年次有給休暇
   | メニューへ戻る労働基準 |                                   2013/08/14更新


年次有給休暇 「全労働日」の解釈変更
   (基発0710第3号 平成25年7月10日付) 
 
 年次有給休暇の「全労働日」の解釈が変更されました。 
 
出勤率の基礎となる全労働日
  年次有給休暇の請求権の発生について、法第39条が全労働日の8割出勤を条件としているのは労働者の勤怠の状況を勘案して特に出勤率の低い者を除外する立法趣旨であることから、全労働日の取扱いについては、次のとおりです。
 
  1. (特に変更なし)
 年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいい、各労働者の職種が異なること等により異なることもあり得る。
 したがって、所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれない。

 
  2.  労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、3.に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれる。

 例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日が考えられる。
 
  3.  労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であっても、次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれない。
 (一) 不可抗力による休業日
 (二) 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
 (三) 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が
    全くなされなかった日
   
 
 全労働日がゼロとなる場合の年次有給休暇
    いったん解雇になった従業員が、後日、解雇が取り消され、復職した労働者が年次有給休暇を請求したという事例があったことに対する判断が書かれた通達(昭和27年12月2日 基収5873号)がありましたが、解釈の変更に当たり、今後はこうした事例の場合、年次有給休暇の請求権は発生するということになります。

通達(昭和27年12月2日 基収5873号)の判断は、次の通りでした。
 労働日がゼロとなる場合は、前年に労働日のあることを前提とする法第39条の解釈上、8割以上出勤するという法定要件を充たさないから、年次有給休暇の請求権は発生しない。
 




■年次有給休暇とは
 年次有給休暇は、労働者の疲労回復、健康の維持・増進、その他労働者の福祉向上を図る目的で利用される制度です。
 使用者は、雇用する労働者に対し、所定休日以外に年間一定日数以上の「休暇」を与えなければなりません。
 そして、その休暇となった日について一定の賃金を支払うことが義務付けられています。
 この規定に違反して休暇を与えない使用者は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

年次有給休暇が付与される労働者
年次有給休暇の付与日数
年次有給休暇の有効期限(時効)
有給手当の支払い
年次有給休暇の請求
年次有給休暇の時季変更
年次有給休暇の買い上げ
計画年休


年次有給休暇が付与される労働者
(1) 継続勤務が要件となります。
(A) 勤務開始の日から6か月間継続して勤務していること。
 「6か月間継続して勤務する」とは、6か月間途切れることなく在籍することであり、出勤を続けることではありません。
 定年後再雇用の場合、定年までの勤務がこれに繰り入れられるので、再雇用開始から6か月の経過を待つ必要はありません。
 また、付与する日数も退職時に持っていた残日数を持ち越すべきであるとするのが行政当局の見解のようです。
(B) 全労働日の8割以上出勤した労働者。
「8割以上の出勤」には、次の期間は出勤したとみなされます。
業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間。
育児休業、介護休業した期間。
産前産後の休業した期間。
管理監督者など、労基法41条に該当する者にも、年次有給休暇制度は適用されます。
(2) いわゆる短時間労働者、パートタイマー等の場合
 いわゆる期間雇用者、臨時、パートタイマーなどの短時間労働者は、年次有給休暇の対象とならないと誤解されるていることがあります。
 しかし、「6か月間継続勤務」をし、「出勤率8割以上」の要件を満たせば、短時間労働者であっても、年次有給休暇を付与しなければなりません。
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年次有給休暇の付与日数
一般の労働者に対する付与日数(平成13年度以降)
 一般の労働者に与えなければならない年次有給休暇の日数は、次の表の通りです。
一般の労働者に対する付与日数(平成13年度以降)

継続勤
務期間
6箇月 1年
6箇月
2年
6箇月
3年
6箇月
4年
6箇月
5年
6箇月
6年
6箇月
以上
付与
日数
10 11 12 14 16 18 20

年次有給休暇は、年度ごとに発生する権利です。
 例えば、6か月から1年6か月までの1年間の出勤率が8割未満であったために休暇権が発生しなかった労働者も、翌年の2年6か月時点で前1年間の出勤率が8割以上であれば、12日の年次有給休暇が発生します。
所定労働時間の少ない労働者に対する付与日数(平成13年度以後)
 短時間労働者に与えなければならない年次有給休暇の日数は、次の表の通りです。
所定労働時間の少ない労働者に対する付与日数(平成13年度以後)

・・ 雇い入れの日から起算した継続勤務期間
週所定
労働
日数
1年間の
所定労働
日 数
6箇月 1年6
箇月
2年6
箇月
3年6
箇月
4年6
箇月
5年6
箇月
6年6箇
月以上
4日 169日から
216日まで
7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日から
168日まで
5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日から
120日まで
3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日から
72日まで
1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

こちら「年次有給休暇・付与日数の変遷」
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年次有給休暇の有効期限(時効)
 年次有給休暇を取る権利は、権利が発生した日から2年間有効です。
 権利が発生した日から2年以内に使わないと、時効により消滅します。
 有給休暇権は順次時効により消滅してしまうので、前年度からの繰越分の休暇権をもつ社員から出された年次有給休暇の申請については、本人から明確な申出がなくとも前年度分の休暇使用として取り扱うべきです。
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有給手当の支払い
 使用者は、労働者が有給休暇を取った期間については、賃金を支払わなければならないとされているが、これには次の通り3通りの方法があります。
(1) 「平均賃金」を支払う方法
その労働者の過去3か月分の賃金を平均して算定される賃金を支払うとするものです。
就業規則等に定めておく。
(2) 所定労働時間労働した場合に支払われる「通常の賃金」を支払う方法
通常の賃金とは、臨時に支払われた賃金や時間外手当等を除くものです。
就業規則等に定めておく。
(3) 「標準報酬日額(健康保険法3条)に相当する金額」を支払う方法
労使協定が必要。行政官庁に対する届出は必要ありません。
パートタイマーに対する有給手当は、その労働者の1日分、すなわち1日の労働時間が3時間であれば、3時間分の手当となります。
使用者が労働者に対し有給手当を支払わなかった場合、労働者の請求により、裁判所から使用者が支払うべき未払有給手当の他、これと同一額の付加金の支払いを命じられることがあります。
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年次有給休暇の請求
 年次有給休暇を使用する場合、労働者は使用者に対し、まず休暇を使用する日を指定しなければなりません。
 指定方法については労働基準法に定めがありませんが、合理的な範囲内で、事前に届出を行うよう義務付けることは問題ないと思われます。
 使用者は、指定のあった年次有給休暇により、その日における事業場の業務が正常に運営できなくなる場合を除き、労働者の指定した通りの日を休暇としなければなりません。
 なお、労働者は年次有給休暇の取得日(午前0時から翌日午前0時まで)は、時間を自由に利用することができます。
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年次有給休暇の時季変更
 その日に休暇が集中するため事業に差し障りがある等の場合、使用者は労働者から指定のあった年次有給休暇を別の日にするよう変更を命じることができます。
 この場合、特に使用者から別の日を指定する必要はなく、労働者は変更された以外の日で再度自由に休暇日を指定できます。
事業に差し障りがあるといえる場合とは、
 事業所の規模やその労働者の担当している職務に照らし、その日の休暇により生じる影響の程度と、「代わりの者を確保できる可能性」とを総合的に考慮します。
 「代わりの者を確保できる可能性」については、すべて職場をあたる必要はありませんが、関連する職場をあたってみる程度の努力は必要でしょう。
 ところで、労働者は使用者から年休の使用目的を尋ねられてもこれを明らかにする義務はないとされています。
 しかし、慶弔、病気など社会通念上使用者として時季変更を差し控えた方がよい場合もあります。
 そうしたケースでないかを確認する意味で年休の使用目的を尋ねることはまったく問題ないと思います。
 なお、退職予定者が「退職予定日の前に、残りの有給休暇を全部休みを取る」と申し出てくることがあります。
このときは、もはや時季変更することは不可能となります。
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年次有給休暇の買い上げ
 年度の初めにおいて、あるいは年度の途中において、労働者から、未使用の年次有給休暇権の全部または一部を買い取ってしまい休暇日数を減らそうとしても、このようなことはできません。
 また、これを放棄させることもできません。
 なお、年次有給休暇が結果として使用されずに残ってしまい、時効消滅する年次有給休暇を買い取ることはできます。
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計画年休
 計画年休とは、休暇の使用は原則として個人の自由に任されていますが、上司や同僚の目を気にして休暇が取得しにくいといわれる日本の労働環境を考慮し、休暇取得を促す意味で、あらかじめ計画的に、職場でいっせいに、または交代で休暇を使用する制度です。
計画年休の導入方法
 計画年休を導入するためには、労使協定が必要です。
計画年休の内容
 労使協定で休暇日とされた日については、労働者個人がその日に休暇を取る意思のあるなしにかかわらず年休日とされます。
 そして、協定で計画年休日として指定された日数分、労働者が休暇日として自由に指定できる日数は消滅します。
 ただし、労働者が自由に指定できる休暇日数として最低5日は残しておかなければなりません。
 なお、計画年休として定められた日については、労働者の時季指定権も、使用者の時季変更権も共に行使できません。
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