思い出の詰まった平屋の改修

<再生前の様子>

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 この住宅は昭和30年代に建てられた木造平屋で、家族構成の変化に伴い増築・改修を経て現在に至っていた。そのため、動線上、収納や廊下的な用途となる居室が出来ていたため、これら改善と今後の家で楽しむ生活へのシフトから、思い切って建物全体の改修を検討するにあたり、当方のHPを見つけてご相談下さった。
 建築主は建築当時の職人の人柄や仕事ぶりなどをとてもよく覚えておられ、特に竹小舞下地の土壁に対しては職人の思い出とともに大変愛着をお持ちであったことから、出来るだけその部分を残した間取りとした。また、奥様こだわりのシステムキッチンも天板と機器を取替えた上で、組み直して再利用するなど、古民家の改修とはまたひと味違う改修工事となった。
 屋根は増築棟ごとに分かれていたのを一体の大屋根とし、ゆるやかなムクリをつけた。間取りでは、ご相談の中で突然登場した「"いつか飾りたい"と思って大事にされていた"日本画"」が建物のプランを考える上でのキーポイントとなった。
 主屋の南側には立派な桜の木をはじめ、節目節目で植えてこられた樹木のある庭が広がっている。だが、雨戸の開閉がしにくくなっていたため閉めておくことが多くかったとのこと。自然を愛するご夫婦が家の中からでも、季節ごとに見事な花を咲かせる草木を眺められるよう、庭に面した窓を大きめにとり、軒も少し深くし、濡れ縁を設けて、より日々の生活に庭を取り込めるようにした。
 竣工時、お引越し前にもかかわらず、早速に大切な絵を掛けて下さったときの様子が今も印象に残っている。

<再生後の様子>

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