佐渡ヶ島の旅
2006.5.29〜5.31
5月29日(月)晴 6,800歩
東京駅集合が9:50ということで、中央線の遅れを見込んで8:20発の京王バスに乗り、武蔵小金井始発の中央線東京行8:41に階段を駆け下りて乗車する。この日は中央線も順調で、9:25東京に到着する。待ち合わせ場所でツアーの説明を聞き、20番線から10:12に出発するとき317号に乗車する。
今回のツアーは男子6名、女子14名と添乗の丹波さんの21名である。上越新幹線とき317号は東京を出発すると上野、大宮、高崎、湯沢、浦佐、長岡、燕三条に停車して終点新潟に12:21、定刻に到着した。
新潟駅から3〜4人ずつタクシーに分乗し、新潟埠頭の佐渡汽船乗り場に向かう。ここでは乗船までに1時間程時間があるので、8階の展望スカイレストラン、シーブリーズで埠頭を眺めながら昼食をする。ポチは生ビールとハンバーグ、マダムはスパゲティー。レストランの目の前に北朝鮮の万景峰号が停泊するといわれる埠頭があり、意外と小さな埠頭であると思う。
14:00発のアメリカ・ボーイング社製のジェットフォイルは最速47ノット(時速87km)で航行し、新潟—両津間67kmを1時間で結ぶ。フェリーだと20ノット、2時間半である。料金はジェットフォイル片道5,960円、フェリー2等2,060円。新潟港と両津港の間は国道350号線の海上区間である。
定刻15時に両津埠頭に降り立ち、土産物屋の建ち並ぶ2階通路を通り、おけさ橋を渡ってチャーターバスに乗る。このバスは今夜宿泊する吉田屋の関係する吉田交通の41人乗りで、乗客は運転手の中村さん、ガイドの木辻さんを入れても総員23人、殆どが二人席に一人という余裕振りである。
バスは両津港を出発すると、島の東側の海岸線に沿って北上し、小さな集落の点在する穏やかな海岸線を右に見て最北端の弾崎(ハジキザキ)灯台から大野亀にむかう。佐渡では両津から弾崎までの穏やかな東海岸を内海府と呼び、西側は相川までを外海府と呼んでいる。
弾崎灯台から内陸部を少し行くと、願(ねがい)の集落があり、バスの右後方の海上に二匹の亀を思わせる二ツ亀と呼ばれる岩山が見えて来た。この二ツ亀は干潮の時は陸続きになるといわれ、夏になると砂州と砂浜が恰好の海水浴場になるそうである。
大野亀は6月になると飛島カンゾウという百合科の黄色い花で一面が覆われる。今回の旅の目的の一つはこの飛島カンゾウであったが、この時期は咲き初めで、花の絨毯とまではいえないが、咲いた花と今にも咲きそうな蕾の群落も又美しい。飛島カンゾウはニッコウキスゲより花が大きく、山形県の飛島で最初に確認されたが、今では岩百合と共に佐渡特産の花となり、島外に持ち出すことは禁じられている。
大野亀は亀の背中そっくりの一枚岩で出来た標高167mの小山が海に向かってそそり立っている。山裾の展望所からは海を隔てて二ツ亀の美しい姿が眺められる景勝地である。
今宵の宿は加茂湖畔の吉田屋で、海岸線をもどって17:30に到着する。加茂湖畔に立つこの宿は東館、西館、南館がいずれも湖に面している。東館5階の部屋からすぐ前の階段で屋上に出ると男女の露天風呂で、加茂湖の遥か向こうに佐渡最高峰の金北山1,172mを始め大佐渡山地の峰々の美しい景観が見晴らせる。
夕食は部屋で、料理を準備してくれた娘さん推薦の地酒、天領盃で海の幸、山の幸を頂く。梅酒、バイ貝、卵焼、煮こごりの前菜、ベニズアイ蟹、イカソーメン、鰆の照焼きと昆布巻き、甘エビなどの刺身の盛り合わせ、野菜の煮物(カボチャ、里芋、サヤエンドウ、がんもどき)、天ぷら(カニ、なす、ししとう、芋で挟んだエビしんじょう)、カニ甲羅の茶碗蒸し風、牡蠣のみそ焼、カニみそ汁、デザートは柿丸ごとの冷製。料理の品数にも驚いたが、刺身が乾かないよう和紙がかぶせてあった心遣いも嬉しかった。
食後、マダムは露天風呂に行き、湖畔の夜景と星空がきれいであったそうだ。
9時過ぎから1階のロビーで佐渡おけさなどの民謡ショーがあり、満員で座るところが無く、立って見物する。
5月30日(火)晴 15,400歩
この季節は夜明けが早い、4時頃になると空が明るくなり、朝日で加茂湖の湖面が光り輝いている。5時半から交代で大浴場に行く。
6時半から朝の散歩に出かける。両津の繁華街はまだ目覚めていない。佐渡汽船のフェリー発着所に前にある公園で「能の里」佐渡ヶ島の能面や鬼太鼓像、おんでこホールなどを見物し、加茂湖畔を通る道を探したが、見付からず、漁港で朝の漁を終えた漁船の作業などを見物する。
7時半頃宿に戻ると、出発するお客さん方で混雑している。喉が渇いたので、ロビーでコーヒーを飲みながら朝食の時間を待つ。朝食は8時からとのことであったが、10分前に大広間に行くと半数以上の人が食事をしていた。
朝食はアジの開き、イカソーメン、いごねり(海草)など海の幸いっぱいの和食である。
9:00宿の人達に見送られて、バスはトキの森公園に向かい、15分程で到着する。朱鷺はニッポニア・ニッポンという学名で、かっては日本の各地で見られたが、今では中国から送られて来たつがいから繁殖させてこの公園に100羽程飼育されているそうである。見物する所から25〜30m程先の金網の中に飼育されており、時々羽を広げて金網の中を飛ぶ姿が見られ、羽の下のオレンジがかったピンク色の美しいトキ色が瞬間見られた。
トキの森公園からバスで50分程走り、佐渡最南端の港、小木に10:30到着する。この港は直江津からの大型旅客フェリーが2時間30で到着するそうである。この辺りは風光明媚で、遊覧船やモーターボートで海上からの景観を楽しむ所でもある。しかし、佐渡のたらい舟と言えば小木である。静かな湾の中を赤い腰巻きに絣、菅傘という装束の女船頭さんの漕ぐたらい舟に乗って10分程揺られる。女船頭さんはたらいの前で、一本の艪を上手に漕いでたらいを動かして行く。昔はこのたらい舟で海草や貝、魚などを捕っていたそうである。
真野は小木から30分程で、佐渡で最も古くから開けた町と言われている。11:50真野宮に参拝して、歴史伝説館を見物する。昔の佐渡の歴史や伝説を12景にわたってからくり人形が紹介してくれる。併設されている人間国宝、佐々木象堂の記念館では天皇家に贈られたといわれる瑞鳥が飾られていた。この瑞鳥は幸運を招くといわれ、皇居新宮殿棟飾りであり、昭和天皇在位60年の記念切手のデザインや天皇家の祝事の際に使われているという。
昼食はこの歴史伝説館のレストラン、割烹夕鶴で海鮮丼を頂き、庭を見物してコーヒーを飲みながら休憩する。
真野鶴酒造のアルコール共和国は造り酒屋の様子から酒に関係のある商品を展示発売している。佐渡には7軒の造り酒屋があるそうで、なかでもこの酒屋は全国の新酒部門において6年連続で金賞を受賞した名門だそうである。金賞を受賞したお酒の味見は出来なかったが、真野鶴の利き酒をして人間国宝、伊藤赤水の制作になる独特の色合いの異名異焼を見物する。
真野鶴酒造から佐和田の街を通って七浦海岸に向かう。金山の頃は相川が栄え、その後は両津が佐渡の中心であったが、最近では佐和田の街が地の利を得て発展しているとのことで、新しい建物やスーパーマーケットなどが新築されていた。
真野湾の穏やかな海岸線から七浦海岸に代わる辺りで、灯台が二カ所あり、その先に夫婦岩と呼ばれる二ツの岩礁が見えて来た。潮の引いた岩盤の上の歩道を歩いて、角度によって姿が変わる夫婦岩を楽しむ。この辺りから外海府にかけて、外海の荒波によって出来た奇岩岩礁が林立し、相川の街を過ぎると尖閣湾と呼ばれる景勝になる。
尖閣湾は世界一美しい海岸美として知られるノルウェーのハルダンゲル・フィヨルドの景観に勝るとも劣らないということから、ハルダンゲルフィヨルドをそのまま日本語訳して名付けられたそうである。また、菊田一夫の名作、映画「君の名は」のロケ地にもなったことから、かってはマチコ橋と呼ばれる橋があったが、今は架け替えられて遊仙橋と呼ばれている。バスの駐車場から歩道を下りて行き、笹子洞窟を通って尖閣湾揚島群を遊覧する水中透視船(グラスボート)、こまち丸12人乗りに乗り、15分程見物する。
船上からは第1景から第5景まで、立雲峡、金剛峡、膳棚峡、揚島峡などと名付けられた入り江の景観を見物し、船底のガラス越しに海底の魚や生物を観察する。アナウンスの解説に従って、左右の景観を見たり船底を覗いたり、忙しい。
尖閣湾から今日の宿、平根崎(温泉)のホテルひらねはバスで15分程であり、16時に到着する。3Fの部屋のベランダから、目の前に外海府の雄大な日本海やはるか彼方に尖閣湾が遠望出来る。
平根崎は夕日のきれいなことで有名で、このホテルのロビーからも見えるそうである。夕日を見てから部屋で食事をすることとし、先ずはホテルの前の海岸にできた天然記念物、波蝕甌穴群の見物に出かける。この海岸線には世界2位を誇る波蝕甌穴群が長い年月の間に出来たそうで、自然の力を感じさせる。
風呂に入って、のんびりと日本海を眺め、天候の回復を祈ったが、その甲斐無く、18:30からホテルの傘をさして、夕日の沈むところを見物するはめになった。雲間からかすかに光が漏れることはあったが、ついに夕日は見られず、残念であった。
夕食は部屋で、19時から20:30まで、佐渡・赤泊の地酒、北雪で頂く。刺身、前菜(ホタテ、ふき、そらまめ、筍の木の芽みそなど)、ズアイガニ、イカソーメン、天ぷら(カニ、キス、ししとう、なす)、鯛の焼き魚、焼き茄子のあんかけ、白身魚の陶板焼、シジミのみそ汁。デザートは今日もおけさ柿。
窓から見える漁り火を眺めていると、眠くなってきた。
5月31日(水)晴
6時に目が覚めると、朝日で海が輝いている。朝風呂に入って朝食をする。いかそーめん、焼き海苔、温泉卵、野菜サラダ、海草の佃煮、サンマの干物、筍、フキ、水菜とみそ汁、漬物、の和食であるが、ヨーグルトの飲物付きである。食後にロビーで珈琲を頂く。
8:40ホテルを出発し、9:05佐渡金山に到着する。バス停から歩きながら、道遊の割戸と呼ばれる徳川時代初期の露天掘りの名残である二ツに割れた山を眺める。最盛期は東西3,000m、南北600m、深さ800m、坑道の総延長は約400km、佐渡から東京までの距離に相当する巨大な金鉱の様子が、コンピューター・ロボットによって再現されている。坑道の中は9℃位で、ゆっくり歩いて見物していると、時々肌寒くなる。
10:10金山を出発したバスは沢根、佐和田、金井などの集落を通って、国道350号線で両津港に向かい、加茂湖畔の加茂湖観光センターに10:45到着する。沢根の集落には紀子様も「美味しい」と言って食べられた沢根団子で有名な老舗の団子屋さんが2軒あり、夫々味を競っているそうである。
我々以外の人達はこの観光センターで昼食を予約していたので、早めの昼食をする。私達はレストランでビールとイカのポンポン焼き、コーヒーと紀子さんの食べた沢根団子を売店で買い、電子レンジで温めてもらう。
両津港から新潟港までは大型フェリー、おおさど号で2時間半、12:40に出発して15:10に到着した。2等線室は絨毯敷きで、靴を脱いで座る。出航してしばらくは佐渡のカモメが付いて来ていたが、しばらくするといなくなり、新潟港に近づくと新潟のカモメが迎えにやって来た。船内の探検に出かけ、ビュッフェをみつけて、ビールと枝豆、コーヒーを飲みながら海原を眺める。
新潟港からは待っていたタクシーに乗り、JR新潟駅に15:35到着する。新幹線の出発時間まで、新潟土産を探して駅ビルの中ををうろうろするが、そのうち疲れて待合室で休憩する。
上越新幹線とき338号は新潟駅を16:43に出発し、19:00東京駅に到着する。列車の中で頼んでおいた雪ん子姉妹寿司を受け取り、新潟駅で買って来たカツサンドを缶ビールやヤクルトで頂いて、一寝入りしたら東京であった。
中央線を武蔵小金井駅で下車し、20:25バスで帰宅する。