大規模な酒蔵の改修 中島屋酒造場

<過去資料・工事中の様子>

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 中島屋酒造場は、文政6年(1823)4代目 国五郎を始祖とし、以後およそ200年にわたって酒造業を営んでいる。 現在の社長は12代目にあたり、 自身が杜氏を務めながら伝統的な酒造を継承している。敷地は山口県周南市、永源山の麓を流れる神大川と冨田川の合流地点付近に位置し、 嘉永6年(1853)の棟札がかかる主屋(住宅兼店舗)のほか、明治から大正期にかけて建造された5棟の酒蔵で構成される。

 県道の拡幅事業に伴い建物の変更を余儀なくされたことから、今回の計画では酒造にできるだけ影響を及ぼさない、曳家・改修の方法で対処することとなった。
 計画道路の制約を受ける酒蔵は、明治8年(1875)と明治27年(1894)に建築された2棟で、双方とも土蔵造2階建、規模が大きく、ほとんど改変なく今日まで引き継がれていた。 計画では、明治8年の蔵は計画道路を避けられない箇所を部分解体し、もう1棟は計画道路に平行になるよう回転しながら曳家をして、共に耐震補強を実施、作業場となっていた接続部で角度の調整をおこなった。 また他の酒蔵に関しても劣化部分を修繕することで耐久性を向上させ、今後の継続的な酒造りとともに通りの景観保全にも務めている。
 特殊な工事のため全体の工期は約1年半におよんだが、施工者の丁寧な対応のおかげで、当初の計画通り令和3年秋に酒造りを再開することができた。

<改修後の様子>

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