歴史ある寺院庫裏の改築 -大徳寺聚光院-

<改築後の様子>

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 聚光院は、永禄9年(1566)、三好義継公が亡養父長慶公の菩提を弔うために、大徳寺第107世笑嶺宗?を請じて創建された臨済宗大徳寺の塔頭である。笑嶺和尚に参禅した千利休が檀越となり、以後、茶道三千家一門の菩提所として現在に至っている。
 当院の建物は、主として本堂、付玄関、茶室、庫裏、位牌堂、離れ、門、その他付属建物からなり、重要文化財指定の「茶室」並びに「本堂、付玄関」はそれぞれ昭和52年、55年の解体修理によって当初の姿に復原された。また、庫裏は書院を中心に、接客室、厨房、庶務室等からなる。上記解体修理の頃から漏水や虫害等による劣化が進行し、修繕や部分的な整備を行って建物を維持してきたが、ここにきて老朽化がいっそう深刻になり、安全性にも問題が生じてきたため、改築することとなった。
 計画に際しては、重要文化財の建物に接すること、建築基準法上の道路に面していないこと、規模の上から準耐火構造にする必要があること等々、多くの制約があったが、行政側の前向きな指導もあり、それらは無事クリアすることができた。尚、軸組、土壁等はできる限り伝統工法を採用し、「燃えしろ計算」を使って耐火性能を確認している。また、正面の玄関部分は既存を再生し、景観上も大きな変更を加えずに周囲と調和するよう配慮した。 建物の中心となる「書院」2室は、中村昌生先生の設計によるもので、その他様々な面において先生のご指導をいただけたことは、今後の設計活動にとっても大変貴重な経験となった。

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