ガンということ 


 ガンという言葉を聞いたことのない人はいないでしょう.しかし本当にガンのことを知っている人は少ないと思います.

 ガンは悪性腫瘍の別名でもありますが,特に上皮性のものを「癌」,非上皮性のものを「肉腫」と呼びます.それぞれが発生した場所を前につけて,胃(上皮性)なら胃癌,骨(非上皮性)なら骨肉腫,のように言います.

 また,腫瘍と言えばすべてがガンなのではなく,良性腫瘍といって深刻でないものもあります.それに現代の医療技術では,完治可能なガンもたくさんあります.ですから,「腫瘍がある」と聞いて,「ああ,もうダメなんだ」とすぐに思ってしまうのは大間違いなのです.


 とはいえ,ガンは3大成人病のひとつ(他の二つは,心疾患と脳血管障害)であり,日本人の死因の第1位です.男性では肺癌が,女性では胃癌がトップです.

 最近では,食事の欧米化(肉食増加)に伴い,大腸癌の発症が増えてきています.他に,タバコで肺癌が,紫外線で皮膚癌が誘発されることがよく知られています.


 ガンとは正常細胞とは異なった細胞(癌細胞)が,異常に増えてしまうことに原因します.この増殖が正常細胞にまで影響を与えてしまうのです.大量の癌細胞が栄養を要求し,また正常細胞を破壊するため,体重減少,やせ,体力の減少,貧血などの症状が起こります.

 また,ガンの発生した場所特有の症状も現れます.胃癌なら吐血(血を吐くこと),肺癌なら喀血(痰に血が混じったり,咳をして血を吐くこと),大腸癌なら血便,などです.

 末期になると激しい痛みを伴うことも多くなるようです.

 また,癌細胞が血流にのって転移し,何度も手術を繰り返すことがあります.全身に広がってしまうこともあり,こうなると手術することもできません.


 このようなことは何も知らずに,なにかあったときに「ガン」という言葉を軽々しく使っていませんか? どこか痛かったり,体の調子がおかしいと,「あ〜,ガンだよ,それ.」とか言いません? 私はこれを聞くととても腹が立ちます.

 病気のことをバカにしてはいけません.今は健康でも,いつか自分がその病気に苦しむ日が来る確率は大変高いのです.冗談ではいられなくなるのです.


 なんでも無知であることは恐ろしいことです.まずは知るところから始めませんか.


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