前々から思ってたんだけど、「処女作」ってちょっとエッチな響きがあると思いません?
 いや、だってこの単語を分解すると「処女」+「作」であり、つまりそーゆー意味で使われる言葉なんだしさー。
 ってカナリアに全然関係ねぇや。
 閑話休題。
 気を取り直して話を進めます。
 まず良い部分から書きます。
 このゲーム、サブタイトルで「この想いを歌に乗せて」と言っているだけあり、音響関係は結構力が入っています。
 OPテーマ「カナリア」はなかなか良い歌だし、ゲーム中で流れるBGMも悪くない。
 EDテーマがヒロインごとに変わるというのも面白いアイディア。
 これらは当然CD−DA音源なので、手軽にCDプレイヤーで聴いたりMP3に落とせたり出来る………でしょう。
(たぶん出来るはず。まだ実際に試してはいないけれど)
 ゲーム自体はオーソドックスな学園恋愛モノなのですが、ヒロイン及びサブキャラクターのキャラメイキングがしっかり行われており、日常の何でもないシーンのキャラクターの掛け合いを見ているだけで面白い。
 真面目にギャルゲーをやっているな、という印象を受けます。
 もちろん、恋愛ADVゲームの肝とも言えるシナリオもきちんと作られていて、しっかり楽しませてくれます。
「おおっ、そうか、あれはあーゆー伏線だったのか!」と唸らせられた事も何度かありました。
 また、CVにTVアニメなどでお馴染みの声優さんを起用しているというのも目玉の一つ。
 エロゲのお約束としてEDのスタッフロールに声優名は表示されないのですが、アニオタのぼくが耳で聴く限り、こおろぎさとみさん・かないみかさん・西原久美子さんの三人は絶対出演している。
 さすがに一流どころの声優さんは演技がうまい。
 その他のキャラクターのCVも聴けるレベルになっていて、パソゲーでは珍しくCVでもキッチリ楽しめるゲームになっています。
 このゲーム、ネットではいまいち評価が高くないですが、楽しもうと思えば十分楽しめるポイントはあります。
 
 
 
 さて、では悪い点ですが。
 何をおいてもシステムが死ぬほど使いにくい。
 メッセージスキップ機能が”CTRLキー押しっぱなし”しかない上、スキップ自体も左クリック連打に毛の生えた程度の早さしかない。
 必須のイベントシーンで長いメッセージが出ることも多く、とにかく再プレイに非常に時間がかかる。
 そしてそれ以上に駄目駄目なのが、ゲームの基本システム。
 まず選択肢でセーブが出来ない。
 このゲーム、一部の選択肢が時限式になっており(一言で言えばサクラ大戦のLIPS)、LIPSでセーブできないのはまぁ当然かなっという気もしないではありませんが、LIPSなのは序盤のいくつかの選択肢だけで、後半では無いに等しい。
 すなわち、単に選択肢でセーブが出来ないという使いにくいだけのシステムになってしまっている。
 さらにマップ移動でも、舞台となる街のマップが表示され、行きたい場所のアイコンをマウスカーソルでクリックする……というタイプの物でありながら、どこに行けば誰と会えるのか全く表示されない。
 その上マップ移動画面ではセーブ不可。
 先述のメッセージスキップの遅さと相まって、まともにやってたらクリアする気力を根こそぎ奪われそうになります。
 まぁ攻略情報はネット上にいくらでもあるので、それをあらかじめ探しておけばマップ移動の不便さは解消できますが、スキップの遅さはいかんともしがたい。
 このスキップも、一応オートで飛ばせるようにはできるのですが、
「CTRL+ALT+DEL」同時押しで強制終了メニューを出し、それをキャンセルする
というバグのような技。
 ってゆーかこれ単なるバグだろ。
 しかしそれでも遅さは変わりません。
 あまりにも遅いので、ぼくはセカンドプレイ以降、スキップさせてるときは後ろで「シレン2」をやってました。
 嗚呼なんて不真面目なプレイスタイル。
 
 
 
 …以上、ダラダラと無駄に長く解説してみましたが。
 結論を一言で言えば
「システムの駄目駄目さを除けば悪くないゲームである」
につきます。
 ただ、これを書いている11/9現在、クリアしたのは綾菜以外の五人分のシナリオ。
 綾菜シナリオが一番出来が良いらしく、このシナリオをラストに回した方が良いという話を聞いたので、トリに持ってきました。
 このシナリオを遊んだら、「カナリア」の評価も変わるかもしれません。
 みつめてナイトやメモリーズオフがある一人のシナリオを見たかどうかで評価が分かれるように。
 
 
 
 最後に、超私的な感想。
 ヒロインの一人、主人公の妹の「絵理」が非常に良い味出してます。
 妹なのにヒロインってことは………まぁつまりそーゆーシナリオなんですが。
 すげー良いキャラです、絵理。
 こおろぎさとみさんの舌っ足らずな口調もピッタリ。
 EDCGもすごく良いし、メッセージも最高にセンスが良くて、伝説の妹・鳴沢唯に太刀打ちできる妹がようやく現れたな、と思いました。
 いやマジで。
 妹キャラ属性の人なら、これだけで十分遊ぶ価値があります。