薩摩の国のつまみ食い見聞記
                            
2002.3.4〜14
マダムとポチが陽春の南国、鹿児島を
つまみ食いしながら、見て、聞いて、
 触れて、感じて、食べて、飲んで楽
しみました。

3月4日(月)東京:晴、鹿児島:曇 6,000歩 体重46.0kg
 ANAの超割、チケットレスサービスを初めて利用した。11時45分羽田発ANA623便のスーパーシートで鹿児島空港に向けて発つ。家を出たのが9時、JR中央線、山手線を乗り継いで、品川から京急で羽田空港到着は11時。全日空の自動発券機で予約しておいた航空券を買い求める。
 ANA623便は定刻に羽田空港を離陸し、機内サービスのビールと弁当を食べると退屈する暇もなく定刻より5分早く、13時30分に鹿児島空港に到着した。東京は晴れていたが、鹿児島は曇で肌寒い。迎えに来ていた妹の車で鹿児島市内に向かう。高速道路は殆ど車も通っておらず、錦江湾の向こうに春霞でぼんやり見える桜島を眺めながら、2時半には今回の旅のお宿である市内桜ヶ丘の妹の家に到着する。
 夕食はきびなご、つけあげ、ついでこん、豚シャブ。

3月5日(火)雨→曇 肌寒い 14,400歩
 10時過ぎ、雨の中を鹿児島大学病院の前を通り、道に迷いながらJR枕崎線の宇宿駅まで、1時間ほど歩く。宇宿駅からJRで3駅目、約10分ほどで西鹿児島駅に到着する。駅前の観光案内所で観光用のパンフレットや地図をもらい、カラフルな市電から市内観光をしながら<いづろどおり>で下りる。相変わらず雨が降ったり、止んだりしているので、山形屋デパート、産業会館から天文館通りへとアーケードのある通りを探索して歩く。
 昼食は鹿児島名物で欠かすことの出来ない鹿児島ラーメンを<こむらさき>で味わう。細めんで、さっぱり味の豚骨スープを残らず頂く。天文館のドト−ルコーヒーでお茶しながら妹と待ち合わせ、山形屋の地下で夕食の買い物をする。
 夕食はつけあげ、トビウオの刺身、かんぱちの焼き物。

3月6日(水)晴 風強し 2,600歩 体重49.5kg
 10時に出発し、1時間ほどで薩摩焼の里 美山を訪れる。東市来町の美山地区では、朝鮮から慶長3年に来日した陶工達が400年にわたって薩摩焼を守り続けてきた。現在でも十五代沈壽官の陶苑をはじめ十数窯が「用と美」を追求して伝統の技術を継承している。数ある窯の中で沈壽官の陶苑と荒木陶窯を見せてもらい、記念に沈壽官の銘入りの<ぐいのみ>を買い求める。
 昼食は日本三大砂丘の一つで、東シナ海に面した吹上浜公園の北に位置する、国民保養センター 江口浜荘でカサゴの刺身など新鮮な魚料理を頂く。
国道270号線を南に下ると、約1時間ほどで今年鯨が迷い込んだ大浦町に到着する。ここではもうワラビが採れており、一束100円で地元のおばさんが売っていた。
大浦町の南は九州の西南端の町、笠沙である。この町は東シナ海に突き出た半島の為、風が強く、野間半島の高台には風力発電用の高さ30m、プロペラの直径29mの風車が十数基あり、折からの強風でプロペラが良くまわっていた。
半島の付け根のあたりに、海をテーマとする博物館や宿泊施設、展望風呂、市場、食事処などを設けた<笠沙恵比寿>があり、ここが今日の宿となる。今日は風が強く、外に出ても吹き飛ばされそうで、博物館を見学した後、夕食の前後に展望風呂に浸かり、のんびりする。夕食は海の幸を紅白のワインで頂く。

3月7日(木)晴 風強し 6,900歩 体重49.0kg
 窓の外で風の鳴る音と窓を打つ風の音で目がさめる。朝風呂に入ってのんびりする。朝食はざるに並べられた海の幸6品で、セルフサービスのコーヒー付きである。
9時に笠沙恵比寿を出発すると、リアス式海岸や東シナ海の美しい海の色を眺めながら国道226号線を南下する。坊津町を通り、坊トンネルを過ぎると枕崎である。ここでは港の近くのお魚センターに立ち寄る。さすが、枕崎だけあってかつお節を売っている店が多い。店の一角でかつお節を削っており、その匂いに誘われて、削りたてのかつお節と揚げたてのつけ揚げを買う。枕崎空港の先で国道226号線から分かれて北上し、知覧に向かう。
 知覧は特攻基地として有名であるが、薩摩の小京都と呼ばれ、今でも武家屋敷を保存している一角がある。250年程前に建てられたこの一帯は国の重要伝統的建造物保存地区に選定されていて、7軒の屋敷の庭園が見学できる。そのうち6軒が枯山水式庭園、1軒が築山池泉式庭園である。また知覧独特の『二ツ家』と言われる民家もあり、そこで珍しい<知覧提灯>を見つける。知覧提灯は日傘、雨傘、提灯、防具、ロウソク立ての5通りに使えることから五徳提灯と呼ばれている。
 知覧から薩摩富士と呼ばれる開聞岳を正面に見ながら南下して、開聞岳の麓から山川町のヘルシーランドで昼食をし、町営の山川天然砂むし温泉で開聞岳と美しい海を見ながら、首だけ出してしばし地熱で暖まった砂に埋まる。体がぽかぽかとあったまってきたところで、借りた浴衣を脱いで、シャワーで砂を洗い流し、温泉に浸かる。指宿の温泉街を横目に見て鹿児島市内に戻ってきた。

3月8日(金)晴 10,500歩 体重51.0kg
 今日は市営バスの一日バス券(600円)で市内観光をする。
 西鹿児島駅前発11時のシティビューに乗り、先ずは城山から鹿児島市街、錦江湾と相変わらずぼんやりと霞んで、噴煙が幽かに見える桜島を展望する。その後、城山観光ホテルでしばし桜島を眺めながらコーヒーを頂く。
 シティビューから市街の景色を眺めながら、磯庭園として良く知られている仙厳園に向かう。仙厳園は島津久光公が別邸として建造したもので、その規模の大きさに圧倒され、代々の藩主が手を加えた建造物や庭園は桜島と錦江湾の眺めと共に絶景である。ここでは薩摩のひな祭りが行われており、独特の暖かみを持つ土人形や島津家伝来の人形とひな道具を観賞する。歩いてすぐのところにある磯工芸館で美しい薩摩切子を観賞し、隣のレトロ調の洋館、<磯珈琲>で珈琲とケーキ、サンドで一休みする。
 シティビューで錦江湾や珍しい形をしたかごしま水族館を眺めながら天文館で下車する。天文館通り、市電通りと山形屋に囲まれた一角のアーケード街はショッピングやグルメの店が連なる繁華街である。大島紬の店を探して歩きながら、鹿児島名物のお土産を選んで歩く。
 今日の夕食は<さつま路>で鹿児島の郷土料理を焼酎で頂く。

3月9日(土)晴 6,200歩
 今日は桜島から佐多岬を目指す。佐多岬は以前から一度訪れたいと思っていたところである。
 桜島桟橋からフェリーで15分程で桜島港に到着する。船上から桜島の南岳が噴煙を上げているのが見えた。そこから国道244号線を南東に向かい、しばらく行くと古里温泉となり、ここに林芙美子の文学碑と銅像が建っている。さらに国道を進むと、左手に有村展望所があり、大正3年の爆発により流れ出た溶岩の跡が今でも生々しく残っていた。
 車は桜島を後にして、垂水を通り、佐多街道を南下して、鹿屋市、大根占、根占を通り、佐多町に入ると道に迷いながら佐多岬の駐車場に到着した。桜島から2時間半のドライブであった。駐車場で料金を払い、トンネルを抜け、ジャングルの中の遊歩道を進むと御崎神社にたどり着く。神社にお参りして、ソテツや亜熱帯の樹木の中の道を15分程歩くと、展望台に到着する。
 佐多岬は北緯31度線のわずかに南に位置し、本土最南端と記された碑があり、その上の展望所から美しい円錐形をした開聞岳が遠望された。天気の良い日には屋久島や種子島など奄美7島が見えるとのことであるが、残念ながら春霞の中では見ることが出来なかった。目の前の小島に建つ佐多岬灯台は明治4年に初点灯した日本最古の灯台だそうである。展望所でビール、ジュースで焼きイカを食べながら展望を楽しみ、記念の証明書に今日の日付けのスタンプを押す。
 佐多街道ぞいの鹿屋市内のファミリーレストラン、<ジョイフル>で遅めの昼食をし、垂水港からフェリーで鴨池港に渡る。丁度夕日の沈む頃で、フェリーのデッキから薩摩半島に沈む夕日を思いっきりカメラに納めることが出来た。
 今夜は福岡の勤め先からわざわざ帰ってくれた義弟と久し振りに美味しい焼酎を飲みながら、薩摩料理とおしゃべりを堪能した。

3月10日(日)晴 5,000歩
 義弟夫婦と4人で谷山にある<大島紬の里>訪れる。実演コーナーもあったが、展示品を眺めたり、触ったりしながら伝統の技を観賞する。そこから国道225号線を南下して、池田湖に向かう。
 イッシ−で有名な池田湖は九州最大のカルデラ湖で、水深223m,周囲15kmの美しい湖である。湖畔から開聞岳を眺める景観はすばらしい。湖畔の池田湖パラダイスでは市の天然記念物の体長2m,胴周り60cm程の大ウナギを暗い水槽で飼育している。暗い水槽の中でじっとしているので、しばらく目をこらしていないとウナギの姿を見つけることが出来ない。
 池田湖とJR開聞駅の中間程のところに町営の<唐仙峡そうめん流し>がある。一日に10万トンも湧出す冷たい湧水と崖を利用したこの唐仙峡は夏でも涼しく、いつも家族連れでにぎわっている。この時季にそーめん流しを食べるとは初めての体験である。しかし、町長さん考案の回転式そーめん流しは、タレの味もよく大変美味しかった。 
 帰りは指宿スカイラインを通って、千貫平公園に立ち寄り、喜入町に出て、錦江湾の石油コンビナートや<道の駅喜入>の珍しい形をした建物を見ながら鹿児島市内に帰る。

3月11日(月)晴 2,100歩
 今日は北薩に薩摩切子と巨木を訪ねる。市内から国道3号線でしばらく北上し、吉田町から328号線で薩摩町永野に7年前に出来た薩摩びーどろ工芸(株)で薩摩切子の工場を見学する。薩摩切子はクリスタルガラスに色を被せ、美しい紋様をカット(切子)したもので、たいへん美しく高貴である。
 薩摩町から大口市を通って菱刈町に出る。76才になる妹の義父の家に立ち寄って挨拶をし、薩摩地鶏の店でご馳走してもらう。
 大口市山野の国道286号線ぞいにある<利袴亭:りこてい>は岩風呂などの天然温泉やそーめん流し<奈加夢羅:なかむら>と同じ経営の店で、地鶏、ヤマメ、イノシシ、シカなどを刺身や炭火で焼きながら食べる店である。今日は地鶏とシカの刺身、生きたヤマメの塩焼き、地鶏と牛肉の炭火焼きを生ビールで頂く。
 満腹したところで巨木百選に選ばれた大口市の二本の巨木を見物に行く。大口市の北に位置する奥十曽渓谷からさらに6kmほど上流の岩屋谷にエドヒガンがやや斜に立っていた。樹齢600年、樹高28m、目通り幹周1078cmの日本一のサクラは周囲を睥睨して、今にも開花しそうな雰囲気である。
 大口市からえびの市にぬける国道447号線の上青木地区の道路ぞいには三州谷大ケヤキを見ることが出来た。樹齢1000年、樹高41m、幹周816cmの雄大な森の巨人は自然の偉大さと生命の尊さを語り継いでいるようである。
 447号線の山道を京町で下り、えびの市役所の前を通って、221号線に出ると、山道を登り、えびのループ橋から霧島連峰を見渡し、トンネルを抜けると人吉市である。人吉側のループ橋を通って人吉市に入り、球磨川のほとりのグランドホテル鮎里に6時に到着する。
 人吉は球磨川にそって50数カ所にわたって沸き出している泉源があり、アルカリ性の温泉が豊富に湧き出ている温泉町である。女将の案内ですぐ下に球磨川の見渡せる和室に落ち着くと、早速大浴場で古代檜の浴槽や泡風呂に浸かり、のんびりとする。夕食は7時から9時まで、球磨焼酎のお湯割りでゆっくり頂く。食後はロビーのひな飾りなどを見物し、寝る前にもう一度温泉で暖まる。

3月12日(火)晴 5,400歩
 朝風呂に入って、食事をすると、1階の喫茶室で球磨川を眺めながら珈琲を飲み、ホテルに荷物を預けてひな飾り見物に出かける。
 人吉では2月3日から3月24日までひなまつりが催されており、街の至る所でひな飾りが見られる。ホテルの前の九日町おひな通りでは、商店街の店々がそれぞれの家で代々飾っていた年代物から現代の創作雛まで、思い思いに店先に飾って楽しませてくれていた。雛人形を眺めながら散歩をし、買い物をして早朝の人吉を楽しんだ。なかには愛子様のために作った、10体しかない雛や100年前のひな人形なども飾られていた。
 人吉城趾や球磨川を眺めながら石野公園のクラフトパークに市民所蔵の雛人形を見物に行く。絢爛豪華にして歴史ある数多くのひな人形や現代の創作雛など数多くの人形に圧倒されそうである。中には辻村じゅさぶろーのウサギのひな人形もそっと置かれてあったが、説明してくれる人がいなかったら見過ごしてしまいそうであった。
 昨日通ったループ橋を通って、えびの市に戻り、えびの高原に向かう。えびの市から霧島バードラインを登って、標高1700mの韓国岳のすそ野、えびの高原に着くと、風が強く、冷たい。不動池や硫黄山の麓を散策して、高千穂河原に向かう。410円也の駐車料を払ってビジターセンターを訪れ、鳥居の先に天孫光臨の高千穂峰を想像しながらしばし休憩する。
 次に訪れた霧島神宮にはニニギノミコトが祀られており、朱塗りの神殿が美しい。社殿は国の重要文化財に指定されている。
 遅い昼食を、日の出温泉の<きのこの里>で、名物の手打ちそばを食べながら、しばし休憩し、鹿児島内市に帰ってきた。

3月13日(水)晴 11,200歩 50.0kg
 今日は市内の歴史と文化の道を散策する。市役所前から鶴丸条趾の塀に沿って県立図書館の前を通り、先ずは西郷隆盛の銅像に敬意を表し、メルヘン館と近代文学館を訪れる。メルヘン館では童話の世界の主人公たちや世界各地の人形などが夢の世界をかもし出していた。近代美術館では鹿児島ゆかりの作家たちの作品や業績を紹介していた。文学ホールでは手島圭三郎の精緻な版画の童話「北のいのち」が展示されており、北の動物たちが版画の中で生きているようであった。
 1階の喫茶室で珈琲を飲んでいたら、丁度1時になり、広場のからくり時計が時を告げ、メロディに合わせた人形たちのパーホーマンスが面白かった。
 鶴丸城の二の丸跡ににある市立美術館では、渋谷駅前の忠犬はち公の作者が鹿児島出身の安藤照父子であり、親子二代にわたって戦前と戦後のはち公を造ったことを初めて知る。
 護国神社の境内で、島津家の銅像や戦没者の慰霊塔を眺めながら別格官幣社、照国神社に参拝する。鳥居をくぐった所に斉鶴と呼ばれるイヌマキの木があり、鶴が羽を広げたような姿は雄大である。
 天文館の<珈琲族>で休憩して珈琲を飲み、山形屋、さつまいもの館、産業会館、三越デパートなどを見て歩き、掘り出し物を見つけて無駄遣いをする。
 今夜は鹿児島最後の夕食である。姪の推薦の<しゃぶ禅>で黒豚のしゃぶしゃぶを食べることにする。堀こたつ形式の座敷きで焼酎を頂きながらきびなごやつけ揚げなどをつまみ、豚シャブとカニシャブで仕上げる。

3月14日(木)雨 
 いよいよ帰京の日となった。
 天文館に出て、角にある有名な<くろいわラーメン>でラーメンを食べる。白く濁ったスープの味はさっぱりして甘く、こむらさきより麺が太いが味はあまり変わらないようである。ここでは全国に宅配をするようで、宅急便の用紙が置いてあった。
空港行きのリムジンバスの乗り場を確かめて、木をたっぷり使って内装をした喫茶店<のんきや>でゆっくりコーヒーを頂き、今回の旅の締めくくりとする。
いわさきホテルの前から空港行きのリムジンバスに乗り、約50分程で鹿児島空港に到着した。
 定刻18時40分発の全日空630便は定刻通りに離陸し、途中多少揺れたものの、機内サービスのビールと弁当で満足して、定刻の20時15分に羽田空港に着陸した。
 帰宅10時30分


BACK