上質な邸宅建築の保存と活用 旧邸御室

<工事の様子>

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 旧邸御室は昭和12年(1937)に建築された和風建築で、双ケ岡の斜面を活かした広大な日本庭園とともに、昭和初期の邸宅建築を今に伝える貴重な遺構である。 昭和45年に現所有者の先代が土地、建物を買い受けて以降、一部に増築等はなされているが、それ以外はほとんど改変されることなく大切に保存されている。
 敷地内にある建物の内、茶室、待合、土蔵、門及び塀は平成29年に国の登録有形文化財に登録され、また「京都を彩る建物や庭園制度」の認定や「重要京町家」の指定も受けるなど、景観的・文化的にも価値が認められている。
 これまでは年に一度、期間を限定して一般公開を行ってきたが、今後は施設の維持保全のための収益事業として、庭園と建物の特性を活かした飲食や貸会場等にも利用可能な施設として活用することを予定されている。

 建築基準法上の用途変更は現行法による様々な規制を受けることになるが、保存状態が極めて良かったことから、ここでは「京都市歴史的建造物の保存及び活用に関する条例」の適用を受けて、 内外意匠はできるだけ既存のまま保存することとした。改修は主に耐震補強と防災強化にとどめ、文化財としての価値を損なわない内容となっている。

<改修後の様子>

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