AS エンジェリックセレナーデ/Windows
 
2002.6.29

 工画堂スタジオなる一般パソゲー専門メーカー製作の、一般PCソフト。

 一般パソゲーメーカーというと、ぼくは日本ファルコムくらいしか知りませんでしたが、

この工画堂も色々出してるみたいです。

 まあ一般パソゲーとは言っても、エロゲーからHシーンを取り除いたものという感じの

ソフトが多いので、つまりはPCにおけるギャルゲーメーカーってことですな。

 LWシリーズなんかは結構やってみたい気もする。

 

 

 

 

 では本作『AS エンジェリックセレナーデ』についてですが。

 ゲームシステムに若干の難があるものの、総合的にはかなりの高得点をマークしていま

す。

 その辺の根拠をいちいち細かく述べていくと、感想雑記レビューが無駄に長くなってし

まうのでやりたくないのですが、本作は単純なADV32システムのゲームではなく、ま

たストーリーもある程度把握していないとぼくが受けた感銘を理解してもらうことはでき

ないと思うので、長くなるのを覚悟の上で書いていきます。

 ぼくの文章力のなさに免じて、どうぞお付き合いください。

 長々と読むのが嫌だという方は、7行上の結論さえ理解していただければ結構ですよ。

 

 

 

 

 まずゲーム全体の概観。

 記憶を失い、『天使の呪い』によって不死となった楽士(デフォルト名クラビス:変更

可)が、呪いを解く手段を求め、天使を祀る街『フォンティーユ』へやってきた、という

のがOPストーリーです。

 クラビスはフォンティーユで、口を利けないが歌は歌える不思議な少女ラスティと出
会い、ラスティが街の人々に迫害を受けていることを知り、ラスティが受け入れてもらえ
るように、一緒にセッションをしていくことになります。

 このセッションがビーマニライクの音ゲーになっているのですが、これがスゴい面白い

のデス。

 ミュージックアクションゲームとしてよく出来ているということもありますが、何より

歌が非常に良い。
 ゲームプレイ後にも思わず口ずさみそうになるほど。

 実のところ、セッションの成否はストーリー進行とは全く無関係なのですが、失敗する

とかなりヘコみます。

 

 

 

 

 ゲームの基本システムは、3Dクォータービュー表示のフォンティーユの街を適当に動

き回り、イベント時にはADV32システムになる、というもの。

 サクラ大戦のADVパートをイメージしてもらえば概ね合ってます。

 しかし、本作の最大の難点がこのマップ移動システムなのですね。

 序盤〜後半まではいいのですが、終盤になって特定ヒロインのシナリオに入った後は、

無意味に近い。

 イベントが自動発生となるので、マップ移動パートではすることがない。

 ただ時間を潰して、次のイベント発生を待つだけとなるのです。

 せっかくシナリオが盛り上がってきているのに、いちいちマップ移動パートを挟まれて

は演出のリズム・テンポが崩れてしまう。

 このゲームのシナリオは、終盤の展開で一気にガーッと魅せるタイプなのだから、特定

のヒロインルートに入った後はマップ移動パートをカットして欲しかった。

 たったそれだけで、相当遊びやすくなったと思うんだがなあ。

 

 

 

 

 難点について書いたので、もう一つの大きな難点を書いておきます。(このゲームは難

点を二つ抱えているのです。逆に言えば、それら以外は非常に良い出来だということですが)

 それは、修正パッチを当てなければ不具合が頻発するということです。

 はっきり言って修正パッチなしではまともにゲームにならない。

 一応工画堂スタジオに請求すれば、パッチファイルをCDで送ってくれるらしいけど。

 パッチが不可欠というのは、パッケージソフトとしては落第ですよね。

 この点に関しては弁護のしようが無い。

 

 

 

 

 さぁて。

 大体これくらいで、システムと難点は書き終わりました。

 以下、キャラ・シナリオ・BGMに関しての絶賛を開始します。

 というか、こうやって丁寧に細かく書いてきたのは、ひとえにラスティシナリオでマジ

泣きしたからです。

 ラスティシナリオ一本でベタ惚れしてしまいました。

 ではキャラの話から。

 

 

 

 

 このゲームのメインヒロインは、オッドアイを持つ12歳の少女・ラスティ=ファース

ン。

 12歳です12歳!

 エロゲーじゃないからエロシーンはないけど、そのかわりに年齢を堂々と言うことがで

きる。

 12歳12歳12歳12歳12歳!

 先述したとおりに言葉を話せないので、「うーうー!」とか「…あ…あう?」とかしか

言えません。

 だから会話はゴン太君方式で行われるのですが、これがメチャ萌える!

 飯塚雅弓嬢の好演が光ります。

 星野ルリ@南央美嬢並みの好演。

 ロリ好きでなくともオチる可能性大。

 その他のヒロインもなかなかに萌えるデザイン。

 成瀬ちさと氏の絵の上手さもありますね。

 ラスティ以外にも密かにロリキャラいるし。

 

 

注)ゴン太君方式:

 今は亡きNHK教育番組『できるかな』に由来するコトバ。

 手先が器用だけど口を利かない「ノッポさん」と、ナゾの宇宙生物「ゴン太君」との会

話の仕方から名付けられた。

 主な使い手はTHの来栖川芹香先輩。

 

 

 

 

 次、シナリオ。

 さすが久遠に関わった小林且典氏だけあって、なかなかに読ませてくれます。

 ラスティトゥルーエンドは本気で泣いた。

 お約束な展開なのに、テキストが上手すぎる。

 反則級に泣ける。

 テキストが上手いとトクだなあ。

 

 

 

 

 音楽関係。

 さすがに『歌』をメインテーマに据えてるだけあって、耳に心地良い曲ばかり。

 その『歌』も名曲揃いで、演出にまで組み込んでるのが心憎い。

 エンディングテーマ『羽根のブランケットにつつまれて』がまた良い歌なんだ、これが。

 スタッフロールと共に流れるこの歌を聴いてると、それだけでちょっとジーンと来る。

 

 

 

 

 さらに突っ込んだ話。

 このゲームにはエロシーンはありませんが、ギャルゲーお約束のサービスシーンはあり

ます。

 まあ基本的には着替えを覗いちゃったとかですが。

 ですが!

 ですが!!

 ラスティシナリオにおいて、テキスト差し替えたらまんまHシーンやんけ!

というCGがあります。

 いやマジで。

 ホントにエロゲーと見紛うようなCG。

 しかもこの時の会話がまた微妙。

 本作は一般作であるため、昨今のエロゲーのように、『このゲームに登場するキャラク

ターはみんな十八歳以上なんだよ、おにいちゃん』などという建前は必要ありません。

 だからラスティは12歳12歳12歳! とはっきり言える。

 嗚呼、年齢を声高に主張できるってスバラシイ。

 いやまあそれはともかく、ラスティはロリキャラとして超萌え萌エで、さらにエロCG

に近いものまであるときてる。

 ロリペドなら買うしかないですYO。

 

#つーかこの局面でラスティを喰わないなんてどうかしてるぞクラビス。

#エロゲーならぜってーエロシーン突入だ。

 

 
 
 
2002.07.02
 
 コンプリートしました。
 以下、ラスティトゥルーエンド後に見た三つのエンディングについての感想。
 
 
 サーリアトゥルーエンド、あまりにも悲劇的な終わり方にビビる。
 これまで色々ギャルゲ遊んできましたが、エンディングCGが痛かったのは初めてです。
 すげーキツい終わり方だった。
 そのすぐ後に今度はサーリアハッピーエンドを見る。
 意外な真相が明らかに。(←なんか週刊誌の見出しみてぇだな、コレ)
 クラビスの設定が上手く活かされていたり、シナリオ中さらっと語られていたことが実
は伏線だったり、と良く練りこまれたお話でした。
 トゥルーが痛すぎる分、余計そう感じたのかも。
 そして最後がラスティハッピーエンド。
 感無量。
 このエンディングだけじゃなく、その先のシーンまで連想できるような、素晴らしいハッ
ピーエンドでした。(ネタバレガード)
 つーかあの時点でラスティ何歳なんだろ…いくらファンタジーとはいえ12歳で結婚で
きるわきゃないよなあ…でもマジで12歳だったりして…。
 まあそれはともかく、さすが小林且典氏。
 久遠でとった杵柄は伊達じゃない。
 大したもんです。
 
 
 
 このゲームに関して語るべきことは、大体これくらい。
 最初に書いたとおり、システムの難さえ乗り越えられれば大変楽しめる一本です。
 ポールポジションは取れないけど、フロントロウにはつけられますね。
 これはやってみても良いかと。
 
 
注)フロントロウ:
 F1などのカーレースにおいて、予選ラップタイム二位だったマシンのスターディング
グリッドのこと。
 
 
 
 
 以下余談。
 余談壱。
 本作は、工画堂スタジオのゲーム『AC エンジェリックコンサート』の直接的な続編
であると思われます。
 そっちと関連していそうな話もチラホラ出てくるので、ACを先に遊んでおいた方が良
いかも。
 ぼくも、ACを見かけたら買って遊んでみるつもり。
 
 
 
 余談弐。
 本作には著名な声優として、飯塚雅弓嬢・小森まなみ嬢、そして堀江由衣嬢が出演され
ています。
 しかし、このうち堀江由衣嬢が演じるキャラだけはヒロインじゃなかったりします。
 いやいや、思い切った選択だな工画堂。
 堀江由衣嬢を招聘したとあれば、シナリオを無理矢理こじつけてでもヒロインにしよー
とするものだと思っていたんだけど。
 ある意味尊敬に値する。
 
 
 
 余談参。
 本作は主人公名が変更可能なので、ヒロインのCVも、主人公名だけすっ飛ばして喋る
ようになっています。
 つまり、例えば
『クラビスさんのおかげで助かりました』
というセリフなら、
『のおかげで助かりました』
と発声されるわけです。
 しかし、これはエレガントさに欠けるやり方だと思うのですね。
 こーゆー場合、主人公名の部分を『あなた』とか『きみ』とかに置き換えて喋るべきだ
と思うのですよ。
 実際にそうしてるゲームも時々見かけます。
 こっちの方がゼッタイに良いと思うんだがなあ。