東北四大祭見物記
2002.8.3〜8.6
真夏を彩る東北地方の四大祭、
秋田の竿燈、青森のねぶた、
山形の花笠まつり、仙台の七夕
を四日連続で見物しました。
燈と笠でみちのく燃ゆる人も星も
8月3日(土)8,700歩
朝6時45分に東村山駅前を出発した西武観光バスは39人の乗客を乗せて秋田市に向かう。このバスは立川駅北口を6時に出発して、東大和市駅、東村山駅、所沢駅、東所沢駅で乗客を乗せ、所沢ICから関越道に入り、外環自動車道から川口で東北道に入る。今日は790kmほど走る為、運転手は二人である。
東北道は曇で遠景は見渡せず、北に行くと時々場所によっては雨である。羽生SA(31℃)で9:10から15分、那須SA(29℃)で10:45から15分休憩し、北上するにつれて段々気温が下がって来るのがわかる。
国見SA(27℃)で12:20から昼食をする。ここは福島県であるが、名物は牛タンである。今日は先を急ぐ為、夫々ソバまぶし定食ときのこソバを急いで食べる。
国見SAを13:10に出発すると、バスは北上JCTから秋田道に入り、ひたすら秋田市を目指して走る。途中、前沢SAで14:50から15分、西仙北SAで16:20から10分間休憩すると、間もなく秋田市の市街が見えて来た。
秋田市の千秋公園の前、広小路通りぞいの秋田キャッスルホテルで17:15からエゴ、ジュンサイ、稲庭うどんなど、地元のご馳走で早めの夕食をして、竿燈見物に出かける。
竿燈は五穀豊穣を祈って行われる秋田の七夕行事で、今年は8月3日(土)から6日(火)まで4日間行われる。高さ10mもある竹竿に46個の提灯を鈴なりに釣り下げた重さ50kgもある竿燈を自在に操つりながらお囃子に合わせて練り歩き、妙技を披露してくれる。竿燈は稲穂をかたちどり、提灯は米俵を意味している。19時頃から竿燈が山王大通りに続々と集まって来ると、何処からともなく笛や太鼓の音が聞こえて来る。この時期、山王大通りは竿燈大通りと呼ばれ、竿燈祭の主会場となる。竿燈大通りの中央分離帯は観覧席となり、山王十字路から二町目橋までの約1.5kmの歩道は見物客で溢れ、歩くのもままならない。
7時半になると花火の合図で一斉に竿燈が立てられ、笛、太鼓のお囃子と共にどっこいしょ、どっこいしょのかけ声に合わせて、手、肩、腰、額などに竿燈を乗せてバランスをとりながら、練り歩く。子供は子供用の小ぶりの竿燈を上手に立てて練り歩いて行く。今年は4日間で228個の竿燈が祭に参加するそうである。夜空に無数の提灯の明かりが舞い、揺れる様子はなんとも言えない幻想の世界である。
今日の宿は北上市のワシントンH.である。8時10分に秋田市のキャッスルH.を出発すると、秋田道を北上市に向かい、10:10分ホテルに到着する。部屋に用意されていた夜食を食べて、風呂に入って寝る頃は今日から明日へ日付けがかわる時刻であった。
8月4日(日)12,342歩
6時20分に起きて、北上駅まで散歩する。今日の当地の最低気温は18℃、道路がぬれていて夜半に雨が降ったらしい。北上駅は東北新幹線が出来て建て替えられ、モダンな駅舎である。駅前の広場や郵便ポスト上には民族芸能「鬼剣舞」発祥地にふさわしい鬼の面が飾られている。
7時過ぎからバイキングの朝食をし、9時には出発する。東北道を北上して、岩手山SAで9:55から20分程休憩する(気温20℃)。SAから岩手山や八幡平の山々が見えていたが、間もなく雲におおわれて見えなくなった。
岩手山SAを出ると更に東北道を北上し、十和田ICから国道103号線で十和田湖に向かう。途中、東北リンゴ流通センター、平塚果樹園で休憩し、十和田湖を見渡せる発荷峠展望台に12:05到着、しばらく景色を楽しんで、湖岸の林をぬけて、休屋の食事処 川むらに12:35到着する。
きりたんぽ鍋などの食事が済むと、杉の巨木の間を通って高村光太郎の最後の作品、乙女の像を見物し、十和田神社に参拝する。
1時30分休屋を出発したバスは、十和田湖の東湖岸を通って、奥入瀬渓流の入り口、子の口に向かい、ここから奥入瀬渓流沿いに焼山までの約14kmの瑞々しいブナ、カエデ、トチ、ナラなどの林の中を通り抜けて行く。途中の銚子大滝と石ヶ戸の瀬でバスを下車して見物する。
銚子大滝は魚が遡れないことから「魚止めの滝」とも呼ばれ、奥入瀬の中でも一番のスケールを誇り、水飛沫も豪快で、水量も豊富である。石ヶ戸とはカツラの大木と巨大な自然石で出来た岩屋のことで、その昔、美人盗賊「鬼神の松」が潜んでいたと言われている。この辺りは川幅が広く、流れも穏やかである。
今回の旅は祭と食事とバス旅と思っていたので、このような自然が造りだす美しい風景に出会うとほっとした気持ちになり、涼風や自然の音と共にしばし魅了された。
奥入瀬渓流を過ぎるとバスは再び国道103号線を通って青森に向かい、ねぶたの里に4:15に到着した。
囃子が鳴り響き、ライトアップされたねぶたを見物して、ねぶた祭の雰囲気に浸りながら、ねぶた会館で早めの夕食を頂く。
ねぶた会館からバスで15分程行くと、5:45にはねぶた会場の近くに到着した。ねぶた会場の周りの道路は観光バスで溢れ、はね人が腰に付けた鈴をならしながら三々五々と会場へ向かって行く。ねぶたが始まるまでの間、会場を歩いて祭気分を味わい、喫茶店でビールを飲みながら始まりを待つ。
毎年、ねぶたは8月1日に前夜祭が行われ、2〜6日は夜、最終日の7日は13時から行われる。東西に走る駅前大通り、国道4号線と南北に走る八甲通りと平和公園通り約3.1kmの道路上でねぶたが迫力を競う。
6時50分、花火の合図で1基当り1,000人以上のはね人と呼ばれる踊り手やお囃子を従えたねぶたが担ぎ手に担がれて、ラッセ−、ラッセ−、ラッセ−ラのかけ声と共に一斉に動きだし、はね人が文字どおり飛び跳ねる。今日は17基のねぶたで、時計周りに約1時間半かけて一周する。目の前で見るねぶたはどれも大きくて、勇ましく、強そうである。ねぶたが目前に迫って来たり、回転しながら迫って来る迫力はすばらしい。ねぶたの始まりの由来であるねぶたさを覚ますには十分な迫力である。
8:45バスはねぶた会場を後にして、青森ICから東北道に入り、津軽SAで9:35から15分トイレ休憩をすると、盛岡駅前のホテル東日本に23:30到着した。
今日も用意された夜食で四食目の食事をする。
8月5日(月)10,350歩
夜半に雨が降ったらしい。歩道がぬれている。朝食をして駅前の開運橋まで散歩する。気温は低く、半袖では寒いぐらいである。新聞によると盛岡市の昨日の最高気温は25.7℃、最低気温は20.1℃だったそうで、東京に住んでる者にとってはうらやましい。
8:55バスはホテルを出発すると、盛岡の街を抜けて、盛岡ICから東北道に入り、長者原SAで10:45から20分休憩すると、仙台泉の東北道340kmの中間点を11:35に通過し、村田JCTから山形道に入り、山形市に向かう。山形北ICで山形道を降り、12:40山寺のふもとやに到着する。ここで昼食をし、立石寺本坊に参拝して奥の院まで登山する。
通称山寺と呼ばれる立石寺は山形市の東北12km程のところに35万坪を有し、正式には宝珠山阿所川院立石寺である。貞観2年(860年)に第56代清和天皇の勅願により、慈覚大師円仁が開山したと伝えられている。立石寺は天台の教学道場として開かれ、奇岩怪石の霊窟として広く知られている。
根本中堂にお参りして、千百余年の間いちども消えたことのない「不滅の灯り」を見物し、鎌倉時代に建てられた登山口山門から千を越す階段(1,015段)を登って、奥の院へ向かう。両側の岩肌から幽境の聖域といった感じが漂って来る。冷たい清水が湧いている姥堂を過ぎると、ここから上が極楽浄土で、清水で心身を浄める。御休石を過ぎると、せみ塚があり、右手に有名な芭蕉の句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」が刻まれた翁の供養碑が見られた。
仁王門を通って、奥の院の見える辺りから左に行くと、この地を開山した慈覚大師円仁の御廟で、大師のお像を祭る開山堂があり、その先にこの山で最も眺めの良い五大堂がある。五大堂は五大尊をおまつりしている舞台式の建物で、ここからの景色は雄大で、すばらしい。
お山の一番高いところに奥の院と呼ばれる如法堂があり、先祖の供養を行うところである。
帰りは蝉塚のすぐ下にある茶屋で名物の玉こんにゃくを食べ、のどを潤してしばし休憩する。下山口まで下ると、立石寺本坊に立ち寄り、参拝する。
ふもとやを14:40に出発したバスは天童市内の竹内王将堂に立ち寄って名物の将棋のコマ造りを見学し、16:00に上山市の山形県観光物産会館に到着する。ここで早い夕食とお土産の品定めをする。
物産会館を17:20に出発したバスは山形市の花笠まつりの会場に向かい、パレードのゴール地点である山形県郷土館「文翔館」の裏手に到着する。初代山形県庁として明治初期から山形県政の中心的存在であった「文翔館」を見学して、まつりの見物に出かける。
今年で40回を数える山形市の「山形花笠まつり」は今日8月5日が初日で、7日まで3夜行われる。パレードへの参加団体は約90団体、踊り手は3日間で約1万人、観客数は約92万人を予定している。
18時に出発地点である山形銀行十日町支店前の交差点を出発したパレードの先遣隊、陸上自衛隊第六音楽隊、山形県警察音楽隊が十日町、本町、七日町を経てゴール地点の文翔館前に18時30分にに到着する。踊りの先頭集団は花笠踊りの指導員の方々で、踊りと山車、太鼓が出発し、ゴールまでの45分間、華麗な花笠踊りを披露してくれた。続いて華やかに彩られた山車を先頭に花笠舞踊団、町内会や職場のグループ、花笠保存会、中学校の生徒とPTA,ちびっこなどの集団が花笠をあしらった笠を手に威勢のいいヤッショー、マカショーのかけ声と花笠太鼓の勇壮な音色と共に華麗な踊りを披露してくれた。なかには東京や静岡等のグループや地元のバレーボールチームなども参加しており、踊りに彩りを添えていた。
七日町のコーヒーラウンジ、juichiyaでビールとサンドウィッチでのどを潤しながら休憩する。
次々と踊りのグループが到着するゴール地点は見物人やパレードの関係者でたいへんな混雑で、人の波をかき分けてやっと文翔館に到着する。
文翔館裏を20:25に出発したバスは山形道を笹谷ICで降り、国道286号線、457号線を経て遠刈田温泉の宮城蔵王ロイヤルホテルに21:20に到着した。
前の二日より早い到着となり、しかも久しぶりの温泉に浸かり、露天風呂でのんびりする。
8月6日(火)10,875歩
6時前に起きて、朝風呂は露天の岩風呂にのんびり浸かる。7時からの朝食はバイキングで、温泉卵や玉こんにゃくなど、地元の珍しいものを頂く。
ホテルの近くを散歩していると、大鳥居の向こうに美しい蔵王の山並が見えた。部屋に帰ってテレビをつけると、今日は広島の原爆記念日で、記念式典の映像が現われ、あらためて原爆を思い出す。
ホテルを9時に出発したバスは村田ICから東北道に入り、仙台宮城ICで降りると、広瀬川を渡って仙台市内に入り、広瀬通りを左折して、三越デパートの裏入り口の観光バス乗降場に10:05に到着した。
400年の歴史を持つ仙台の七夕まつりは8月5日の前夜祭、七夕花火祭りから始まり、6日から3日間行われる。七夕飾りは最も賑やかなアーケード街、一番町買物公園、ぶらんどーむ一番町、サンモール一番町とマーブルロード、クリスロード、ハピナ名掛丁がメイン会場である。この商店街では道の両側から総数3,000本にもおよぶ七夕の笹飾りが飾られて歩道をおおっている。笹飾りには、織姫の織り糸を象徴した吹流し、学問や書、手習いの上達を願う短冊、延命長寿を願う千羽鶴、豊漁を祈願した投網、清潔と倹約の心を表した屑篭、病や災いの身代りに捧げたという紙衣、富貴を願いながら節約と貯蓄の心を表した巾着の七つの飾り道具が思い思いに飾られている。その下を一日約75万人、3日間で200万人以上の見物客が歩いているので、大変な混雑である。10時過ぎから11時45分まで人の波をかき分けながらメイン会場を往復して見物して歩いた。途中で前の勤務先で一緒に仕事をしていた幼子を抱いた女性に呼び止められ、この混雑の中で偶然の再会を七夕様に感謝して記念の写真におさめた。
昼食は定禅寺通りの喜助で仙台名物の牛タンを生ビールと共に頂き、仙台三越の地下で涼みながら名物の品定めをする。
帰りのバスは仙台市を2時に出発すると、仙台宮城ICから東北道に入り、安達太良SAで 14:30から15分、羽生SAで16:45から20分休憩すると、外環自動車道から関越道を経て19時に所沢駅東口に到着した。
今回の旅は、西武観光主催のツアーで、バスも西武バスであり、目的がはっきりしていたせいもあって、余計なところでの寄り道もなく、午前と午後には暖かいお茶のサービスもあり、なかなか行き届いたツアーであった。
西武バスの運転手とガイドさんは夜中まで暗い田舎の夜道を運転して下さり、途中のガイドも正確ではっきりと聞かせて頂いた。ツアーコンダクターは四大祭の大ベテランで、見物のコツを教えて頂いた。このような旅に欠かせない立派な専門家に会えたのが今回の旅を一層充実してくれた。