北山の北山杉による北山杉のための建物

<京都 北山杉の里総合センター>

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 この建物は北山林業の活性化と北山杉の普及を目的とした市の補助事業による施設として計画された。眼前には清滝川、背後には北山杉の山を背負う景観を意識して、意匠・色調ともに落ち着きのある外観を心掛けた。また、構造材・造作材のほとんどを京都府内産材とするなど地産地消の観点から環境にも配慮した。
 近年、住宅スタイルの変化に伴い伝統的な和室への嗜好が弱まる中で、需要の拡大につながるよう「床柱」や「垂木」等の使い方以外の新たな活用法を提案し、本来もっている美しさの再認識しつつも身近に感じられる場となるよう工夫した。
 エントランスホールは、天井を張らず垂木を二重に配して下段に北山垂木を用いている。その垂木越しに小屋組を見せることで、無垢材による木造の面白さを感じられるようにした。ホール脇の足元に北山丸太の磨き砂(菩提川の砂)を敷き詰めた展示スペースでは、北山杉の色々な種類の床柱や他の樹種の銘木の種類や特徴も知ることができる。
 約90㎡の交流活動室は杉材によるトラスで杉の力強さを表現し、壁は柔らかい印象がでるように、北山杉の特徴を生かした面皮付の板材の製品材を用いてみている。
 ホールを挟んだ反対側にある多目的室(約40㎡)は立礼式の茶会等にも対応できるよう「和」を意識した意匠とし、床の間を設けいるが、季節に応じた趣を楽しむことができるよう床柱が取替できるようなしかけになっている。また、天井と地袋の襖紙には北山杉の皮で漉いた和紙を使用している。
 

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