トランスフォーマーの謎


謎1:コンボイは誰に殺されたのか?

 トランスフォーマー最大の謎といえばこれ。映画「TFM」がビデオ発売されたことで解決したが、日本では長い間コンボイの死因は謎とされてきた。
 これは「TF」・「TFM」・「2010」と続く連作のうち、TFMが日本では劇場公開されず、TF最終回の翌週に2010放映開始というところからきた矛盾である。TFMで進展したストーリー(コンボイの死、ロディマス司令官の誕生、ユニクロンの登場と破滅、ガルバトロンの登場……)がいっさい説明されないまま2010に入っていった。
 しかしさすがに「コンボイが死んだ」という大事件を未説明にするわけにもいかず、タカラは「コンボイは何ものかによって殺された」というミステリー仕立ての説明をし、これを玩具販促のキャンペーンとした(「コンボイが死んだ!」キャンペーン)。
 このキャンペーンでは、玩具売場に断末魔のコンボイを描いたポスターが貼られ、TVでは実写のコンボイの死骸がヘリ数機によってアメリカ人の大衆の上を飛んでいくというCMが流れた。
 また、タカラから発売されたファミコン用ソフト「トランスフォーマー コンボイの謎」に至っては、ウルトラマグナスを操作してコンボイの死の謎を解く、という、もうここまできたら何でも商売にするなぁという展開を見せた。ちなみに同ゲームは単純なアクションゲームで、RPGやアドベンチャー的要素はまったくなかった。隠しステージでメガトロンのセピア調の映像をみることができ、ようするにこれがコンボイを倒した人物を表していたのだろうが、全く説明不足でその映像・演出だけでは何のことだか分からない。TFMで真相が明らかになって初めてゲームの意図が分かったくらいである。
 TFMのビデオ発売はTFVが放映中の頃だったが、タカラのTF販促機関「トランスフォーマーステーション」に登録されているメンバーには、その機関誌の中でいち早くコンボイの死因が明かされていた。HM放映中の頃で、コンボイが復活を果たし再び倒れる前のことだった。
 さて、肝心のコンボイの死因だが、TFMを鑑賞していない人のために記しておくと……。

 地球歴2005年、セイバートロン星から地球のサイバトロンシティにメガトロン以下デストロン軍団が奇襲攻撃をかける。セイバートロン星の月にいたコンボイは地球からの援助要請を受けてダイノボットとともに飛来する。
 そうしてメガトロン対コンボイの一騎打ちが始まる。
 戦いは格闘戦になり、両者ボロボロになりながらも、最終的にはメガトロンの顔面にコンボイのパンチが炸裂。メガトロンはダウンする。
 コンボイはゆっくりと銃を取り、メガトロンに照準を合わせる。しかし、コンボイの死角に別の銃が落ちているのを見つけたメガトロンは、コンボイに哀願する振りをしながら、その銃に手を伸ばす。
 これに気づいたホットロディマスはメガトロンに飛びかかるが、一瞬早く銃を手に入れたメガトロンともみ合いになり、逆に盾にされてしまう。
 「邪魔だ、ロディマス」銃を撃つことができないコンボイ。ついにメガトロンの手から銃が発射され、戦いの途中で既に傷ついていたコンボイの脇腹に命中する。コンボイはもんどり打って倒れ、戦いの攻守は逆転する。
 銃を片手ににじり寄るメガトロンに対し、万策尽きたに見えたコンボイは最後の力を振り絞り、両腕のハンマーパンチをメガトロンに見舞う。メガトロンは吹っ飛び、基地の数階下まで転落、遂に行動不能になる。
 だが一方のコンボイも、立ち上がろうとするが膝が崩れ、勝ち鬨を上げることができない。そしてデストロンの敗走を見届けた後、ウルトラマグナスに指揮権を託し、そのまま基地内で息を引き取ったのである。

 つまり、2005年、メガトロンとの一騎打ちに勝利するも、その傷が元で戦死、というのが正解。
 コンボイの復活・死亡の記録は以下の通り。

2005年 メガトロンとの一騎打ちで負傷、地球にて死亡する。
2010年 クインテッサ星人の手で一部機能を除き復活。
その後良心を回復させ、自ら宇宙船ごと罠に飛び込み行方不明(死亡)
2010年 地球人科学者によりコンボイの宇宙船発見。
クインテッサ星人の手により復活。
2011年 ベクターシグマのコントロールのため、全エネルギーを失い機能停止(死亡)
不明 デストロンに奪われていたコンボイのボディをバトルスターズが奪還。
ダイアトラスからゾディアックを授けられ、スターコンボイに転生。

謎2:「兄弟」と「同型機」はどう違うのか?

 トランスフォーマーのキャラクターの中には、何組か兄弟がいる。
 有名なところでは、サイバトロンのランボルとアラート(TF)、デストロンゴッドマスターのハイドラー・バスター(MF)。また、デストロンカセットロンのフレンジーとランブルも兄弟トランスフォーマーである。
 上記のトランスフォーマーは特に「兄弟」として表現されているが、姿形が全く同じトランスフォーマーでも「兄弟」扱いではない組み合わせがたくさんある。初期のTFではアイアンハイドとラチェット、スタースクリーム・スカイワープ・サンダークラッカーのジェットロン部隊などがそれ。ここでは便宜上、こういう非「兄弟」で姿が同じ(または非常に似ている)TFを「同型機」と呼ぶ。
 そうすると、トランスフォーマーを「兄弟」たらしめる条件は何か、ということになる。以下はその推測である。
 1)同じ制作者の手による
  トランスフォーマーの設計は、ベクターシグマによって自動的になされるか、他のトランスフォーマーによってなされる。しかし、そうするともっとたくさんの兄弟TFがいるはずだ。とりあえず、コンボイはアルファートリンを「父」と認識しているし、この条件も必要条件の一つだろう。
 2)制作時期が全く同じである
  これはかなり有望な条件。しかし、同じ制作者・同じ時期に作られたダイノボットが兄弟でないことを考えると、
 3)設計が全く同じである
  という第3の条件が重要になってくる。
「全く同じ設計によるトランスフォーマーで、同一制作者によって、比較的接近した時期に連続して生産されたTFを兄弟機となす」というのが妥当な線だろう。

 ちなみにハイドラーとバスターは、人格そのものを形作っている地球人マスターフォースが兄弟だったため、ロボット状態でも兄弟である。
 また、HMに登場したクローンボット、クローントロンは、マスター星の進んだ技術によって生み出されたクローンである。双方とも、ロボットモードでは同じ姿をしているが、全く別のメカニックモードに変形する、双子の兄弟である。マスター星の科学はこうしたクローン技術に優れている。
 このことから、グランドマキシマスはフォートレスマキシマスの同型機というより、クローンであろう、という推測が成り立つ。
 また、セイバートロン星の警備ロボット・センチュリオンやガデム、デストロンカーアタッカー(プロトタイプスタントロン)は非常にたくさんの同型機が存在する、いわば量産機である。彼らが兄弟と呼べるのかどうかは分からない。量産機でもロットやディストリビュータが違うだろうし、量産機は一般に知性が低いなど、ある程度機能をスポイルしているきらいがあり、通常のトランスフォーマーと単純に同一視できないからである。


謎3:変形後のコンボイのコンテナはどこへ?

 結論から言うと、サイバトロン基地に「転送」されている
 トランスフォーマーの世界では、転送技術が確立されている。コンボイのコンテナ以外にも、各戦士用の携帯武器は、使用時に基地や保管庫から瞬間転送されてくるのである。また、スペースブリッジも大規模な転送装置である。


謎4:シリーズによってウルトラマグナスの声が違うのはなぜ?

 もちろんアニメだから、長年やっているうちに元祖のキャスティングを維持できなくなることもある。だがそれは現実世界の話。設定的に考証・推測してみよう。
 トランスフォーマーも機械の一種である。すると、人間で言えば声帯に当たる装置−−いま仮に音声発生装置としよう−−もいつかは機能が劣化し、いずれ交換する必要が生じるだろう。機械なので必要があれば交換できる。こうして何らかの理由によって音声発生装置を取り替えたため、ウルトラマグナスの声は何回か変わったのである。
 同様の理由で、バンブルは顔の作りが変わってゴールドバグになった。
 なお、ウルトラマグナスの声は、OVA「スクランブルシティ発動編」では銀河万丈氏、「TFM」および「2010」では速水奨氏、「HM」ではさらに別の声優(大塚芳忠氏)が声を担当している。


謎5:一部ロボの変形に無理があるのでは?

 これも「アニメだから」の一言でカタがつく問題である。かの「ガンダム」や「ゼータ」だって胴体はがらんどうだし、「マクロス」もしかり、だ。もともとトランスフォーメーションには無理があるのである。変形だけではない。関節数をいかに増やしても、超硬鋼製のロボットがアニメのようにスムーズに動く(例えば背中のランドセルからビームサーベルを抜く等)のは難しい。
 だが! トランスフォーマーの場合は違う。彼らはロボットであると同時に生命体でもあるのだ。
 例えばメガトロンの口などを見れば分かるが、彼らの体は常に一定の形を保っているのではなく、場所と用途によっては柔らかくグニャグニャと動く、伸縮自在の素材でできているのである。同様の説明が関節や変形時の可動部分にも当てはまる。実はトランスフォーマーの体は伸縮自在の「金属生命細胞」によってできているという設定があるのである。これは地球科学では知られていなかった金属なのだ。
 この「金属生命細胞」の変化と「転送」技術を組み合わせて考えると、ほとんどのTFの機構的疑問を解決できる。ガルバトロンの変形だって、伸縮自在、部品取り寄せOKとなれば決して無理ではない。デバスターやメトロフレックスの身長がエピソードごとに違って見えるのも、この金属生命細胞へのエネルギー配分によって若干の伸縮が可能と考えれば……。
 ところでこの「生命金属細胞」、設定として初登場したのは比較的最近で、MFのプリテンダー変身プロセスの設定である。


謎6:不死身で無敵で最強のはずのゴッドジンライが死んだのは?

 MF最終話で、ゴッドマスターを生み出したデビルZが倒れたことによって、ゴッドマスターの体に変化が起きる。融合していた人間とロボットの体が分離したのである。
 御存知のように、ゴッドマスターは、傷ついても再生可能、天・地・人の三大超魂パワーをあやつる最強の種族である。が、これらの能力も、人間と融合することによって初めて可能だったと考えるべきである。デビルZの死によって、ゴッドマスターは人格と人間なしでの行動が可能になったが、同時に以前の超能力を失ってしまったのである。
 従って、以後の彼らは、優秀でこそあれ、かの「不死身の戦士」ではないのである。傷を負えば死んで当然の生命体である。
 デスザラスの攻撃を受けて昏倒する間際のジンライが「ゴッドマスターは不死身だ……!」と言っていたのはかなり強がりである。その証拠に改造手術直前のジンライが「私はブレインマスターほど優れてはいないが、ゴッドマスターとして悔いのない生き方をしてきた」と吐露している。


謎7:「超神マスターフォース」「ビクトリー」「ゾーン」の時代設定は?

 これははっきり言って「分からない」。
 時間設定がはっきり分かっているのは、2011年のHMまでである。
 アニメ第3作HMと、第4作MFの間には直接的なストーリーの引き渡しがなく、MF本編中には年度への言及がない。従って本編の様子から推測するしかないのだが、クロームドームが宇宙任務に戻っていることなどから、ヘッドマスター戦争のあとにマスターフォース戦争が起こっていることは間違いない。
 そうすると、MFがHMの「何年後か」ということになるが、証拠は極めて少ない。ジンライや秀太たちの日常生活から判断するしかない。ところがもともとMFという作品自体が、HMまでで未来になり過ぎた時間軸を身近に戻すため、それまでの設定と関連の薄い設定・描写をしていたのか、画面に映るものは20世紀後半的なものが多く、年代特定が難しいのである。
 それでも強いて挙げると、ボーイング747型と思われる旅客機が現用で使用されている、日本に各国の子どもが通うインターナショナルスクールがある、秀太たち子どもが自動車に乗っていても不自然であるような表現がなかった、富士山麓大室山に地下基地が作られている、人類の宇宙到達手段がほとんど出てこない、地上からほとんどのトランスフォーマーが撤退していた、などから、「2011年から数年以後の、21世紀前半・比較的早い時期」ということになるだろう。
 MFと、その続編のTFVの間のインターバルもまた、不明である。サイバトロンが宇宙平和連合に改編している、ジンライが第二方面軍司令になっている、南風ジャンが地球で元マスターフォースたちの月例集会に出席したことがあるという裏設定が存在することなどから、MFから数年〜十数年後というところだろう。
 さらにTFVとTFZの間も同様に不明で、こちらはビクトリーセイバーが司令官を続けていたということからTFVからあと、ということしか分からない。


謎8:メトロフレックスとフォートレスマキシマスの身長は?

 まずメトロフレックスの身長だが、いろいろな資料から考えて、240メートルというのが現実的な解答だ。ほかにも1キロ、2キロとも言われているが、これらは基地モードでの全長だろう。(ただ、タカラのパンフに「頭頂高1キロ、腕の長さがサンシャイン60に匹敵」という記述も確認されている。)
 次にフォートレスマキシマスだが、メトロフレックスの3倍、ということになっている。しかしこれは玩具発売に先行して行われたキャンペーンの惹句で、3倍なのは、トイのフォートレスマキシマスである。したがってこの説は誤りである。
 HMでメトロフレックスとフォートレスマキシマスが同時に登場するシーンがあるが、そこから考えると、両者の身長比は大きく見積もっても1:1.75くらい。メトロフレックスはフォートレスの腰の高さよりは身長が高い。
 まとめると、メトロフレックス240メートル、フォートレスマキシマス350メートルといったところだろう。いずれにしても東京タワー級の超大型戦士である。これがソードを振り回したり格闘したりするのだから驚きである。
 また、仮にメトロフレックスを2キロ、マキシマスを3倍とするとマキシマスは身長6キロ。富士山をはるかに見下ろすエベレスト級の化け物である。質量の大きさから、とても地球上では活動できないだろう。 


謎9:最強のトランスフォーマーは誰?

 実際にアニメに登場したトランスフォーマーで、最強の候補に挙げられるのは誰だろうか。
 まず強いと言って思い出すのは、不死身の体と3大超魂パワーを持つ真・ゴッドジンライだろう。体とパワーの大きさではフォートレスマキシマスおよびグランドマキシマス。大きさでは星間帝王ユニクロンも外せない。そうするとそのユニクロンを破ったマトリクスの所有者・ロディマスコンボイも候補に挙がってくる。またロディマスよりも経験、知性ですぐれ何より実戦で一度ロディマスを破っている初代コンボイ司令官も最強候補の一角だ。また、データ的な強さでは全トランスフォーマー中第1位のビクトリーセイバー(80ポイント)、同2位のデスザラス(79ポイント)も侮れない。また実戦となればSFガンの破壊力・抜群の狡猾さでガルバトロンが生き残ってくるだろう。
 さあ、真の最強は誰だろうか?


謎10:いまマトリクスは誰の手にあるの?

 アニメ全作品中、最後にマトリクス所有者だったのはロディマスである。2011年にセイバートロン星が失われ、新しい星を求めて去っていったが、このときはロディマスコンボイ、つまりマトリクスを持った状態で出発していった。したがってロディマスが今も持っているというのが定説である。
 サイバトロンのリーダーの証を総司令官ではないロディマスが持っているのはどうか? という意見もあるが、恐らく軍としてのサイバトロンではなく、種族・サイバトロンのリーダーとしてマトリクスを保有し続けているのだろう。きっとどこかの平和な星で、仲間のサイバトロンの大統領として暮らしているに違いない。
 ところで、マトリクスといえば、トイの箱裏設定では、スーパージンライが「ウルトラマトリクス」を、シックスショットが「悪のマトリクス」をそれぞれ持っているということになっている。どちらもアニメでは登場しない。