BLUE/Windows
 
2002.08.03
 エロゲー界への新規参入ブランド・キャラメルBOXのデビュー作。

 ……だったんですが、なんですかこの面白さは。

 おっそろしく出来が良い。

 これホントに第一弾?

 ぢつはスタッフ皆、どこぞのエロゲメーカーで武者修行積んでるんじゃないの?

 赤い彗星のシャアは初の対MS戦闘において

「連邦のMSは化け物か?!」

との名言を残しましたが、本作においてはさしずめ

「キャラメルBOXのエロゲーは化け物か?!」

といったところです。

 よくもまあこれだけ完成度の高いモノを作れたものだ。

 

 

 

 

 ではゲームの話を始めますが、その前に、いつものごとくキャラメルBOXのサイトでBLUE

の情報を見てきて下さい。

 イヤ手抜きじゃないですよ?

 こーゆー基本部分をクドクドクドクド書くのって嫌なんです。

 わざわざ説明しなくたって実際にやりゃあわかることですし、画像のないテキストオン

リーではイマイチ理解しにくい事柄ですから。

 ついでに言えば、CGの画風を予めチェックしておくのは悪いことじゃありませんしね。

 これらの理由により、ぼくは毎度毎度、オフィシャルサイトのソフト紹介ページを見る

よう薦めるわけです。

 繰り返しますが、決してボクが手抜きしたいからじゃないですYO。

 

 

 

 

 見てきていただけましたか?

 ではまず、ゲームシステムの補足をしておきます。

(…よくよく見直すと、この辺knotの感想レビューとほとんど同じテキストになってるな。
まあいいや、面白みの無い話は早めに片付けておきたいから)

 このゲームのシステムは、『うたわれるもの』が一番近いですね。

 基本フォーマットがADV32、毎日の放課後に移動先を選んでヒロインと会って話を

進めて行くタイプ。

 ただし、どこに行けば誰と会えるかは全く表示されません。

 この辺も『うたわれるもの』と同じなわけですが、学園ラヴコメ物としてはあんまり褒

められるシステムじゃない。

 本作には昔懐かしい『前の選択肢に戻る』コマンドがあるので、スカッたと思ったらす

ぐ移動先選択まで戻れるのですが、面倒なことに変わりはない。

 せっかくシナリオでいい味出してるのに、システムの粗がゲームのテンポを崩してしまっ

ているのですね。

 このゲーム唯一の難点。

 これさえなければパーフェクトだったのに、実に惜しい。

 ま、攻略情報を拾っておけば気にせずに済むので、殊更に問題視するほどでもないか。

 

#『前の選択肢に戻る』コマンド、LVNS以来じゃなかろうか。
#そういえば痕リニューアル版と発売日が同じでしたっけ。

 

 

 

 

 では気を取り直して、キャラ・シナリオの話。

 今回は各キャラシナリオごとの感想を書いていきます。

 感想レビューを何本も読んでくださっている方ならお分かりかと思いますが、ぼくが個

別に感想を書くのは、よっぽど気に入ったゲームだけです。

 それくらい面白かった。

 なお感想はネタバレが多いので、危険箇所にはネタバレガードつけてます。

 その辺はクリアしてから読んで下さい。

 クリア前に読んでもいいけど、本編プレイ時の楽しみが確実に半減しますYO。

 

 

霧島水帆:
 外見からして「私はメインヒロインよッ!」と全力で主張しているヒロイン。
 シナリオの半分が春と重なっているけど、普通に出来の良いシナリオでした。
 ただ、『優生学』のエピソードが中途半端だったと思う。
 水帆の結婚相手も当然優生学に基づいて決められるのだろうから、その点において和真
は不適当な人間のはず。
 水帆の両親や周りの人間が絶対反対しそうで、その辺の描写もあると思っていたんだけ
ど(例えば親に無理矢理転校させられるとか)、無かったですね。
 物分りのいい親なのかねえ…パターンから言っても優生学に拘りそうなんだけどなあ。
 ところで水帆が俯いてる立ち絵、どっかでそっくりな立ち絵を見た気がするんだが…うー
ん、思い出せない。

 

 

河原崎春:
 『河原崎家の一族の方ですか?』とツッコミたくなるヒロイン。
 いかにも〜なボーイッシュスポーツ少女で、ある意味速瀬水月に似てるかもしれないが、
髪型は正反対やね。
 これまたシナリオに関しては特に言うことなし。
 面白いしちゃんとまとまってるしで問題なし。

 

 

朝凪鈴子:
 『眼鏡っ子といえばやっぱり天然系ですか?』な幼馴染み。
 でも、シナリオに関してはやっぱり言うことなし。
 きちんと面白いから、ツッコミようがないのですね。
 強いて言うなら、エンディングが某ゲームの某キャラと同じだったなあってくらい。
 ちなみにパッケージ裏面に載ってるイベントCG中、鈴子先輩のCGは一枚も無い。
 あまりといえばあんまりな仕打ち。

 

 

日向なずな:
 義妹だからそれだけでオールオッケー、なヒロイン。
 ボクの壱萌え。
 だって妹ですYO?
 しかもダウナーですYO?
 そんな子が、
「ひとりにしないで…お願い…だから…ひとりにしないで…」
とか言うんですYO?
 シナリオ終盤、Yシャツ一枚でベッドに横になってるCGなんかもうサイコウ。
 コレ一枚でご飯十杯は食べられます。
 正直なところ、ぼくがBLUEを買った理由の八割は、キャラメルBOXのサイトでなずなの
CGを見て、
「うおッツ! こ、こんな妹がいるのかッツ! これはやるしかないッツ!」
ッツだらけのセリフが脳内を飛び交ったからなのですYO。
 その予感はクリティカルに大当たりでした。
 まさかダウナーな妹がこれほど美味しいとわ。
 なずなサイコウです。
 神様、ウチの妹いらんからなずなを下さい。
 …って全然感想じゃないな。
 でもシナリオの感想ったってねえ、とにかくなずなが健気で可愛いとしか言えぬ。
 話の主筋がしっかりしているから、その分キャラの魅力がよく表されている、とも言え
るんだろうけど。
 ンな面倒なこと考えず、なずな萌へ〜とか言ってりゃボクは満足デス。

 

 

葉月みりあ:
 『最後の闘神ですか?』或いは『マクシミリアン=ジーナスの妻ですか?』とツッコミ
たくなる、ツッコミどころ満載のヒロイン。
 27歳で幼児体型で主人公クラスの担任教師で撫で撫でされるのが好き、という色んな意
味で素晴らしいキャラ。
 シナリオはやっぱりよく出来てるけど、ちょっと展開が唐突な印象がある。
 他のシナリオに比べ、和真がみりあ先生を好きになる経緯がイマイチ。
 でもまあ許容範囲かな。

 

 

柳雪乃:
 延々五人の話を書いてきて、やっと雪乃の番になったか。
 はっきり言って、シナリオ的にじっくり語りたいと思ったのは雪乃シナリオ一本なんで
す。
 BLUE凄く気に入ったし、それぞれのキャラについてもじっくり書きたいなと思ったから
全ヒロイン分書いたけど、実際には雪乃となずなだけでも良かったくらい。
 それっくらい雪乃シナリオは良かった。
 雪乃シナリオ遊んでビビりました、どうみてもメインヒロインには見えないのに、シナ
リオがこんなにヘヴィで感動的だったとは。
 ぼくはこの手の粘っこい話って好きじゃないんですが、ちゃんと話を完結させてるのが
偉い。
 シナリオ展開の中でプレイヤーに散々嫌な思いをさせ、主人公である和真と感情をシン
クロさせていき。
 ラストで一気に事件を解決し、悪党にはそれに相応しい結果を突きつける。
 このカタルシスが気持ち良い。
 しかも純粋なハッピーエンドではないため、和真の
「みんなが悲しい思いをするだけだった、嫌な事件」
という形容に素直に納得できる。
 『雪乃が佳苗と同化する』というやり方も出来たはずなのに、それを良しとせず、雪乃
を本当に消滅させてしまった。
 佳苗の中に雪乃の記憶が残っていたとか、そう言った描写も一切しない。
 この徹底した姿勢は見事の一語。
 雪乃シナリオは間違いなく、本作中で最も出来の良いシナリオですね。

 

 

最後に全シナリオ総観:
 シナリオの偏重がほとんど無く、(一人を除いて)どのヒロインもメインヒロイン級の
見せ場があるのが印象的でした。
 奇跡や魔法などの超常的な要素、及び『シナリオの謎』もほとんど無い。
 それでいてこれだけの物が書けるというのは本当に凄い。
 今後にも大いに期待できそうです。

 

 

 むやみやたらと長くなってしまいましたが、シナリオ感想は以上です。

 というか、これでBLUEについて書きたいことはあらかた書き終えました。

 最後にHシーンについて書き足して終わります。

 

 

 ぼくはエロゲーを遊ぶ際、H度は全く考慮しません。

 シナリオ・CG・キャラ・音楽辺りを重視するので、それらさえ良ければ後はどうでも

良いのです。

 だから今までエロゲーについて色々書いてきてもH度にはほとんど言及しなかったので

すが、本作に限ってはそうも言っていられないようです。

 本作のエロシーンは、学園ラヴコメ物の基本『終盤に一回』なのですが、シチュエーショ

ンが大変に宜しい。

 細かく書くと実際見たときの感動が薄れるでしょうからここでは伏せておきますが、ス

タッフはよく分かってる。

 エロゲーマーがどーゆーぇちを望んでいるか熟知してますね。

 雪乃シナリオとは別の意味での徹底した姿勢に、賞賛の思いを禁じ得ません。

 お見事!

 

 

 

 

 余談。

 本作の主人公名は『日向和真』ですが、これまたツッコミがいのある名前です。

 タイガーショットの使い手もありますが、ぼくとしてはそれ以上に『カズマ』の方に注

目したい。

 ぼくにとって、『カズマ』は異次元騎士カズマこと桜木和真ただ一人なんです。

 さすがにこの異次元騎士カズマシリーズを知ってる人は少ないだろうなぁ。

 今までに読んだ小説の中でも三本の指に入るほど好きなシリーズで、ぼくはこのカズマ

に多大な影響を受けてるんですが。

 ぼくの書くSSは無論のこと、AVGを遊ぶ場合もカズマが基準。

 少なくともカズマと比べることが出来るレベルのものでなければ、面白いとは思いませ
ん。

 そもそも、ぼくの持論『主人公は格好良くなければならない』も、カズマが大元。

 カズマは素晴らしく格好良い主人公で、そのために作中で女の子にモテまくっても大い

に納得できる。

 ついでに言えばこのカズマシリーズ自体、ちょっとエッチな場面が多いのですが、それ

もほとんどが間接的な描写。

 ああ、今こうやってまとめて書いてみて初めて気付いたけど、今のぼくのエロゲ指針の

ほとんどがカズマに依ってる。

 誇大でも誇張でもなんでもなく、カズマ読んでなかったら今のぼくはいないな。

 だから是非たくさんの人にカズマシリーズを読んで欲しい…と言いたいところですが、

今からの入手は極めて難しい。

 角川文庫・角川スニーカー文庫から出ていたのですが、未完の上、最新刊が出たのが十

年前。

 続きはまず出ないだろうし、今更重版がかかるとも思えない。

 エロゲーマーには絶対に読んで欲しいシリーズなんですが…残念だ。