更新日記&徒然草。→トップページはこちら
■2/29(火)
  ハワード・ホークス映画祭「港々に女あり」。監督ホークスという名前はこの作品によって鳴り渡ったという1928年製作のサイレント映画。女を巡ってかつてはぶつかりあった海の男同士の荒っぽい友情がギャグたっぷりに語られる陽性の映画。後半はコメディタッチの「ヴァリエテ」みたいだ。‥‥なんて例えるとヴィクター・マクラグレンの演技もエミール・ヤニングスそっくりに思えてきたぞ。ルイーズ・ブルックスも恐ろしいまでに美人で、サイレント映画へのハンデは全く感じず存分に楽しめる傑作。オリジナル伴奏がサウンドトラックに入っていてこれも趣味がよい。マックでコーヒーを飲みながら小野不由美の「東亰異聞」の続きを読み、続けてホークス映画祭で「リオ・ロボ」。南北戦争の金塊列車強奪作戦から始まり、強奪側の南軍を手引きした部下の中の裏切り者を追って戦後のテキサス、リオ・ロボへ飛ぶジョン・ウェイン。リオ・ロボヘ行く前のブラックソーンの街でのシーンが最も楽しく、ラストがちょい落ちるという痛さはあるが、やはり素晴らしい娯楽西部劇である。ジェリー・ゴールドスミスの音楽も新しい味を添えていて、ウーンいい仕事してます。
■2/28(月)
 トップの画像をDr.Mabuseからジャクリーヌ・デュ・プレに変える。まぁ似てないのはカンベンして下さい。
 チケットぴあでハワード・ホークス映画祭の残りのチケットを買おうと思ったら、「三つ数えろ」は既に売り切れていた。中野武蔵野ホールでレイトショー「ヤン・シュワンクマイエルの世界」を見る…はずだったが、入場整理券まで配布されて開場を待っている間に恐ろしい腹痛におそわれる。顔を青くしたり白くしたりしながら必死に開場を待ち、トイレに駆け込む。便秘がちなのに奥の方で腹が下っているというサイテーな状態だった。予告編中も何度か激痛が走るが、再びトイレに駆け込もうにも立ち見のお客さんでいっぱい。激闘の末疲れて寝てしまった。結局記憶に残ったのはラストの短編二つのみという惨敗ぶり。悔しい。
 ビデオで毛利正樹監督「エノケンの怪盗伝・石川五右衛門」見る。エノケンに花菱アチャコ、あきれたぼういずまで出ている豪華編だが、題材が中途半端にまじめでギャグが少なく、面白くない。エノケンの一人二役と、熱いお風呂に入ってものすごい顔をするところはおかしかったが…。製作は新東宝だが、エログロはない(当たり前だ!)。
■2/27(日)
 昼過ぎ、友人三人と連れだって三鷹市芸術文化センターにて「猫演劇フェスティバル」。早稲田にいながら全然学生演劇を見ていなかったオレだが、唯一「拙者ムニエル」だけは二年の頃公演を見て以来できるだけ見続けている。このフェスティバルは拙者ムニエル改め「猫拙者ムニエル」それに「猫ニャー」、「猫のホテル」三団体によるジョイントで、それぞれの団体による三話オムニバス形式(というのか?)の公演なのだ。他二団体は今回初めて見たが、やはり「拙者ムニエル」が最も面白かった(もっとも芸風が三団体それぞれ違うので単純比較はできないのだが…)。ここのところ今ひとつ笑いに爆弾が足りなかった気がしていたところに今回はとある健康器具を利用した大爆笑ギャグが飛び出、(当日立ち見席で見ていたのだが)立ち見の継続が脅かされるほど腹を痛くさせられた。他のギャグも順調に連続爆発し、期待値以上の公演でありました。
 三鷹で飲んだ後、中野駅で下車、ヴェローチェで150円コーヒーを飲みながらバルザック「名うてのゴーディサール」を読む。一気呵成に読み切ることのできる好短編で、「人間喜劇」世界きっての名セールスマン、ゴーディサールのキャラクターの楽しさに引きずられ、アッという間に60ページ。ところでオレとしては旧訳の「ご存じゴーディサール」の方が語感からいっても絶対好みなのだが、何故新訳で「名うての」にしてしまったのだろう?「ご存じ」では適訳ではないということなんでしょうか。
 帰宅してビデオでエイゼンシュテインの「メキシコ万歳」。エイゼンシュテインが30年代にメキシコで撮影した未完成の映画だが、ドキュメンタリーとフィクションを相交えたメキシコ賛歌、とでもいうべき内容である。お話のちゃちさが気になる「アレクサンドル・ネフスキー」あたりより、こんな風に映像詩として見られる作品の方がオレとしてはずっと好みにあっているな、と思った。メキシコという土地の面白さに驚きながらカメラを回している作り手の姿勢が伝わってくるような、輝かしい映像に満たされており、個人的には最初の方の古代文明遺跡とメキシコの人々の顔を並べて楽しんでいる部分と、ラストの「死者の祭り」のテンションの高さが好き。
■2/26(土)
 残り少ないハワード・ホークス映画祭「エル・ドラド」。アルコールの呪縛にさいなまれる保安官ロバート・ミッチャムと、背中に埋まった弾丸による半身マヒという障害を抱えたジョン・ウェイン。二人のハンデを抱えた強者同士が友情を軸に結び、共に戦う熱いドラマに、しょっちゅう「お前誰だ?」と聞かれるあやしげ若者ジェームス・カーンと、保安官助手の任命に「文句は忘れたが『誓う』と言え」で済ますおとぼけ老人アーサー・ハニカットが軽みを与え、熱いドラマと微笑ましいユーモアが相補う、幸せな娯楽西部劇になっている。テレビ録画したビデオを持っているのだが、やはりフィルムで見ておいて良かった。
 バイトまでの時間、水道橋の喫茶店でバルザック「ニュシンゲン銀行」を読了。したが、こりゃ難しい。バルザックを本当に堪能するには手形取引のイロハくらいきちんと身につけていないとどうにもならないという事を思い知らされてしまった。7割がた手形と精算のカラクリの話で、どうにもついていけない。出直してきます。
 バイト後、ビデオでオットー・プレミンジャー監督「ローラ殺人事件」。謎解き映画なのに面白い。クリフトン・ウェッブの硬質な名演に対して、ダナ・アンドリュースの暑苦しさが気になる。この人二枚目だと思っていたのに、こんなに気持ち悪い奴だったのか?まったく、ニューロティックな雰囲気にハマりまくっている。こうなるとラング晩年監督の出演作が非常に見たくなるね。「口紅殺人事件」とか、どっかで上映してよー。
■2/25(金)
 ビデオでルネ・クレール監督「沈黙は金」。サイレント時代のパリの映画撮影所を舞台とした恋愛喜劇。映画館で隣の女性にモーリス・シュヴァリエ演じる映画監督が問いかける「ハッピー・エンドはお好きですか?」の一言にはシビレた。街を歩いたその足で撮影所に入れるような、映画と生活が地続きになっているとでもいうべき牧歌的雰囲気がとても心地良い一編。
 さらにビデオ。ジャン・ピエール・メルヴィル監督「影の軍隊」と、急に思い立って二度と使うまいと思っていた近所のビデオ屋で借りてきた三池崇史監督「日本黒社会」。黒いの二連発でかなりお腹にたまるが、よすぎるものを続けて見てしまったが故の心地よき満腹感。この二本に関してはたぶん発狂するほど入れ込んでいる人がいっぱいいそうだから、見たまんまの間抜けなコメントはここでは控えますが、「日本黒社会」はビデオでは修正「ピー」音が多すぎる。何故劇場に行かなかった、馬鹿なオレめ!という思いにさいなまれたのでありました。
 ところで「ビッグ・コミック・オリジナル」だったと思うが、小津安二郎に続いて黒澤明の伝記漫画が登場。しかし、「ダリル・F・ザナックの夢を妨害したクロサワは許せない!」とのたまうアメリカ青年を軸に話が進もうとしているのだが、ザナックってハタ迷惑な誇大妄想オヤジじぇねえの?という程度の認識しかないオレとしては、そんな話に共感するわけにはいかないのだが…。「ザナック=ピュアな夢追人(笑)」っていう説があって、実はオレが知らないだけなのだろうか。うーん。
■2/23(水)
 帰京。友人宅にビール持ってヤケ酒する予定だったが、結局たいして飲まなかった。「ヤケ酒も10年早い」ということか。ビデオで黒沢明監督「虎の尾を踏む男達」。これもまたエノケンつながりで見たものだが、エノケンが出ている以外は普通に「勧進帳」をただ映画化しただけという感じ。富樫役の藤田進は「中学生日記」の南先生みたいである。こんな関所なら余裕で通れるよなあ。ラオール・ウォルシュ監督の「海賊黒ひげ」も見たが、「ハイ・シエラ」「白熱」と素晴らしかったので期待したのに大幅に外された。と、申しますかストーリーがよく分からないんですな。別に難解な話ではないのだが、「なんでこれが映画になるんだ?」と思わせるような半端な話なのである。別に、意図があってこうしたわけじゃないよなァ。謎。
■2/22(火)
 夜行バスで京都へ。とある結果を目にするべく行ったのだが、目にしたのは人生三度目の大挫折で、大いにヘコむ。気晴らしに何か見ようと(バカだが…)京都弥生座でジョン・マクティアナン監督「13ウォリアーズ」。別に面白くないが、野蛮な映画なのでなんとなく精神状態には合う。アラビアの詩人アントニオ・バンデラスが北方民族の猛者と共に「悪魔」と戦うのだが、この「悪魔」はどうやら大地母神崇拝の者達のようで、古代の異文化間摩擦を同時代の目で見てみたというスタンスの映画ということのようだ。なにしろ「今日は死ぬにはもってこいの日」とベストセラーの表題みたいな台詞を吐きながら敵を切り刻む北方の人たち役の役者は、完全に「北方=デカい」を基準に選んでいることが伺われ、彼らの中に伍するとあのバンデラスが小さくてかわいげに見える。…という意味でのみ希有な映画。
■2/21(月)
 ビデオで山本嘉次郎監督「エノケンの孫悟空」。天竺へ旅する三蔵が水廉洞の中の封印を説きますとエノケン演じる斉天大聖が出てくるわけですが、大聖の台詞ときたら「するってェとおめェさん、その豚の化け物にとっつかまってきたってェんだね。ヨシ、じゃあ万事あっしに任しておくんねェ」…メチャメチャ江戸ッ子である。ほかにも、孫悟空だから当然雲に乗るモンだと思ってると、「イー、リャン、サン」という掛け声とともにボワーンと飛行機が出てきてそれに乗っちゃうんだから楽しい。さる飛行機にちゃんとさるマークがついているあたりも芸コマ。絶世の美女李香蘭もちょっとだけ顔を出し、とにかく楽しい一本である。
■2/20(日)
 ビデオで先日大往生のロベール・ブレッソン監督「抵抗」。こりゃ面白すぎる。小学校のころ、モノ壊して必死に糊とかでくっつけて誤魔化したり、テストの点数書き換えたりした事のある奴は必見(笑)。
 午前中に王子北とぴあで開かれている「北とぴあ映画祭」で「自転車」(小林茂監督)と「高校」(フレドリック・ワイズマン監督)。どうでもいいんですがオレ2歳の頃王子に住んでたんスよ。で、「自転車」は子供会かなんかの催しでテント積んだチャリンコ駆って旅行する子供たちを追ったドキュメンタリー映画。オレも公民館の催しでキャンプ行ったりしたなぁ、と思い出したりしてました。はい。「高校」は68年、アメリカのノースイースト高校の生活を撮ったドキュメンタリー。ナレーションもなく、ただ生活の様々な面を撮っているのに、学校というのがどういう場であるかというこの上なく明確な認識を与えられる。どうでもいい第二弾ですが、NHK特集のスタッフとかはやっぱりこういうの見て勉強してんでしょうか。…スミマセン。
 帰宅してビデオでウイリアム・ディターレ監督「ゾラの生涯」。セザンヌと同宿で真実の芸術を求めるべきだと怪気炎をはいていたエミール・ゾラが、成功してただのブルジョワ野郎になっちゃってるのだが、ドレフュス事件の追求に関わるうちに再び往事の志を思い出す、という伝記映画。別に語るべきこともないが、セザンヌが惰眠をむさぼるゾラを諭すシーンで「本当の芸術家は貧乏であるべきだ」と語るんだが、こういう芸術上の人生論って、かつてはこの上なく説得力を持っていたんだろうけど、何か今日聞くと違和感を覚えてしまう。
 移動の電車の中で萩尾望都「トーマの心臓」を読み終えた。「ポーの一族」ではそうでもなかったのに「トーマの心臓」には異様に抵抗感を覚えたのは、やはり前者は「この人たちはおばけだからなあ」という気持ちがあったのやも知れぬ。とは言うものの面白い漫画であることは確かである。(なんか奥歯にモノの挟まった言い方‥‥)
■2/19(土)
 昼まで寝てしまった。フト起きると「王様のブランチ」やってたが、前はそれほど気にならなかったこはたあつこが最近目障りでならないことに気づく。
 ホークス映画祭で「空軍」。爆撃機B-17の乗員たちを描いた戦意昂揚映画。ダドリー・ニコルズの脚本だが、愛機の焼却命令に逆らって乗員たちが自力で愛機を修理し、いきがかりで飼うことになった犬を載せて飛び立つ。そういう「軍隊」の枠からハミ出た展開を見せる後半部分あたりからがやっと面白くなり、でもその後すぐ終わってしまうという歯がゆい映画だった。プロパガンダ映画的なお約束がいくつか(にっくき敵の卑怯な手とか、反抗的なキャラクターにおける愛国心の芽生えなど)描写された上にさらに映画を面白くするというのは難しい、ってことか?どうでもいいが、B-17には本来ついてない尾銃座をカスタムメイドで作るシーンがあるのだけど、見たとこ射角が狭すぎてとても使いものになるようには見えないのだが‥‥。真珠湾攻撃をはじめ敵日本軍(字幕では「敵軍」って出ているが、もろに「ジャップ」「ジャップ」を連発している)も多数登場するのだが、なにしろ戦時中に作られた映画なので日系俳優は使えなかったらしく、中国系のみなさんがインチキ日本語を連発して会場の失笑を買っていた。
 帰ってきてビデオで伊藤大輔監督の「王将」。将棋のことなんか全然知らなくても感動できる将棋映画である。やはり阪妻は素晴らしいが、加藤泰の「緋牡丹博徒・花札勝負」でオマージュが捧げられている(んだと思うけど)汽車の煙の使い方がメチャメチャかっこいい。
■2/17(木)
 午後、イトコの大学受験結果の掲示を見に行く。近場の大学なので歩いて行き、地下鉄で銀座へ直行。ホークス映画祭で「奇傑パンチョ」「無限の青空」。チケットぴあで前売り買ったら「確認いたします、2/17日の『奇怪パンチョ』 でございますね」と言われた「奇傑パンチョ」はクレジットではジャック・コンウェイ監督となっているが実際はホークスが半分くらい撮っているらしい。メキシコの半分盗賊みたいな革命児パンチョ・ビラの生涯を描いた映画なのだが、つなげるのがめんどくさい部分を字幕の解説でつなげているので散漫なつくりの印象がある。パンチョの人物像も英雄とも乱暴者ともとれて複雑なのだが、その複雑さに場面展開がついていってない感じ。が、パンチョの死ぬシーンは秀逸。「無限の青空」は「虎鮫」と二本立てで海の男vs空の男って感じで上映してみたい傑作。誇り高い空の開拓者たちが航空郵便飛行に命を賭ける話だ。主役のジェームス・キャグニーが出てくるまでがちょっと長いかなという気もするが、キャグニーが飛来してからはまさに名調子。こういう熱いプロフェッショナリズムの映画を見たい人は今多いはず。女性飛行士ジューン・トラヴィスとキャグニーのロマンスも素晴らしい。ロマンスといっても単に甘いのではなく、背景にしのびよる苦さを控えさせているあたりも「虎鮫」に通じるものがある感じ。
■2/16(水)
 夜勤明けの水曜。今日は6:30からハワード・ホークス映画祭で「虎鮫<タイガーシャーク>」のチケットをとってあるのだったが、わざわざ中野まで戻るのも金がかかるしめんどくさいので、ホークスも含めて今日は一日銀座で映画を見まくろうと思い立ち、とりあえず水道橋のマックで爆睡(迷惑)。
 で、銀座シネスイッチで「シャンドライの恋」(ベルトルッチ)、京橋フィルムセンターで「ピラミッド」「虎鮫<タイガーシャーク>」(ホークス)と見て、テアトル西友のレイトで「グレン・グールド〜27歳の記憶」(ドキュメンタリー)と、ひさびさに小屋に入り浸りの日であった。
 でまあ、結局「虎鮫」が最高だったんですが。「シャンドライ〜」は別に損した気にはならないけど、ああそうですかという感じ。「ピラミッド」は、「ミイラのたたりじゃー」という話かと思って期待していたのだが、ピラミッドを作る方の話だった。で、作るだけじゃドラマにならないのでなんか愛憎劇があったりする、という…(笑)。セットは豪華だが、別に吉村作治でもあるまいしエジプトってだけでときめいたりはしないのである。グールドは、ほんとに挙動不審な人だったんだなあと感心させられた(おいおい)。
 以前から読み続けていた「コルンゴルトとその時代」「水木しげるの妖怪探検〜マレーシア大冒険」も立て続けに読了し、なんか妙に収穫多い日でした。
■2/7(月)
 「エノケンのちゃっきり金太」(山本嘉次郎監督)を見る。歌あり笑いありのまさに第一級エンタテインメント(が、同時代の批評は「エノケンは舞台より数段劣る」などとあるが…。余程舞台はスゴかったのだろう)で、あまりにも楽しく、浅草オペラ時代に生まれたかったなぁと思わせる。これが昭和十二年(1937年)の作品だもんなあ。まあホントにこの時代に生まれてたら召集されてしまうのがイヤですが。
■2/6(日)
 いろいろと書きたいことは山積しているんだが、とりあえず今月中旬までは更新の予定ナシ。皆さん申し訳ないです。ってこんな場合に限って掲示板に人が来てくれたりして…心苦しい。
 ブレッソンに引き続いてフランスの映画監督、クロード・オータン=ララが亡くなったと朝日新聞に載ってましたが、こっちは「えっ、まだ生きてたのか!?」というむしろ意外な印象である。ララさんには悪いですが。享年98歳だそうで、この人はなんと言っても文芸モノ映画の監督って感じですね。ジェラール・フィリップ、ダニエル・ダリューがジュリアンとレナール夫人に扮した「赤と黒」が記憶に…っていうか多分これしか見てないんですが。
 ダリューって我々の世代的には「誰それ?」レベルの女優さんですが、この間水木しげるが日テレの「いつみても波瀾万丈」に出て、美人のたとえにいきなり「ダニエル・ダリューのような…」などと言っていたので、戦前的には美人の代表的アイコンの一人だと思う。
 って水木を世代の代表扱いしていいのか?って問題はあるかもしれませんが…最近気休めにちょっとずつ読んでる大泉実成「水木しげるの妖怪探検〜マレーシア大冒険」によると、(もう、これも痛快きわまりない快著で、紹介したくてしょうがないのだが)「ブスには冷酷な水木しげる」らしく、そうするとダリューは美人に相当うるさい水木的にも美人ということで、かなりレベル高いんじゃないかと思いますが…脱線長すぎだってば。
 何の話だったかというとオータン=ララの話だったわけで、この人についてはそもそもヌーヴェル・ヴァーグの口火を「作家主義」の狼煙とともに切ったトリュフォーの有名な論文「フランス映画のある種の傾向」でルネ・クレマンやジャン・ドラノワと一緒にばっさり斬られているもんだから、ほとんど作家として顧みられてこなかったように思われる。しかしいいかげん40年前の風潮に対して「ヌーヴェル」でもねえだろう、という客観的認識がなりたつこんにち、オータン=ララ氏も頭でっかちなインテリ野郎どもが征した60年代以降の映画史の犠牲者の一人なのかも知れぬのう、などと同情的な感想の一つもかけてあげたくなるんだが、しかし良く読み直してみるとトリュフォーですら「クロード・オータン=ララは、その反骨精神、「進歩的」思想、激烈な反教権主義によって有名な監督だ」と言っているのに、新聞記事によれば「80年代以降は極右勢力と接近し、89年欧州議会議員に当選した」んだそうで、何というか…歴史つーものは無情ですな。
 そーいや、トスカニーニがフィルハーモニア管を振ったブラームス交響曲全集の1952年のライヴ録音がTestamentレーベルからリリースされてますが、これ、凄いです。クラシック・ファン一家一セット必携のボックスって感じ。またmusicのとこで詳しくレビューしたいんですが、まさに火の玉ライヴ。猛進爆発昇天してます。ブラームス好き、トスカニーニ好き、燃える音楽好きはCD屋ダッシュです。
 
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