
| 子どもが少国民といわれたころ−銀次郎とハルの場合− 銀次郎は大衆演劇の元座長。今は現役を引退し裏の仕事に回っていますが、彼のところに出身小学校の百周年に、記念講演として子どもの頃のことを話してほしいとの依頼が舞い込みました。 同じく現役を引退し、芝居小屋の客席係りをしているかつての花形女優のハルさんは、自分のことのようにおおはりきり。「講演」なのに、大衆演劇お得意の舞踊ショーをやろうと、銀次郎をたきつけます。 銀次郎は久しぶりに人前に立つこともさることながら、話す相手が「子ども」であることに自信もなくとまどいます。ハルさんは、それならば子どもの頃を題材に「二人芝居」を創ることに相成りました。 銀次郎は、15年戦争と言われる「あの戦争時代」真っ只中の15年間を、「子ども」として過ごした77歳。子どもの頃のことを話せといわれたら、戦争のことしかありません。 昭和8年、東京は浅草に生まれ、疎開を経験し、東京大空襲で家族を失い、結果、浮浪児時代を過ごし、大衆演劇の劇団に拾われた今までの人生を演じます。 |