椿の葉色の離れ

<京都府 y邸>

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 数多くの伝統的な日本建築の仕事に携わってこられた建築主は、志ある大工や職人を育てようと塾を開かれていて、 勉強会を開いたりするための拠点があればとの理由から今回この建物を建てようと思われた。 ご要望は、ご自身に縁のあるドイツの民家のイメージでとのことであったことが興味深い点であり、視野の広さや考え方について教わることとなった。

 この現場は建築主と繋がりのあるベテランの職方にも入ってもらい、分離発注の形で進めたため、 普段は事務所で図面を描いていることの多いスタッフ自ら、現場に係わることが多く、 仕事ぶりを拝見する機会に恵まれたことで「違い」を知ることができたようであった。 例えば、塗装では色合わせの正確さと早さに、左官では水の引き加減の見極めと平滑面へのこだわりなどなど。

 外壁の色は、お好きだという椿の葉の色に決定。実物の葉を手にしながら、既成色だけでは出ない深みとマット感を出すために微妙な調合をしてもらった。色サンプルを見ていたときは塀が目立ってしまうのではないかと少々危惧したが、 周囲の住宅に生垣が多いこともあって、今では景観的にはよく馴染んでいる。

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