はっぴーぶりーでぃんぐ/Windows
 
 
2002.06.26

 新生purpleの純愛癒し系エロゲ。

 普段ならここで、前フリとしてのバカ話を一つ二つ書くところですが、本作の場合はそー

ゆーことしたくありません。

 下手なことして汚してはいけない気がするからです。

 なので、今回はボケ無し。

 正面から真面目に語ります。

 

 

 

 

 最初にゲームの概観について。

 父母の出張により一人暮らしをしていた主人公宅に、犬・猫・鶴・金魚から人間になっ

た四人の女の子がやってくる、というお約束な設定。

 シナリオ・演出等は佳作レベルですが、全体的な雰囲気が非常に良い。

 パッケージに『現代のおとぎ話』と書かれていますが、それも納得できる。

 この辺の話は後述しますが、心温まるいい話です。

 

 

 

 

 このゲームでは、四人の元動物ヒロインが居候となるわけですが。

 四人とも、非常に純粋で魅力的なのですね。(つまり萌えってコト)

 皆嫌味の無い素直な性格をしているから、単なる日常のシーンを見ているだけでほのぼ

のとしてくる。

 共通シナリオ部分が多く、ヒロイン毎の個別シナリオは短い&展開が似たり寄ったり&

先の展開がバレバレとあんまり良いところないのですが、それを十分にカバーできていま

す。

 再プレイが容易でゲームの難易度も低いため、全員分のエンディングを見ようかな、と

いう気にさせてくれます。

 

 

 

 

 本作は『絵本』です。

 子供は絵本を読んで成長し、大人も絵本を見返して昔を懐かしむものです。

 絵本だから悪い人はいないし、いつも楽しく笑っていられるし、悲しい事があっても最

後は必ずハッピーエンドで終わることができます。

 このゲームは、そういう『優しいお話』なんです。

 残念なことですが、本作は決して”傑作”ではありません。

 単純にシナリオ主導型ADVとして見れば、本作の上を行くゲームはいくらもあります。

 また全体としてのボリュームも少なめで、メッセージスキップ機能が高性能であること

もあり、五時間程度でコンプリートできてしまいます。

 しかし、『絵本』としてみれば、これくらいで丁度良い気もします。
 あまりたくさん詰め込みすぎても、食傷気味になるだけですから。

 欠点を美点にすり替えているように見えるかもしれませんが、実際のところ、本作の

『ゲーム』としての欠点は、『絵本』として見た場合、長所となるのです。

 そこまで計算して本作を作ったのだとしたら、本当に大したもの。

 スタッフを褒めるしかありません。

 ただ、最後に苦言を呈するなら、絵本で\8,800は高価い。

 \3,800くらいなら、コストパフォーマンスが十分高いので、「2002年の十傑集が一人」

くらい言えたのですが、残念ながら現状ではあくまでも佳作。

 それでも見るべきものは多いので、\4,000くらいで買える機会があれば、即買いしてお

くことを薦めます。

 壮大な英雄物語や心が震える熱血ドラマはありませんが、『童心にかえって遊べるエロ

ゲ』なんてそうそうないですよ。

 

 

 

 

 追記。

 ヒロイン個別シナリオに関して否定的なことを書きましたが、雪乃シナリオだけは別格

だと言うことを付け加えておきます。

 雪乃シナリオも、短い&展開が似たり寄ったり&先が読めるという点においては全く同

じなのですが、本作品中唯一の泣けるシナリオになっています。

 最も劇的で心が痛むシナリオ。

 これ以上はネタバレになるから書けませんが、本作のメインヒロイン的位置にいるのは

雪乃であり、仮に本作が絵本だったとするならば、その中では雪乃のエピソードが描かれ

ていることでしょう。

 雪乃シナリオは本気で良い出来なので、もし本作を遊ぶ機会があったら、雪乃シナリオ

はトリに回した方が良いです。

 

 

 

 

 余談壱。

 このゲームを遊ぶと、夏の縁日に行って金魚掬いをしたくなります。

 ぼくは今年の夏にしに行く予定。

 んでもって雪乃って名付ける。

 

 

 

 

 余談弐。

 本感想雑感レビュー執筆中、幾つかギャグネタを書こうかなと思いましたが、やめまし

た。

 そーゆーことをしてはいけない気にさせられるのです。

 例えるなら、子供の頃好きだった絵本に黒マジックで落書きするような気分。

 本作は『おとぎ話』であり『絵本』なのだから、ツッコもうなどとは思わず、素直に楽

しめばそれで良いのでしょう。