三たびアルペンルートの旅


2003.5.6〜7

             
1997年、2000年に続いて今年も連休明けに富山県側の立山から入り、
弥陀ヶ原ホテルで一泊し、雪の大谷ウオークを楽しみました。

5月6日(火)晴−曇
 バスで金沢駅西口に着いたのが9時35分。自動販売機で富山までの乗車券と自由席特急券を買い、7番線に急いで、特急サンダーバード1号富山行きの5号車に飛び乗る。金沢駅を9時45分に発車したサンダーバード1号は途中高岡駅に停車し、10時20分、定刻に富山駅に到着した。
 富山駅から立山駅まで富山地方鉄道線のワンマンカーで約1時間、10時34分に出発して立山に11時33分に到着する。立山に近づくにつれ、前方から右側にかけて雪を冠った立山連峰の山々が姿を現して来た。
立山ケーブルカーの切符売り場で、JTBのクーポン券をアルペンルートの扇沢までの切符と交換し、美女平までの立山ケーブルカーの予約をする。ケーブルカーの出発時間まで、駅前の食堂のオープンカフェでビールとコーヒーを飲みながら休憩する。
標高475mの立山駅から美女平までは立山ケーブルカーが往復している。標高差は500m、距離にして1.3kmを7分で登る。車窓から見える立山火山の溶岩、材木石や富山平野のパノラマを楽しむ。標高977mの美女平で立山高原バスに乗り換える。この辺りは原生林が広がり、国内有数の野鳥の宝庫とのことである。売店を通って展望用のテラスに出てみたが、残念ながら霧が立ちこめて景色は見えない。売店の奥にある食堂でビールとコーヒーでお焼きを食べ、昼ご飯とする。
 13時20分発の立山高原バスは座席の半分程の客を乗せて、室堂に向けて出発した。途中、ビデオで立山信仰や四季の自然の様子などを紹介してくれた。称名滝を見下ろす滝見台では停車して美しい滝の様子を見せてくれた。辺りの景色が緑から雪景色に代わり、道の両側に雪の壁が現れ、辺りがすっかり冬景色になってしまった頃、弥陀ヶ原のバス停が見えて来た。美女平を出て30分、13時50分の到着である。
 今夜の宿、弥陀ヶ原ホテルはバス停から雪かきしてある砂利道を50m程入ったところにある。この辺りは国立公園で、道を鋪装するにも國の許可が必要で、その許可が得られないため、砂利道のままになっている、とのことである。砂利道に積もった雪を機械で跳ね飛ばして出来た周りの雪の大地は、遠くから見ると一面雪景色で美しいが、近くで見ると雪とともに跳ね上げられた石ころが雪に混ざっている。
 弥陀ヶ原は標高1,930m、東西20km、南北3kmの溶岩台地にひろがるわが国最大級の高原である。6月頃まではスキー、7〜8月には高山植物が一面に咲くお花畑めぐり、秋は高原全体を彩る紅葉のじゅうたんと楽しみはつきない。今は台地一面が雪に覆われ、そのほぼ中央にバス停と国民宿舎立山荘、そして弥陀ヶ原ホテルがある。このホテルは高齢者や障害者にやさしい心配りがされており、いたるところでバリアーフリーや段差の少ない造りになっている。車椅子の貸し出しや車椅子用のトイレも設備されている。今日も障害者のツアー客が大勢宿泊していた。
 16時45分からホテルのガイドをしている鍛治さんが雪上散策に案内して下さる。ホテルで貸していただいた長靴とストックを持って、立山荘の横にできた登り口からカルデラ展望台に向かう。5mも積もった雪の上をゆっくり登りながら弥陀ヶ原や立山の自然の厳しさや高山植物、動物、鳥などの話を聞く。
 カルデラ展望台からは立山のカルデラが一望出来るとのことであったが、今日は雪が積もっていて見ることができなかった。しかし、遥か遠くの薬師岳を眺め、今年初のうぐいすの鳴き声を聞いていると、自然の偉大さとすばらしさが伝わって来て、大変幸せな気分になってきた。
 ホテルの大浴場は2階で、天然の素材がふんだんに使われている。窓の向こうには2,501mの大日岳や大日連山の山々、遥か遠くに富山平野の町並みが見られた。連休明けで宿泊客も少なく、しばらくの間大浴場を独り占めする。夕日が見えることを期待していたが、あいにくの曇り空で残念であった。
 夕食は1階の和食堂、大日で18:30からの予約をしておいた。食堂の窓越しに日暮れとともに、富山市や近隣街のネオンが見えてきそうで、なかなか見えない。夕食は食前酒の弥陀ヶ原ワインと当地の名酒、立山で、先付に始まり果物まで12種類の料理を堪能した。
 部屋に帰ると、遥か彼方に街のネオンがぼんやりとしていたが、時間とともにはっきり見えてきた。明日も降らないことを期待しょう。

5月7日(水)曇−雨−曇−晴
 6時半から朝風呂に入る。富山平野の町並みや大日山系の山々が美しい。ホテルの周りの散歩に出かける。昨日と同じで見渡す限りの銀世界、鋪装されたバス道路を歩く。行けども行けども道路の両側にできた雪の壁で、何にも見えない。画伯のスケッチの間雪の壁を仔細に眺めると、地面からは蕗のとうが芽を出し、雪かきの度にできた雪の層が模様のようになっていておもしろい。
8時から2階のレストラン、薬師でバイキングスタイルの朝食をする。
 予約しておいた9:30発のバスで室堂に向かう。室堂までの20分の間、バスの両側は雪の壁で、洞窟の中を走っているようだ。
室堂は曇だったが、今にも降り出しそうで、荷物をロッカーに入れて、傘を持って雪の大谷に向かう。雪の大谷は室堂から弥陀ヶ原に向かうバス道路の左側にロープを張って歩けるようにした歩道で、両側に10m程の雪の壁が延々と続いている。この辺りは最も積雪量が多く、毎年15m以上は降るらしく、警備の人の話によると、この雪壁は20mにもなるらしい。見渡す限り雪の壁で、雪洞のような所に立っていると、自然の偉大さと自然の作り出した異次元の世界を感じる。
 室堂平やみくりが池を散策しようと売店の横から外に出てみたが、一面雪で、折から雨も降り出し、早々に引き上げる。バスターミナルの喫茶店で立山の湧き水でいれた水出しコーヒー(850円)を飲みながら、窓外に運良く雷鳥でも現れないかと期待していたが、残念ながら出会いはなかった。
 室堂発11:15の立山トロリーバスに乗り、およそ10分で大観峰に着く。標高2,316mの大観峰は黒部峡谷と立山連峰を望む最高地点で、見晴しの良い展望台から景色を堪能するはずであったが、雨で戸外に出ることもできず、残念であった。
大観峰11:30発のロープウェイで黒部平に11:37到着、そこから11:50発のケーブルカーで黒部湖に11:55に到着した。
雨は小降りにはなって来たが、傘をさして黒部ダムの上を歩き、展望レストランでビールを飲みながら赤牛岳の頂上が雲の切れ目から見えかくれする様子を眺める。
 アルペンルート最後のトロリーバスは黒部ダム駅を13:05に出発し、富山県から長野県に入り、13:21扇沢に到着した。
途中が雨で、見物出来なかった分だけ早く到着し、バスの待ち時間の間レストランでビール、そばで昼食をする。 
 扇沢発14:30の北アルプス交通バスは定刻の15:05にJR信濃大町駅に到着した。扇沢までは雨だったが、ここでは上がっていた。駅の売店の前で美味しそうなそばをすする音を聞きつけ、お腹の空いていたことを思い出して、名物の信州そばを頂く。
特急スーパーあずさ10号は信濃大町駅を15:29に出発し、約2時間半で八王子に到着する。そこから中央線快速電車と京王バスを乗り継いで、19時前に帰宅する。

 弥陀ヶ原ホテルの夕食

↓室堂の「雪の大谷」

立山黒部アルペンルート

 

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