大人の休日倶楽部
JRで廻る東北の旅

2005.9.68

 3日間通用の大人の休日倶楽部パスを使って、東北の太平洋岸、三陸のリアス式海岸をJR三陸鉄道で旅しました。
 台風14号の影響で不通となった路線は代行バスに乗り、荒海の松島と快晴の松島を見物し、石巻から新庄まで列島を横断して山形新幹線で帰京しました。


96日(火)雨

 雨が降っていたので、タクシーで国分寺駅に向かい、520到着する。朝が早いので駅構内は閑散としている。526発の東京行普通電車の車内はほぼ席が埋まっている状態であったが、何とか座ることが出来た。東京駅着は620、新幹線はやて号の出発時間まで朝食用にハンバーグサンドを買い求める。

 東北新幹線はやて1号は定刻の656、東京駅の23番ホームから出発した。はやて号は10両編成で、前に6両のこまち号を併結し、盛岡までは16両編成である。盛岡でこまち号と分かれ、八戸駅に1004到着する。

 八戸発1016の八戸線久慈行きうみねこ号は、しばらく八戸市内を通り、陸奥湊辺りから港が見え始め、白銀、鮫、金浜、大蛇など水に関係ありそうな珍しい名前の駅を通り、太平洋の海岸線を走る。その後、海岸線が見え隠れしながら久慈駅に1201に到着する。

 久慈駅からは第三セクターの三陸鉄道北リアス線になり、女性の運転するワンマンカーである。久慈駅の三陸鉄道との乗り換え口で案内をしていた女性が運転手である。この鉄道は観光鉄道らしく、沿線の景観を説明してくれる。野田玉川駅の辺りでは美しい玉川海岸や烏帽子岩が見え、鮭が遡上する安家川の鉄橋の上では、写真を撮る時間、

電車を止めて説明してくれた。堀内駅(ほりない)辺りでは、まついそ公園の海岸線が美しい。この辺りから電車は海岸線と分かれ、トンネルの多い山間地帯に入り、1348宮古駅に到着する。三陸鉄道北リアス線、久慈宮古間に13の駅があり、トンネルは39個であった。

トンネル内にネオンで電飾されたトンネルが一つあり、トンネル内の退屈な時間を楽しくしてくれた。

 宮古駅に降り立つと、小雨が降っており、駅前の寿司屋、蛇の目本店で生ガキ、アナゴ煮、海鮮丼などを生ビールと共に頂く。

 駅前のタクシー乗り場から浄土ヶ浜の御台場展望台に行き、小雨の中傘をさして、太平洋に浮かぶ険しい岩肌の林立する景観を見物する。駅への帰りに運転手が市場や長い柱に沢山の電球をつけたサンマ漁船が係留されている魚港を案内してくれた。サンマ漁では沢山の電球を輝かせてサンマを集めるため、今年は石油の高騰でサンマ漁が大変だそうである。

 宮古から釜石までJR 山田線になる。山田線は盛岡と釜石157.5kmを結んでおり、盛岡から宮古までは山間部を、宮古から釜石までは海岸沿いを走る。宮古駅を1553に出発した列車は途中11の駅と13個のトンネルを通って、1707釜石駅に到着した。この時間の列車は通学の学生さん専用の様で、学生さんが乗ったり、降りたりで、列車の中は甲高い声で賑やかである。

 釜石駅も小雨で、宮古駅から携帯で迎えを頼んでいたホテルの従業員が迎えに来ており、5分程の釜石港に面した陸中海岸グランドホテル1720到着する。

 部屋で着替えて早速7階の展望大浴場に行く。マダムは団体さんの食事が始まった6時半から風呂に入る。風呂から出てくると、部屋から見える釜石港の夜景をしばらく眺める。

 夕食は1930から部屋で海の幸三昧を頂く。刺身、カニ、ホタテ、カサゴ、エビ、タコ、サザエ、数の子、イカ、ムール貝、ワカメなどが夫々料理されたり、味付けられたりであったが、味としては宮古で食べた昼食の方が美味しかった。

 

97日(水)雨 松島雨で強風 14,300

 風の音で目が覚める。どうやら台風が予報通り近づいたらしい。窓から眺めると沢山の大型船が強風を避けて湾内に係留されている。

6時半から7階の展望大浴場で風呂に入る。

 7時半から2階の座敷で和食の朝食をする。イカソーメン、サンマの佃煮&卵焼、海苔、納豆(これはマダムが食べる)、昆布の和え物、もやし&キャベツ、漬物、みそ汁、ご飯。

 825ホテルの車で釜石駅まで送ってもらう。この頃には雨は何とか上がったようだ。

  釜石からは三陸鉄道南リアス線で盛に行く予定であったが、そこから気仙沼までのJRが不通になっているとのことで、釜石線で花巻に向かうことにし、JRの改札口に行くとこちらも運転を見合わせていると言う。しかし、途中遠野までバスで代行運転し、そこから先は電車が運行している、とのことで915発の代行バスで遠野に向かう。

 代行バスには釜石駅の駅員が乗り、電車の駅毎に国道にバスを止めて、駅舎まで乗客の確認に行く。殆どの駅が無人駅なので連絡が出来ないのだろう。遠野駅着は1030、花巻行きの電車を待たせてあったので、駅員に案内されてバスの乗客が乗車するとすぐ出発した。

 東北新幹線との連絡駅、新花巻着は1125。新幹線の指定席を予約し、新花巻発1141、やまびこ54号で仙台に向かい、新花巻駅で買い求めた駅弁を食べ、缶ビールを飲んでいると間もなく1254仙台駅に到着する。 

 仙台駅から松島に向かう仙石線のホームは、以前地上にあったが、しばらく来ないうちに地下になり、仙台駅が始発ではなく、青葉通りが始発になっていた。駅の案内板は分かりにくく、迷いながら何とかホームにたどり着く。

 仙台駅発1321の仙石線石巻行き普通電車は松島海岸駅に1402到着する。地図を見ながら駅から坂道を上り、10分程で今夜の宿、フォルクローロ松島に到着する。このホテルはJR東日本が長野県から青森県にかけて展開するホテルチェーンであり、総ての部屋から松島湾の景観が見えるよう設計されている。

 駅に着いた頃から風が強くなり、雲行きも怪しげになって来たが、まだ雨は降り出していないので、日本三景の一つである松島の観光に出かける。

  海岸に打ち付ける波が激しく洗う海岸縁の道を歩いて、松島公園から観蘭亭の前を通り、桟橋から五大堂に向かう。透かし橋を渡って五大堂を見物するが、風が強くて吹き飛ばされそうである。福浦橋に行く間の桟橋は波に洗われて見えなくなっている。

 福浦島に架かる赤く塗られた福浦橋の通行料を払って島に渡る。福浦島は天候のせいか閑散として殆ど人の姿がない。松島湾を見渡す展望所から見ると、定期連絡船が行き交う姿が見え、団体客の姿も見受けられた。

 再び橋を渡って、橋のたもとのカフェでコーヒーやビールを飲みながら荒波の湾や行き交う定期連絡船などを眺め、マダムはスケッチをする。

 海岸沿いの土産物屋や飲食店などは強風に備えて店じまいをしている中、瑞巌寺を見物に行くが、本堂には入らず外から眺めて、円通院の前を通って夕食の店を探して歩いたが、殆どの店は強風に備えて閉まっている。やっと開いていた店を見つけて入ったら、ここも店じまいで、駅前の牛タン屋さんを教えてもらう。

 駅前の牛タン店お食事処は近所の肉屋さんのおばさんがやっている店で、事情を話して1710から1820まで夕食をする。炭火で焼きながら牛タンを岩塩で頂く味は最高である。同じく炭火で焼いた軟骨の串焼きや牛タンカレー、漬物などを食べながら、生ビールを3杯も頂いた。お土産に小豆とヅンダあんの団子を頂き、これはマダムの大好物で、夜食の楽しみである。駅のキオスクで今夜の缶ビールと味噌パンを買い、ホテルに帰る。

 

98日(木)晴 14,400

 515目が覚めるとカーテンの外が明るい。カーテンを開けると松島湾に浮かぶ島の上に朝日が昇り始めたところである。後で調べてみると512が日の出の時刻であった。波一つ無い穏やかな松島湾の島々や福浦橋が朝日で輝いている。昨日の荒天とは打って変わって素晴らしい景色に見とれているうちに、日は高くなり暖かくなって来た。

 シャワーを浴びて7時から一階のラウンジで食事をし、テラスの椅子に座って松島を眺める。

 820ホテルをチェックアウトし、駅のロッカーに荷物を預け、あらためて松島の観光に出かける。昨日見た五大堂は朝日に輝いており、早朝のせいか見物客も少なく、のんびりと見物出来た。

 松島湾一周の観光船仁王丸が今朝一番に出航する9時の船に乗る。朝早いのでまだ観光客は少ない。二階のグリーン席は5名程である。船は桟橋を出ると、右回りに島々の間を廻り、50分程で桟橋に帰る。デッキで観光客が餌をあげるのでカモメ(海猫?)が船について来て周りを飛び回り、時々デッキで休んだりしてついに最後まで付き合ってくれた。船内放送で島々の説明があり、しばらくは右へ左へと見物する視線を動かして忙しい。島の名前を聞いてその形を見ていると、形と名前が一致してくる。桟橋に帰ってくると沢山の珍しい形をした観光船や定期連絡船が船着き場にあり、大勢の観光客で、賑わっていた。

 桟橋から海岸を右手に10分程歩くと雄島があり、渡月橋を渡って見物する。島を一周して洞窟や仏像、石に彫られた法名、これは墓石だったのだろう、芭蕉の句を彫った石、高名なお坊さんの句などを拝見する。古いものは彫られた文字も風化して読み取れない。湾を見下ろすベンチに座り、行き交う遊覧船を眺めながらしばらく休憩する。

 昨日門前を通った瑞巌寺の洞窟群を見て回り、在りし日の僧侶達が修行した苦労に思いを馳せる。1110から30分程、門前の茶屋、洗心庵で一休みし、マダムはお汁粉をポチは生ビールを頂く。

 瑞巌寺の北東隣にある陽徳院は二代藩主、忠宗公が母愛姫の菩提を弔って建てた寺であるが、その山門には六地蔵と共に、この地から満州に行き、かの地で無くなった開拓団戦死者の石碑が立ち並んでいた。

 松島海岸駅発1202の仙石線石巻行き普通電車で石巻に向かい、石巻に1246到着する。駅前の寿司屋、富喜寿司で急いで握り寿司、いなり寿司、カンピョウ巻の食事をし、1330発の石巻線小牛田行き電車に乗り、小牛田に1413到着する。

 小牛田からは1429発の陸羽東線、奥の細道湯けむりラインを鳴子温泉で乗り継ぎ、1644新庄駅に到着する。この沿線はその名の通り温泉が多く、あちこちで温泉の白い湯けむりが見えた。また、鳴子温泉駅から二つ目、堺田駅に1558分に到着したが、ここは太平洋と日本海の分水嶺になっており、標高338mの駅前にその標識が建っていた。

 新庄駅で新幹線の出発を待つ間、街の大通りを歩き、市場を見物して町の空気を味わう。東北の駅100選に選定された、新しい未来的なデザインの駅舎を見物し、珍しい食べ物や手造りの手芸品などをを買い求める。

 山形新幹線つばさ126号は始発駅新庄を1750に出発し、福島駅でやまびこ126号と連結して、東京駅の21番ホームに2124到着した。外は暗く、刀型のお月様がきれいであった。新庄駅で買ってきた紅花弁当をつまみにして缶ビールを2缶飲み、一寝入りしたら大宮を過ぎた辺りであった。東京駅から中央線とバスを乗り継いで、1035帰宅する。


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