(6) Heel & Toe <ヒール&トゥ>

    さてさて、ドラテクで初心者の関門となることが多いヒール&トゥです。(^^ゞ これの目的は、シフトダウンするときにギアを入りやすくするためであり、シフトダウンしたときの強力なエンブレを防ぐための技術です。これができないと速く走れないといわれてて、Kuもその通りだと考えています。よくここで挫折している人を見かけます。Kuもそうだったんですが、周りで使いこなしている人って少ないですよね。(ていうか、走る人の人口って少ないですよね。)Kuの若かりし頃は周りにヒール&トゥを知っていて使える人なんて誰もいなくて自己流で覚えたので、その手順と考え方を紹介します。

    速く走ろうとするときって、エンジンパワーを発揮するようになるべく高回転で走りたいですよね。コーナーの侵入時に減速して、コーナーから立ち上がるときでも常に高回転をキープしたいということで必然的に生まれたテクニックです。たぶん、走りに興味がない人は覚えようともしないし、このテクニックの存在すら知らないかもしれません。でも、速く走りたい運転がうまくなりたいと考えている人で、今 現在ヒール&トゥができない人は「できるようになりたい」と思っていると思います。そんな人たちのために、どうしたらヒール&トゥができるようになるかと紹介していきたいと思います。ただし練習中に事故ってしまっては大変ですから、実際に練習するときは注意してやってください。当然ながら事故の責任は持てませんので・・・。

(1)速度と各ギアの回転数の関係

    ヒール&トゥはギアと速度の関係を把握しておかないとマスターできません。といっても難しいものではなく、だいたいのところで、この速度でこのギアならこのくらいの回転数かな〜くらいの感覚でOKです。まず、1速でレッドゾーンまでひっぱってみましょう。シフトアップして次に2速でも同じようにレッドゾーンまでひっぱってみましょう。できれば周りに何もないところがベストですが、まあ大人の貴方の判断にお任せして、できるかぎり速度を上げてみます。これを繰り返して、これからヒール&トゥを覚えるんだって意識してもらってれば、各ギアでの速度・回転数・エンジン音の感覚が身についてきます。

    これで、まず(体感速度・各メーター類)、(回転数)の感覚という自分のセンサーを鍛えましょう。(^^)

(2)回転数を合わせる。

    まずは、ブレーキを使わずアクセルのみでエンジン回転数を合わせる練習をするといいと思います。もし、シフトダウンするときに何もせずにそのままクラッチをつないだらエンブレがかかってエンジンの回転数が上がりますよね。エンブレがかからないようにあらかじめアクセルをあおってその分エンジンの回転数をあげておくんです。(^^ゞ 言われてみれば簡単ですよね。

    たとえば、4速2000回転くらいで走っていて、単純にクラッチを踏んでギアを抜きます。そして適度にアクセルをあおってから3速に入れてみましょう。普通、アクセルをあおらないでシフトダウンした場合、「ッガ〜〜ン」ってエンブレがかかりますよね。適度にアクセルを合わせると、エンブレが少なくなります。もし、まったくクラッチをつないだ瞬間にエンブレも加速もなければ、ピッタリ回転数があってるということなんです。これが回転数を合わせるということなんです。

    普段、巡行中や坂道を登っているときに加速が必要でシフトダウンする場合によく使います。このようにヒール&トゥの最初の練習としては、まずアクセルだけで回転を合わせて、回転数を合わせるという感覚を身につけることから始めるといいでしょう。慣れてくれば、遠くの信号が赤になったときなんかにエンブレで減速しながらシフトダウンしてアクセルだけで回転数を合わせてやるといいでしょう。(もちろん後続車がいないときにやってくださいね。)各ギアの回転数と速度の関係を把握することが必要です。これはKuの信念なんですが、まず頭で理解して身体で覚えると上達が早いし応用も利いて最高です。

    ここで、(アクセルの開度)の感覚という自分のセンサーを鍛えましょう。(^^)

(3)パワーシフト    (省略可;無理してやらなくていいですよ。)

    パワーシフトとはクラッチを切らないでやるシフトアップのことです。通常、ギアチェンジをするときはクラッチを切ってしますよね。ギアチェンジするときに回転数が合ってればクラッチを切ることなくシフトアップ・ダウンすることは可能なんです。(1)、(2)ときたら、もうなんとなく各ギアでの速度と回転数は把握してますよね。クラッテレスシフトアップの目的は回転数が合ってるときの手応えを見に付けるためです。ここで、(手応え)の感覚という自分のセンサーを鍛えるんです。自分のセンサーがたくさんあって全部の精度が高いとヒール&トゥの精度も高くなります。ヒール&トゥの成功の確率を高める要素になりますので、できれば身につけてください。

    まず、普通にクラッチを切ってシフトアップするときに手応えに集中して意識してみてください。ギアを入れるときに手応えがないときがありませんか?回転数がずれているとき、ギアを入りやすくするためシンクロという機構があるのを知ってますか?これはその名の通り、エンジン側とミッション側でずれた回転数をシンクロ(同期)させる機構です。もし、最初から回転数がビッタシ合っていればこのシンクロは働かず、結果としてギアが抵抗なくスコッと入るんです。その抵抗なく入る瞬間というのは回転数が合ってる瞬間なんです。つまり、抵抗がないという感覚(手応え)は回転数が合ってるという感覚につながるんです。この感覚が身につくまで、まだまだクラッチレスでシフトアップしてはいけませんよ。(^^)

    なんとなく、スムースにギアを入れられるようになってきたら、いよいよです。いきなりクラッチレスは恐いだろうということで、半クラでのシフトアップです。
    とりあえず、減速比の大きい低いギアでは回転数の上下動が激しいので高いギアから始めるといいと思います。まずは4速から5速へのシフトアップから始めて、じょじょに低いギアに移行して行くといいでしょう。

    やり方は、シフトアップするときギアを入れる手前のニュートラル(N)でちょっと待っててください。そして、軽い力(微妙ですが回転数がずれているときには入らない程度の力)でギアをシフトアップ方向に押してください。回転数が合えばその瞬間、ギアの抵抗がなくなってギアが入ろうとします。その瞬間に間髪入れずに一気にギアを入れてしまいます。
失敗するとギアが「ギャー」と鳴るので、できない人はあんまりやらないでください。精神的にも辛いし、ギアを大きく傷めない程度にやってみてください。目的はクラッチレスシフトが自在にできるようになることではなく、ヒール&トゥの精度を高めるための練習です。

    半クラでパワーシフトができるようになれば、もうクラッチレスシフトアップはできたも同然です。半クラで練習したときと同じようにクラッチを踏まないでやってみてください。抵抗がないという手の感覚と少しの勇気があれば誰にでもできると思います。なんたってKuでもできるんですからね。(^^)

(4)ヒール&トゥの実践1(低い速度域;30〜40km/h)

    それでは、実践です。今はビデオや他人のやるところを見ると参考になると思います。Kuが18歳のころは周りにできる人がいなくて、当時は徳大寺氏が書いたドラテクの本を読みながら独学でした。最近になってビデオを見て間違っていないことが確認できて、実際にサーキットを走行してちゃんとやれていることを認識できましたね〜。

    実践に際してもっとも難しかったのは、ブレーキを踏みながらアクセルを煽るという・・・右足でブレーキとアクセルを両方踏まなければならないということです。しかし、これはもう「慣れ」しかありません。
    なるべく交通量の少ないところで練習しましょう。というか、交通量の多い場所ではしないでください。 で、実際にヒール&トゥを30〜40km/hでやるとKuの経験ではアクセルを煽る瞬間にブレーキを強く踏んでしまってしまうとか、ブレーキから足を離してしまうとか、最初はうまく両方を踏めないんですよね。なるべく回転数とギアとエンジン音を意識しながら、練習するしかありません。「慣れ」てしまいましょう。第1段階の目標としては、シフトダウンしたときのショックが少なくなるようにしてください。とりあえず、目標はシフトダウンによる荷重変動を小さくすることです。

どうしてもうまく踏めない人はドラポジがおかしいこともあるので、再確認してみてください。また苦手意識を持つとなかなか上達しませんから、頭文字Dでも読んで自分で自分を盛り上げておきましょう。(この練習にスピードは必要ないので、絶対飛ばさないようにね。)

ヒール&トゥのイメージです。実際にはハンドル操作も加わるし、アクセル・ブレーキの操作もON/OFFのディジタルじゃなくてアナログだし・・。分かりにくいと思いますけど、試作のGIFアニメーションなんで我慢してください。(~_~;)

(5)ヒール&トゥの実践2(中くらいの速度域;50〜60km/h)

    第1段階でとりあえず、ブレーキとアクセルを同時に踏めるようになってシフトダウンのショックも少なくなったら、もう一息です。第2段階として、踏力一定を心がけましょう。今度はある程度スピードが必要です。ブレーキペダルに加える踏力を一定に保ちながら、アクセルを煽れるようになることが第2段階です。

目標としては、クルマがギクシャクしないようになることです。このへんから、ヒール&トゥで回転数を合わせるということを意識することから、ブレーキに意識を集中するように移行します。回転数を合わせること自体は回数を練習していれば、かなり「慣れ」てしまいます。しかし、ブレーキを本当にコントロールすることは難しいです。ここからは回転数を合わせること自体は「慣れ」てしまって、その動作は無意識的な動作(意識・集中しなくてもできる動作)にしてしまって、できるだけブレーキに意識して荷重変動を少なく、確実に減速するようなブレーキングになるようにしましょう。

(6)ヒール&トゥの実践3(高い速度域;制限なし)

    一応、最終段階なんですがここまで順番どおりに来た人なら、すでに出来ると思います。実は、回転数を合わせるヒール&トゥは、低速の方が難しいんです。サーキットを走るようになると、自然に回転数が高くなります。そして、シフトアップするポイントやシフトダウンするポイントも毎周だいたい同じポイントでやるので、実は、同じ行為を繰り返すのでそれほど難しくありません。

    注意としては、速度域が高いため、ちゃんとブレーキングできているかどうかです。ブレーキングがおろそかになると実は遅い走りになっているかもしれません。
    また、ヒール&トゥでシフトダウンするタイミングが重要になってきます。コーナーに向かって、ブレーキしながらシフトダウンするとき、どのタイミングでクラッチをつなげばいいのか?100%の確率で回転数をバッチリ合わせられる人だったら、どこでクラッチをつないでもいいと思うのですが、人間ならミスすることもありますよね。もしもの保険のために、クラッチをつなぐタイミングは、基本的にコーナーでフロントタイヤがターンインする前がいいです。あまり、手前だとエンブレがかかってしまってギクシャクしてしまうし、ターンイン直後だと、もし回転数がずれていた場合、荷重変動になり、クルマの挙動を乱してしまいます。フロントタイヤがターンインする前だと、回転数が多少ずれていても、ここなら影響も少ないし、リカバリーがききます。しかし、どうしても横Gと格闘しながらシフトダウンやシフトアップしなければならない状況があるのは事実なので、その場合Kuは仕方がないので、なるべく回転数を合わせるように意識してミスしないように注意します。

 

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