6月27日(月)東京—晴 栂池—雨 大町地方—大雨洪水警報
6:27発の府中病院行きのバスを国分寺駅南口で降り、国分寺発6:46の中央特快高尾行きを八王子で下車する。同じホームから7:29発 特急スーパーあずさ1号に乗車する。
八王子駅で買ったサンドとコーヒーで朝食をする。スーパーあずさは大月、石和温泉、甲府、韮崎、小淵沢、茅野、上諏訪、岡谷、塩尻とスーパーの付かない特急あずさより良く停車し、終点松本には3分程遅れて9:41に到着した。大糸線との乗り換え時間は6分のところ、3分になり大急ぎで6番ホームに向かう。
9:44発大糸線 南小谷行きは私達が乗車するのを待って発車した。車窓からアルプスの山並みは殆ど見えず、11:16白馬駅に到着する頃には雨が降り出した。列車を降りる頃には2両連結の後の車両には私達2人だけとなっていた。
白馬駅には山小屋のオーナー、府川さんご夫婦が車で迎えにきて下さっていた。ゴンドラリフトの栂池高原駅の近くにある麓の山小屋へ向かう途中の千国の庄番所、歩荷茶屋で昼食をする。蕎麦は勿論、くるな、シソの葉、よもぎ、うど、等の山菜の天ぷらと唐辛子で漬けた大根の漬物(これは小谷村の名物だそうです)は珍しく、美味しかった。
12:20山小屋に到着する。3月末に来たときは見渡す限り真っ白な雪景色であったが、すっかり景色が変わり、野菜の実った畑、色々な花がきれいなあぜ道など、見違えるばかりである。
午後は白馬の大雪渓に行く予定であったが、雨が降り出し、大町地方に大雨洪水警報が発令されたため、車で蓮華温泉に出かける。北アルプス北端に位置するこの温泉へは毎年6月下旬頃道路が開通するとのことであったが、行ってみるとひわ平で通行止めになっており、そこから引き返す。
蓮華温泉に入りそこねたので、山道を国道148号線まで下り、JR大糸線に沿って南下し、小谷温泉口の交差点から114号線に入り、中谷川に沿って山道を登り、16時に村営小谷温泉の露天風呂下の駐車場に着く。
小谷温泉は雨飾山への登山口になっており、下山してきた人たちの多くはこの温泉で疲れを癒す。駐車場からブナ林を登ると村営の露天風呂がある。湯船は男女別に分かれているが、脱衣所を簡単な塀で囲っただけのまったくの露天風呂である。客が誰もいない風呂の温度は熱く、しばらく水を入れて、頭上の小枝から滴が落ちてくるので、頭にタオルを載せてそろりと湯船に浸かる。結局駐車場に帰るまで客には会わなかった。女湯も一人きりだったようだ。
麓の山小屋に帰り、今回の旅の目的の一つである手造りビールの仕込みをする。
夕食は山小屋のオーナー夫妻と4歳になるお嬢ちゃんの5人で、山菜の天ぷらや根まがり竹の煮物、ヤマメの干物など地物の料理とビールを頂く。マダムは豆腐で造ったカキフライを紹介する。
6月28日(火)雨
雨の音で目が覚める。外は土砂降りで、テレビでは大町地方に大雨洪水警報が出され、白馬の大雪渓へ行く道は通行止めになったようだ。
美味しいトースト、ポタージュのスープ、ポテトサラダ&炒り卵、コーヒーで朝食をする。
9時から雨合羽に長靴で完全武装をして自然園に出かける。ゴンドラリフト「イブ」と栂池ロープウェイを乗り継いで9:40標高1,829mの自然園駅に到着する。ここまで客の姿は数人で、自然園を歩いている間もカメラを担いだ数人のおじさんに会っただけである。ツアーで来た客はビジターセンターまでで、そこから先は木道が水に洗われていて、水中に浮いているので長靴でないと歩けない。
傘をさして水中の木道を注意しながら歩いて行くと、コバイケイソウの群集や一面水芭蕉の集落があり、水たまりの向こうにシラネアオイの可憐な姿があった。水芭蕉を近くで見ると花びらに水滴が着いていてきれいだ。雨で見る方は大変だが、花や植物は生き生きとしているようだ。
オオカメノキ、根まがり竹、毛のないよもぎ、ミツバオウレン、タケシマラン、リュウキンカ、ナナカマド、サンカヨウ、イワカガミ、チングルマ、モウセンゴケ、エンレイソウ、ヤシオツツジ、イワカガミ、イワイチョウ、ショウジョウバカマ、キヌガサソウ、マイズルソウ、ハクサンチドリなど数えきれない程の植物を見ながら教えてもらう。
借りてきたマダムの長靴は短いので、靴の中まで水浸しである。
栂池ヒュッテでビールやコーヒーでお焼きを食べながら、3月にスノーシューを履いて歩いたときのことを思い出してみたが、今では想像出来ない程の変わり様である。そのときの旅日記を読むと次のようである。
一面が真っ白い雪世界の中の踏み固められた道らしきものをたどって、ビジターセンターや栂池山荘、栂池ヒュッテのある辺りまでスノーシュー・ウオーキングをする。周りの樹木が低く見えるのは、2m
を越す雪の上を歩いているためだろうか。前回、夏に来たときは川が流れており、その川に橋が架かっていた記憶があったが、今は雪に覆われて、川も橋も分からない。ビジターセンターの2階建ての建物の1階部分が雪に埋もれて、2階の窓がすぐ近くに見える。しんと静まり返って全く音が聞こえないのは、雪が音を吸収しているのか、それとも音を立てるものがないのか。しかし、霧で遠くの景色は何にも見えない。1時間程歩いたが3人のみで、誰にも会わなかった。
12:50から40分程塩の道を歩いて、百体観音などを見物する。1時半に麓の山小屋に帰り、ビールやコーヒーを飲みながらミツバの煮付け、野沢菜漬け、根まがり竹の煮物、蕎麦饅頭を食べながらオーナー夫妻と歓談する。
今日の夕食はオーナー一家と5人でホテルグリーンプラザ白馬に出かける。今日はホテルが小谷村の村民に割引料金で食事や温泉を提供する村民の日のサービスデーだそうである。食事はバイキング、ソフトドリンク付きである。私はアルコール飲み放題のセットにし、生ビール、地酒、ワインを飲みながらデザートまで美味しく頂いた。
食後は大浴場の温泉に入り、露天風呂を楽しんだ。それにしても5人でお腹いっぱい食べて、飲んで、風呂に入って8,610円とは驚いた。
6月29日(水)曇後晴
6時半から30分程バス停や栂池温泉元湯栂の森辺りを散歩する。朝食をして8:20に出発し、出勤するオーナーに白馬・八方のゴンドラ乗り場まで送ってもらう。
ゴンドラリフト<アダム>で兎平に、そこからアルペンクワッドリフトで黒菱平へ、さらにグラードクワッドリフトで八方池山荘に9:15到着する。途中、兎平では一瞬であったが雲が切れ、幸運にも白馬山が見えた。リフトに乗っているときは、霧で寒かったが八方池山荘に着くと辺りは晴れている。白馬三山は雲に隠れ、時々白馬鑓ヶ岳が顔をみせるだけである。
3月の雪のときに見た景色とは様変わりの風景に驚きながら、八方尾根自然研究路を八方池に向かって歩き出す。階段状の木道を歩きながら道端の高山植物を眺め、石神井ケルン(八方山ケルン)1974m、第二ケルン(息ケルン)、八方ケルン(2035m)を経て地蔵石仏に10:35に到着する。ここから眼下に八方池や雪渓を見下ろし、第三ケルン(2080m)を見て八方池に下る。池のほとりのベンチに座って白馬三山が見えないかと、しばらく雲の様子を伺っていたが、なかなか山は現れない。
仕方なく雪渓を歩いて八方山荘に下る。12:00に山荘に到着し、3月のときと同じ生ビールと野沢漬け、マダムはぜんざいを食べながら30分ほど休憩する。
3月に雪の上を歩いた第一ケルンまで歩き、様変わりした様子やケルンが大きく見えるのに驚く。帰りは黒菱平の鎌池の周りを一周してタカネバラなどの高山植物を観賞する。
八方尾根で出会った植物:イワカガミ、マイズルソウ、ミヤマアズマギク、ハクサンイチゲ、タニウツギ、ミネウスユキソウ、ヨツバシオガマ、オオタカネバラ、チングルマ、コバイケイソウ、ニッコウキスゲ、カラマツソウ、ネバリノギラン、ミヤマクワガタ、オヤマソバ、ハルリンドウ、ショウジョウバカマ、オニアザミ
ゴンドラの八方駅到着は13:40。バス停まで道を聞きながら歩き、13:55発のバスで14:05白馬駅に到着する。スーパーあずさ28号の指定席券を買い、駅前の売店の二階のレストランでビールやアイスコーヒーで喉を潤す。
スーパーあずさ28号新宿行きは15:04に白馬駅を出発し、八王子に18:01到着する。中央特快に乗り換えて国分寺で下車し、国分寺から京王バスで、19時帰宅する。