■11/30(火)
車内吊りを見ていたら、今出てる「anan」が映画特集ちゅーことで「どれ、オンナのコ界では映画の見方はどうなっとるのかいのう」と思い、久々に買ってみた。特集のタイトルは「もっともっと映画を観なさい。」まあ、オレの個人的思いとは共通するタイトルなのだが、なんかananに書いてあると、オピニオン・リーダーぶった態度が見え隠れして必ずしも気持よくはないが、ananを読む場合にはその態度の珍妙さもまとめて笑うのが正解ということであろう。
で、とにかく日本映画の新しい所を持ち上げようというのが今回の方針みたいで、キムタクのグラビアの後、トップ2番目に来てる秋元康vs深津絵里の対談(謎のカード)でも、いきなり秋元が「まだ、『私、洋画しか見ないの』って言うのがカッコいいと思ってる人がいるなら、現実はもう違うと思う」などと言ったり、挑発的な発言がされている。言いたいことの大枠としては正しいような気もするのだが、‥‥まあ、それで何を挙げるのかと思えば「鮫肌男と桃尻女」で、しかもその理由が、タランティーノやリンチを目指してる映画の中で成功作だから…というのが、基本的に日本映画をナメているのではないかというか、モロ大間違いではないかという気もするのだが。
で、他ンとこもまあ大体がうわずみだけすくったみたいな浅い特集になってるのは何しろananだからしょうがないとはいえ、笑えるのはジム・ジャームッシュvs稲垣吾郎の対談だ。
そもそも、ジャームッシュに吾郎ちゃんをぶつけるという企画自体が何かの冗談としか思えないのだが、そんなことは知らないジャームッシュ監督は「私が好きな俳優にリー・マーヴィンって人がいるんですが知ってます?」とか「メルヴィルの『サムライ』観ましたか?」など、容赦の無い質問。当然吾郎ちゃんに答えられるはずもなく、「いいえ、まだ、それは…困ったな、今日はメモしなきゃいけないことが多すぎる!」と弱音を吐くのだが、思うに、こういう、どう考えても「出てはいけない企画」にノコノコと顔を出し、対談相手のキツ〜イ攻撃にアッサリ降参するこのボケっぷりこそ、やはり吾郎ちゃんの味なのだなあという思いを強くした次第。しかも、これだけやられておいて「ヌーヴェルヴァーグの映画が大好き」などとまた言ってしまうあたり、やはり吾郎ちゃんの基本コンセプトは「恥ずかしいヤツ!」なんだなあと思ったのでありました。もちろん吾郎ちゃんはその一点においてこそ買えると思うのだが…って、ひょっとしてこれこそanan編集部の狙いか?!
■11/29(月)
今朝のBBCworld News(まあ地上波なので、正確には昨夜11時に収録されたものを今朝放送したものを見ていたわけだが…)を見ていると、イタリアのアシジで、聖フランチェスコ聖堂の修復ができあがったというニュースが報道されていた。
聖フランチェスコといえば山のようにいるキリスト教の聖人の中でも、とびきり芸術貢献度が高い人である。この人をネタにして作られた芸術作品は絵画でも文学でも音楽でも枚挙にいとまがないが、広く信者以外にアピールしうるという特徴を持っている。おそらく非キリスト教信者に最も知られている聖人だろう(使徒レベルの人を除く)。たしか以前大学の授業で一部分だけ見た、映画版のフランチェスコ伝もあったはずだが、主演がミッキー・ロークなのでいまだにちゃんと見る気がしない。で、このアシジにあるフランチェスコ聖堂も、信者はもちろんのことだが、観光客やイタリア美術を好きな人にとっても巡礼の地だったのである。ルネサンス絵画への道を切り開いた偉大な画家ジオットがフランチェスコの生涯を連作のフレスコ壁画にして遺していたからだ。で、オレも2月にイタリアに行った時にはぜひぜひアシジに寄っちゃろうと思っていた。ところが、よくガイドを読んでみると、「1997年9月の大地震のため、壁画は崩壊。」などと書いてあるではないか!なんでも、このアシジをも巻き込んだ中部イタリア地震によって、この聖堂も二人が犠牲になる深刻なダメージを受けたという。オレは気を落として、アシジ行きのコースを予定帳から削除した。で、帰国した後も、西洋美術の展覧会なんかで上野に行くと、「アシジ地震修復作業寄付金を募集しています」なんて箱を見る度に「あれか〜」と思ったりしていたのだった。
つまりそれがようやく完了したということらしいのである。で、何が言いたいかというと、なんとなくこういうのって他人事のような気がしなくないですか。というどうでもいいような感想なのだが。ちなみにBBCの記事を読むと、イタリア政府とヴァチカンはとにかくミレニアムに修復完成を間に合わせたくて急ぎまくったらしく、「これは時間との戦いだった。そして私たちは勝利したのです」などと感無量のコメントが出てるが、よく読んでみると、まだ二つばかり丸天井が落ちたままらしい。それって、全然間に合ってないんじゃないのか(笑)?
■11/28(日)
かつて所属していた某・大学男声合唱団の演奏会に行く。男声合唱というのがどういうものか、これを読んでいる人のほとんどは想像つかないと思う(関係者は別よ)ので、詳しく書いてもしょうがないのだが、演目のひとつにビートルズのご存じなナンバーを男声コーラス向けに編曲した素敵なステージがあった。これ、ちょっと前に出てクラシック畑では結構なセールスを記録したキングス・シンガースのビートルズ・カヴァーCDをご記憶の方ならわかると思うが、ビートルズのコーラス・アレンジというのはなかなかコレがイィ〜のである(演奏後で知ったことだが、実際にキングス・シンガースが使った楽譜を所々アレンジして使用していたようだ)。で、これを取り上げるということ自体がセンスの良さを感じるし、この主題に手をつけたことに対してオレ的には「よくぞやってくれた!」と賞賛の心持ちであった。そう、石井輝男が映画「地獄」で「オウム麻原を地獄送りにする」という主題に手をつけたのと同じで…って違うか?!
それはさておき、で、はっきりゆって観客の方もノリノリのステージになることが予想されたんだが、いざ演奏が始まってみると、タテノリしろとは言わないが、まぁせめて一曲終わるごとに拍手するのがポップスのフツーのノリだと思われるのに、あたかもシンフォニーの一楽章が終わった時みたいに、客席はシーンとしてて、あまつさえ咳払いなど聞こえる。この人たち、咳を一生懸命ガマンして、マンジリともせずにビートルズのヒット・ナンバーを聞いてるのだろうか?と思うと、この世界の観客の、悪い意味での浮き世離れっぷりが伺われるのであった。
大学のコーラス界というのは妙に枠にはめられた世界で、ぶっちゃけた話、いわゆる「合唱コンクール」の延長線上にある世界だとオレは思っているのだが(一応言っとくが、合唱コンクール的ノリそのものをクサしているのではない)、この合唱団はそれでもクロスオーヴァーな試みをたくさんしてきて、その枠を破るとは言わないまでも、枠を広げるのにけっこう努力してきたと思っているのだが、はじめて観客として聞きに行ってみると、観客の側のダサさというか、そうした試みに対する受け入れ態勢の無さというのが知れてしまった感じがして、なにか残念な気がしたのであった。アメリカの大学コーラスの来日公演なんかで、こういうポップスなノリのステージだとタテノリなのに、何だろうなあこれは…。
そんなことはともかく、当夜ステージに立った皆さんはいつも通り全力投球で頑張ってたし、終演後の胴上げとかも盛んにやってたみたいで、ご盛会おめでとうございます(笑)と心から言いたい日曜の夜でありました。
結局、知らない人にはどうでもいい話になってスマン(汗)。
■11/26(金)
ミシェル・ルグランがスコアを書いたジョセフ・ロージー監督作品「エヴァの匂い」のサントラを中野で発見。我々の抱いている陽気なリゾートなイメージを大幅に裏切る、寒くて乾いたヴェネツィアからはじまる映画のファーストシーンに、このルグランのジャズがほとんど乱暴なくらいにのさばっていたことが思い出される。買ってみるとなんと収録時間25分という、マキシ・シングルみたいな長さのものだったが‥‥。まあ、長い間ほしかったCDなので見つかって幸せ。
■11/25(木)
レンタル掲示板を借り、トップページにリンクした。以前のなま大掲示板と比べてとてもよくできた掲示板である。メニューのページも、ロゴだけではさびしいので、バーバラ・スタンウィック様においでいただいてみた。パッと華が咲いた‥‥ように感じるのは一部のモノクロ映画ファンだけかな?
藤原書店の<バルザック"人間喜劇"セレクション>第四回配本の「金融小説名篇集」が出ていたので、早速購入。「ゴプセック」「ニュシンゲン銀行」「名うてのゴディサール」「骨董室」の四本がおさめられた中短編集だ。脇役マニアにはたまらないセレクトである(笑)。で、ひさびさの本屋、雑誌の棚など睥睨してみると、輸入クラシックCD専門雑誌「グラモフォン・ジャパン」が創刊され、平積みになっていた。かねてからタワレコのカウンターなどにチラシが積まれていて気になっていた雑誌である。手にとってみると、映画雑誌の「プレミア日本版」と同じ版型で、紙質もなんだか似ている。オレはどうもこの紙と版型が好きになれず、プレミア日本版も買い続ける気にならなかったのだが、期待していた「グラモフォン・ジャパン」もコレとは…流行ってるのかね、こういう雑誌装丁が。「プレミア」なみに薄いのに1000円という価格もどうかと思う。だったらサンプルCDもついてるレコ芸を買うと思うが…ってあっちは国内盤が専門だからシェアがかぶらないのか?まあ、何にしてもクラシック音楽でメジャー狙いの雑誌が新創刊されたという事態そのものに拍手したい。
■11/24(水)
「なまけ大学文学部」が一周年を迎え、記念事業にのりださんと身構えてみるも、腰は逆に落ち着いてしまい、更新が実質上停止してから、すでに4ヶ月の月日が経過しようとしていた。
オレはといえば、映画の掲示板に行って見たものの批評を書き込むなどといったことは相変わらず盛んにやっていた。
周りの人からは、「更新しろよ」とやたらにせっつかれる‥‥まあ、せっつくのは、それが手近な話題だからで、それほど深く考える必要もない事くらいオレにも想像がつくのだが、それでもなお、せっつかれる方はオタつくものなのである‥‥といって、「なま大」におけるような企画もののコンテンツは、けっこう立ち上げるのに体力がいる。つまり、ああしたタイプのサイトはいざ攻勢に出んという上向きの気分でいるうちはいいが、守勢となるとめっぽう弱いのである。おいそれとは更新できず、そうそう簡単に手をつけられるようなもんではないのだよ、と頭の中では思いながらも、ネットスケープのホームに指定するのまでやめた時は、さすがに「このまま凍結して、腐っていくだけになるのかなあ」と考えた。
「なま大」が5000ヒット超えた時点で「方向性を変えないと今の状態ではまずいな‥‥」と思った、というのは、そういうことである。そこで、今回の更新では、やることを大きく絞り、世間一般の個人ページのような形にしてみた。タイトルも、‥‥タイトルこそ、一番どう扱っていいのか分からぬ厄介な代物なのだが、Kinematograph(「映画」の意の英古語)プラス、-Grad(「街」の意の露語)で、映画都市という意味の「キネマトグラード」なる造語を作ってみた。「レニングラード」とか「スターリングラード」は「レーニンの街」「スターリンの街」という意なのは有名であるが、先日の東京国際映画祭で「アエログラード(航空都市)」というドヴジェンコのロシア映画を見た時に、このタイトルの格好良さにシビレタのが直接の火種となったのである(この映画「航空都市」は色々と面白い謎をはらんだ奇妙な映画なのだが、そのことは他の機会に書いてみたい)。ロシア語に準ずるなら違う言葉になるのだろうが、キリル文字のメールが送られてくる危険を回避すべく、あえてインチキ造語のままにとどめることにした。
あまり有閑な日々でもないのだが、書きためていたものが役立ち、比較的短時間で準備を終わらせることができ、とりあえず、"cinema"のコーナーにしかコンテンツがないという寂しい状態ではあるものの、アップするだけしてみることにした。これからもぼちぼちとマイペースでコンテンツを追加していくことにしてみたい。