BALDR FORCE.EXE/Playstation2
 
2005.04.26
 
 本作は、戯画制作のエロゲが、アルケミストによってDC・PS2に移植された、よく
 
あるパターンのPC移植作です。
 
 発売当初は全く知らなかったのですが、ユーゲーで非常に高く評価されていたのを目に
 
し、PCゲーにありがちな単なるADVでもないらしいので、買ってみました。
 
 キュリオ・パルフェと戯画のゲームで楽しんだ後だったし、シナリオ・バトルアクショ
 
ンともハイレベルと書いてあったので、かなり期待したのですが、丸出ダメ男でした。
 
 詳しくは後述しますが、これやるくらいならパルフェとかテイルズオブシンフォニアと
 
かやった方がいいです。
 
 以下根拠を書いていきますが、その前に定例のオフィシャルサイト参照よろすく。
 
 
 
 
 
 
 ではまずシナリオについて。
 
 バルドフォースサイトでは、透達の初期設定を”ハッカー”と書いてますが、
 
意図的な書き間違いなんでしょうか?
 
 ゲーム始まって最初に透達がするのは、大手企業の機密情報を盗み出して、それをデー
 
タ故買屋に高額で売りつけることなのですが、それってクラッカーじゃないんですか?
 
(透は、モノローグで「売ったデータをどう使うのか、それは俺たちには関係ない」とま
 
まで言ってるし)
  
 ハッカーってのは、高いプログラミング技術を持つ人間への尊称だと思ってたんで
 
すが、戯画的には違うのでしょうか?
 
 んで、その後透達のクラッカーチームが解散することになり、最後にデカイ花火上げよ
 
うってことでクラック対象にFLAKという軍事施設を選び、それが失敗して迎撃され、親友
 
が透を庇って死ぬ。
 
 そのために透はFLAKに深い恨みを持ち、復讐を誓う。
 
 ちゃんちゃら可笑しいですね。
 
 FLAK側の正当防衛(少々過剰かもしれないが)を逆恨みして、しかも自分らの側に義が
 
あるようなモノローグ垂れ流すとは、もう怒りも呆れも通り越して失笑しか浮かびません。
 
 クラックをしかけた透側と、機密データを守るための防衛行動に出たFLAK側、どちらが
 
悪いのかなんてこたぁ幼稚園児だってわかる。
 
 その上、透本人は
 
「自分らは誇り高いハッカーだ、クラッカーではない。テロリストでもない。FLAKに親友
 
が一方的に殺されたのは絶対許せない、復讐する。俺たちは悪くない」
 
と思っているのがモノローグの端々から窺えて、もうどうしようもない。
 
 ガキの思考、とてもじゃないが感情移入なんかできない。
 
 これほどカッコ悪い主人公を見たのは久しぶりです。
 
 君が望む永遠の鳴海孝之と同レベルのカッコ悪さ。
 
 他のキャラは悪くないのに、主人公がどうしようもない下衆野郎だから、納まりが悪く
 
て気持ちが悪い。
 
 ストーリーの大前提部分に主人公のみっともなさが存在するので、どうにもシナリオに
 
のめり込めないのですね。
 
 シナリオ良いって書いてあったのになあ………がっかり。
 
 
 
 
 
 
 
 一方、バトルアクションについてですが。
 
 ほとんどの攻撃にキャンセルがかかってコンボが繋がりまくる、自分流コンボを探そう、
 
というのがウリでした。
 
 で、実際やってみたのですが………なんか違くない? と違和感があり、もうしばらく
 
遊んでやっと違和感の原因がわかりました。
 
 この手のバトルアクションゲームは、基本的に
 
「攻撃を喰らったら仰け反り、仰け反り中は行動不能になる。この間に連続攻撃を加える
 
ことでコンボになる」
 
のがお約束。
 
 だから、敵の攻撃をガードしつつ隙を見て一気に連続攻撃を叩き込んで大ダメージ!
 
というカタルシスが存在するわけです。
 
 最小限の被ダメージで最大限の与ダメージを加えることが醍醐味であります。
 
 しかし、本作は違う。
 
 敵も味方も、攻撃を受けても仰け反らない。
 
 常時スーパーアーマー状態なのです。
 
 だから、確かにこっちの攻撃は当たるしコンボにもなるけど、その間敵の攻撃もばりば
 
り喰らうわけです。
 
 せっかく敵の攻撃をかわして攻撃しても、コンボ中に敵の反撃を食らうので、敵の初弾
 
をかわした意味が薄い。
 
 上記カタルシスが無いのです。
 
 冒頭でテイルズオブシンフォニアをやった方が良い、と書いたのはこのためでして、シ
 
ンフォニアの戦闘はこのカタルシスが素晴らしい。
 
 ハードモードでソードダンサー相手に200HITとか出すのがスゲー楽しかった。
 
(補足、ソードダンサーとは中ボスの一体で、超強力な範囲攻撃・全体攻撃魔法を持って
 
いるので、僅かな隙をついて的確に仰け反らせ、コンボコンボコンボコンボで繋ぎまくっ
 
て一気に削らないととても倒せない強敵。HPが15万とかあるので200HITしても3分の1程度
 
しか減らせなかったりするのですが、次の隙を狙う緊張感がまた楽しいんだなぁ)
 
 単なる殴り合いに過ぎない本作のバトルアクションを遊ぶくらいなら、シンフォニアの
 
バトルの方がずっと面白い。
 
 バトル良いって書いてあったんだけどなあ………がっかり。
 
 
 
 
 
 
 
 というわけで。
 
 かなり期待して購入した本作ですが、シナリオは主人公がチンカス野郎のため台無し、
 
バトルは上位互換といえるシンフォニアやり込んだ後だったのでイマイチ、という非常に
 
残念な結果となりました。
 
 せっかく買ったんだし、この後の展開で主人公が自分のヘタレさを認識してカッコよく
 
なる可能性も無くは無いので、もうちょっと遊んでみようとは思ってます。
 
 拝み屋京極堂も、批判するためにはその対象を良く知らなければならない、みたいなこ
 
と言ってますしね。