九州名湯と狩り
2002.11.6〜9

別府、霧島の二大温泉に浸かり、湯布院、
耶馬渓、阿蘇、高千穂峡、霧島で紅葉狩り
をしました。柳川の川下りとせいろ蒸しを
楽しみ、坂の街・長崎を散策しました。

11月6日(水)晴 16,800歩
 国分寺発4時42分の中央線上りの初電車に乗る為、4時に家を出、歩いて国分寺駅に向かう。国分寺の駅では10分程待ったが、定刻に電車は発車する。新宿で山手線に乗り換える。さすがに新宿駅は5時15分というのに人が多い。山手線の車内も座れない。品川で京急に乗り換える。京急でも羽田空港までの20分間座れなかった。平和島の辺りから東の空が明るくなり、どうやら夜明けらしい。しかし曇っているので、朝日は見えない。
JALのカウンターで航空券をもらい、地下の京急改札口の前にあるMrs. Elizabeth Muffinのカウンターで朝食のマフィンを食べる。この店ではマフィンを食べると、コーヒーや紅茶がサービスされる。
 間もなく搭乗のコールがあり、52D、E席に落ち着くと、JAL353便は10番ゲートから定刻の7時15分を2〜3分遅れて出発した。福岡空港の5番ゲートには定刻の9時に到着し、天候は晴で、気温は8℃とのことであった。
今回は近畿ツーリストのツアーで、総勢38名、添乗員は福岡空港から3日目の長崎のホテル到着までで、それ以降は自由である。
 空港に待っていた添乗員とバスガイドさんに連れられて、待っていた佐賀県の裕徳バスに乗る。このバスが今日から3日間の我々38名の足となる。
バスは福岡空港を出発すると、バイパスを通って太宰府ICに向かい、そこから九州自動車道、大分自動車道を通って湯布院ICで高速道路を降り、11時湯布院温泉のバス駐車場に到着する。車窓から紅葉やコスモス、柿の栽培園などの田園風景を眺めていると、早起きしたせいか、うとうとしていい気持ちである。湯布院に近付くと、バスの前方に独特の形をした標高1,584mの由布岳が二つの山頂をあらわしてきた。
 湯布院は湯布院温泉と由布岳の町で、古くからの街並や建物が保存されている。先ずは温泉が湧いているので湯の湖と呼ばれる金鱗湖畔を歩いて池の周りの紅葉が池に写る秋の風景を観賞する。次に田舎道を歩いて散策し、亀の井別荘の辺りの紅葉やお庭の風景を眺める。別荘の前にある湯の島屋と雑貨屋の鍵屋の中庭で取りたての大粒の銀杏を炭で焼いていたので、紅葉の下で焼き立ての銀杏を食べながらギネスビールを頂く。マダムは銀杏焼きのお兄さんに教えていただいた、あんこが中に入った名物のきな粉のおはぎをサービスの暖かいお茶で頂く。これが今日の昼食である。
 12時20分、湯布院を後にして、バスは深耶馬渓の一目八景に向かい、50分程で到着する。一目八景の展望台から眺める周りの景観は見事である。見渡すと烏帽子岩、仙人ヶ岩、海望嶺、郡猿山、夫婦岩、鳶ノ巣山(トビノス)、雄鹿長尾ノ嶺(オシナガオ)、嘯猿山(ショウエン)の8個の山嶺が夫々独特の紅葉で着飾っている。展望台からバスの待っている駐車場まで歩きながら、途中の土産物屋で蒸かしている名物のソバ饅頭を食べたが、ソバの味がして大変美味しかった。
 13時40分に駐車場を出発したバスは深耶馬渓を後にして、再び川沿の細い道を通って、軍艦岩、南無阿弥陀仏と彫られたげんこつ岩、昭和天皇の行幸記念碑などを左右に見ながら国道500号線に出て、本耶馬渓の青の洞門に向かう。耶馬渓は新潟県の清津峡、富山県の黒部峡谷と並んで日本三大峡谷と称されているが、確かにそれだけの美を見せてくれている。
 山国川のほとりにある青の洞門は、諸国行脚の途中、耶馬渓を訪れた禅海が30年かけて1764年に完成させたといわれる名所である。洞門の所々には仏の彫像があり、右下を流れる山国川の水は青く澄んでおり、小魚の姿が見られた。洞門を出て信号を渡った公園から、洞門のはるか上の崖に沿ってその昔、旅人が通ったという山道の跡が見られた。
 14時40分バスは国道500号線、大分自動車道を通って速見ICから別府に向かい、16時05分湯の花小屋に到着する。バスを降りると硫黄の匂いが襲い、藁ぶき屋根の小屋が林立している。この小屋では地中から湧いてくる温泉の蒸気から湯の花を造っている。湯の花の成分は明礬と呼ばれる硫酸カリウム・アルミニウムである。名物の温泉蒸し卵と芋蒸し饅頭を賞味する。
 車窓から別府湾を眺め、地獄を遠望しながら、別府・阿蘇道路(やまなみハイウェイ)を下って別府の市街地に入り、国道10号線を南下して左手に別府タワーが見えて来ると、間もなく北浜公園のヨットハバーに面した今日の宿、サン・シーサイドホテルである(17:00)。
夕食の前に、歩いて10分程の所にあるJR別府駅まで散歩する。駅前のアーケード街などの繁華街は夕方の忙しい時にもかかわらず、人陰はまばらで、閉店しているところもある。温泉だけでは観光客は魅力がないのだろうか。
 屋上の風呂で汗を流し、夕食は19時から部屋で食べる。名物の城下カレイを特別に注文し、11品の料理を地元日田の名酒、老松で頂く。

11月7日(木)晴 立冬 9,300歩
 5時半に起きて朝風呂に入る。朝食までの間、海岸沿いの立派な散歩道は空気も良く、ゆっくりと散歩しながら日の出を待っていたが、雲が多くて見られなかった。地元の人の話では、天候がいいと別府湾の右手、大分港の辺りから朝日が昇るそうである。和食の朝食をすると、8時にバスは出発する。鶴見岳(1,375m)のロープウェイを見ながら、やまなみハイウェイで阿蘇に向かう。車窓から周りの山々の紅葉や高原のすすきの波打つ姿を眺めながら、標高1,300mの牧の戸峠で休憩する。この辺りは豊後牛や肥後牛が放牧され、ハイウェイを乳牛がゆっくり歩いていることからミルクロードとも呼ばれている牧草地帯である。
 阿蘇の外輪山の雄大な景観に見とれていると、バスの正面に独特の姿をした根子岳が見えてきた。それから次々と中岳、高岳、烏帽子岳、杵島岳の阿蘇五岳が姿を現わしてくれた。中岳は今でも白い噴煙を上げている。独特の形をした米塚を見ながら、さらに舗装道路を登って行くと烏帽子岳の中腹にある草千里に到着する(10:40)。草原と噴煙と紅葉のコントラストがなんとも言えない美をかもし出している。
 11時10分、草千里を後にしてバスは阿蘇の南側を、高森峠から蘇陽町へと国道325号線を高千穂峡に向かう。峠辺りから左手に見える裏根子岳の眺めはすばらしい。
高千穂峡には12時20分に到着する。バスを降りて橋の上から眺める紅葉は丁度見頃で、すばらしい。散策路は見物客で混雑し、景色に見とれていることも出来ない程である。真名井ノ滝は断崖絶壁を三筋になって流れ落ち、あららぎの瀬と共に奇勝である。高千穂峡は阿蘇の溶岩が浸蝕されてできた峡谷で、100mにも及ぶ断崖絶壁が7kmも続き、下の渓流は美しい景観に彩られている。予約してあった食事処、千穂の家で神楽御膳を頂く。夜神楽煮〆、古代黒米うどん、油味噌、とうきび飯など珍しい食べ物が竹の皮の弁当箱に入っていた。
 高千穂峡を14時に出発したバスは、国道218号線を延岡市に向かい、そこから大平洋を左に見ながら国道10号線を南下する。途中金ヶ浜のシーサイド大平洋で10分のトイレ休憩をしたでけで、ひたすら南下して、夕暮れ時の宮崎市を通り過ぎ、青島に17時35分に到着する。日はすっかり沈んで暗く、鬼の洗濯岩も見えない。
 予定していた堀切峠は中止し、宮崎自動車道で霧島に向かう。車窓の外はもう真っ暗で何も見えない。途中山之口SAで18時40分から10分のトイレ休憩をしただけで、闇の中の霧島観光ホテルに20時に到着する。今日は殆どの道が一般道だったため、道路混雑にあい、走行距離は450kmだったが、走行時間は10時間位だったらしい。運転手さんも慣れない夜道で、神経が疲れたことでしょう。
 ホテルでは携帯で連絡していた妹が、人吉市から会いに来て、6時頃から待っていたらしい。北5階の526号室に荷物を置くと、何はともあれ3人で南4階の居酒屋、山里に食事に出かける。この時間、外に出ても寒く、ホテルのレストランは予約制なので、今夜の夕食は図らずも居酒屋となる。居酒屋定番のおでんと焼鳥、薩摩ラーメン、うどん、おにぎりなどを注文し、生ビール、薩摩焼酎で頂き、21時30分には部屋に引き上げる。
立派な展望大浴場にゆっくり浸かり、疲れをとる。

11月8日(金)晴 長崎−雨 9,100歩
 昨年(H.13)の今日、皇太子がこのホテルに宿泊されたそうである。そのとき入られたかどうか聞いてないが、展望大浴場の朝風呂を楽しむ。6時45分からバイキングスタイルの朝食をして、7時45分バスで出発する。先ずは霧島の紅葉を眺めながら、鹿児島空港の向いにある西郷公園に向かう。ここは以前入場料が300円であったが、今は無料になっていた。8時15分から40分まで、西郷さんの大きな銅像を眺めて、土産物の宣伝を聞く。しばし眺めていると、ここの西郷さんは厳しい顔をしているように見えた。
 バスは溝辺鹿児島空港ICから九州自動車道に入り、加久藤トンネルで熊本県になる。人吉市に入ると、有名な川上球場が左に見え、球磨川を越えてトンネルの多い山道を走る。八代市の手前で再び球磨川を越え、八代市になると製紙会社の煙突とイグサ畑が目に付く。宮原SAでトイレ休憩をすると、ひたすら熊本平野を北上し、益城熊本空港ICで九州自動車道を降り、熊本市内に向かい、水前寺公園の駐車場に10時40分到着した。
 肥後藩主細川公の采配によるこの庭園は、清澄な水と東海道を模した築庭に造ったミニ富士が有名である。水のきれいなことで知られているこの庭園の池には、国の天然記念物に指定されているスイゼンジゴケが生息している。藩主を祀ってある出水神社の長寿の水を飲んで、長寿を願い、庭園の茶屋で薩摩芋とアンコを蒸した、テレビで有名になったいきなりだんごを頂く。
45分の散策はあっというまに過ぎ、バスは再び益城熊本空港ICから九州自動車道に戻り、北上して南関ICから柳川に向かい、12時40分柳川パーキングセンターに到着する。
 今日の昼食会場である四代藩主である十三代立花鑑虎の別邸、御花に向かう。水の都、柳川に名花咲く、と言われる御花は七千坪の広大な敷地の四方に塀をめぐらし、回りにお堀を構えている。二階の対月館で錦糸卵で飾ったこってり味の柳川名物、うなぎのせいろ蒸しを食べ、仙台松島の景観を模したと言われる松濤園を見物する。御花の外の堀の周りを散策して、珍しいイチジク饅頭や煎餅を味見する。
 御花の堀の道路を渡った辺りから川下りのどんこ舟に乗船する。船頭さんはたっちゃんと言い、周りの風景を築後弁でおもしろおかしく聞かせてくれる。約1時間の間、風情ある風景や白壁の酒蔵や並倉などを眺めながら、頭を下げて低い橋をくぐる。水上売店で温かい珈琲を買い求めて暖まる。このコースは川下りではなく、川登りで逆コースのため、行き交う舟も多い。テニスなどのスポーツの盛んことで有名な柳川高校の運動場や北原白秋の歌碑などを眺め、旧柳川城の水門を右に見て柳川古文書館を過ぎると間もなく下舟場である。
 柳川から国道208号線で佐賀県の嬉野温泉に向かい、有田焼を始め佐賀県の焼き物が展示されている窯元会館を訪れる。ここで、珍しい色合いのぐい飲みを買い求める。
バスは嬉野ICから長崎自動車道に入り、長崎市を目指す。途中で日が暮れ、長崎市内に入ると雨が降り出し、夕方の交通渋滞になる。17時40分、長崎平和公園の駐車場に到着する。
平和公園はライトアップされて、昼間とは違った雰囲気であり、幸い小雨も上がって、市内や稲佐山の夜景もきれいだ。平和公園から細い道を国道206号線に出て、JR長崎駅前を通り、風頭山(かざがしら)の山頂に建つ、今日の宿矢太楼に19時到着する。
 本館1階の110号室は、4階のフロントから迷路のような廊下と階段で行く。部屋からは長崎の街や稲佐山などのネオンが眼下に広がる。先ずは誰も入っていない露天風呂に浸かる。高台にあるこの露天風呂は風通しが良く、寒くてなかなか風呂から出られない。
 夕食は南館9階のレストラン・タロウで夜景を見ながら、ビールとお酒で名物の皿うどんと鮃の刺身を頂く。今日は鹿児島を出発して、宮崎、熊本、福岡、佐賀、長崎と6県を訪れたことになる。

11月9日(土)晴 22,200歩
 6時から本館の玄関を一旦出て、南館への通路を通って南館4階の大浴場に行く。誰もいないので、のんびりと大浴場を一人占めにする。朝食はフロント横の食堂で、和食を食べる。食後、ホテルの周りを散歩する。風が強く、寒い。
 今日は長崎市内を気侭に歩くこととし、9時半にホテルをチェックアウトする。風頭山頂9時50分発の長崎バスで長崎駅前のバスターミナルに行き、そこのロッカーに荷物を預け、市内観光に出かける。
 JR長崎駅前から海岸通りを歩いて、長崎港に向かい、運良く出航間際の長崎港遊覧船、ゼリーフィッシュ号に乗船する。ゼリーフィッシュ号は60分で右回りに長崎港を遊覧する。二階の風通しのいい席でコーヒーを飲んでいると、乗務員がストーブを持ってきてくれ、所々で周りの景色を説明してくれた。10時45分に桟橋を出向した黄色い船体のゼリーフィッシュ号は対岸の稲佐山、船火事のあった造船所の前をゆっくり進み、建設中の女神大橋の下をくぐる。その先に白い色の神ノ島教会や岬の突端に立つマリヤ観音を右手に見ながら、長刀鼻から三菱重工100万トンドックに向かう。ここに先日建造中に火災があったダイアモンド・プリンセス号の姿があった。船体の上部はまだすすで黒くなったままで、火災の凄さを物語っていた。ここで船は旋回して柳埠頭の前を通り、女神大橋の橋桁の奥に日本初の本格的なドックといわれる、そろばんドックが見えてくる。山の中腹にグラバー園が見えて来ると、間もなく桟橋である。
 桟橋を後にして、近代的な建物になった出島商館前の、出島ワ−フでは釣ったばかりの魚を焼く屋台や朝市が店を開いていた。市民病院の前で電車道を横切り、オランダ坂に向かう。古い石畳の坂道が今でも残っており、周りに建つ商館と共にかつての居留地の名残りを留めている。オランダ坂を下り、孔子廟を訪れる。
 海外で唯一中国人自らの手で建てたこの孔子廟は、華南と華北の建築様式が合体した建物で、併設されている中国歴史博物館では、故宮博物館の宝物が展示されており、なかなか見ごたえがあった。
 新地中華街に歩いて行く途中で、カステラ職人の店清風堂で弟子の造ったカステラやカステラの端っこだけを集めた珍しいカステラを見つけた。老舗の福砂屋は、店構えは歴史を感じさせて立派だが、店員の態度は何となく横柄に見えたのは私の僻目だろうか。
 新地中華街の中程にある中華料理店、西湖でチャンポンと皿うどん、それに豚の耳の薫製をビールで頂く。大変美味しい味で、店の中は地元の人が家族連れで食事をしており、地元の人々に人気のある店なのだろう。
 らんらんバス(100円)に乗って浜の町で下車し、円山公園をぶらついて思案橋の商店街を歩き、観光アーケードを通って再び新地中華街の雑貨屋さんを見物する。
JR長崎駅の駅ビルを見物して、バスセンターのあるターミナルビルの2階で長崎県の特産物を勉強し、栗月餅、びわゼリーなどの珍しいお菓子を買って喫茶店で試食する。
バスセンター発17時15分の空港行きのバスで、暗くなった長崎空港に18時05分に到着する。カウンターで航空券を受け取ると、レストラン牡丹で最後の皿うどんに挑戦する。
 JL188便は定刻よりわずかに遅れて、19時50分に出発し、21時30分羽田空港に到着した。京急で品川に、それから山手線、中央線を乗り継いで、最終バスに間に合い、23時20分に帰宅する。


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