<再生前の様子>
明治中期から後期の建築と思われるが、改修する前の状態としては「通り庭」が残り、間取りも道路側の部屋を除けば、ほぼ当初のまま残されていた。
建築主は建て替えを計画されていたが、子供の頃から住み続けたこの建物が維持できるのであれば改修も検討したいと当事務所に相談に来られた。
不陸や建物全体にわたっての歪みも生じていたが、構造的に補強を加えれば改修可能と判断し、今回の工事に至っている。
設計条件として提示されたのは、単なる懐古趣味的に終わらず、これまでの「暗い」「寒い」というイメージを払拭して、現代の町屋として再生したいということだった。
「通り庭」は当初の雰囲気を残しつつも、床組をし硝子で天井を設けるなどして寒気を和らげている。また、その他の部屋に関しても、伝統的な素材だけにこだわらず、新旧の材を対比させながら、伝統的建物の改修手法の一つとして提案を行った。
<再生後の様子>