極北カナダでオーロラを見る旅

2002.1.4〜8

カナダのイエローナイフに3泊して零下35℃の極寒の中で、オーロラを眺めていると、自然の偉大さを感じ、太陽の暖かさがなつかしくなった。

1月4日(金)東京:晴、バンクーバー:曇、イエローナイフ:曇
午後1時30分極北の地に向かう為、雪靴と防寒着を着込み、成田空港に向けて出発する。京王バス、中央線、山手線を経て上野へ、京成上野から14時45分発京成特急成田空港行きで第2空港ビルに15時58分に到着する。出発ロビーで待っていた千葉のおばさんと合流する。これよりおしゃべりツアーの始まりである。
ヤマト運輸のカウンタ−でスーツケースを受け取り、団体D−カウンターで航空券を受け取り、エア・カナダのカウンターに託送荷物を預けると17時15分の集合時間までの1時間弱の間、そじ坊でビールと枝豆、トロロそば、白玉ぜんざい等思い思いに食事をする。
5時15分、ツアー参加者30名が勢ぞろいし、今回のツアーコンダクター、福島さんからツア−の説明がある。厳しくなったセキュリティ・チェックを受け、出国手続きをして、免税店でナイトキャップ用のオールドパーを買い、A-63Gateに向かう。
エア・カナダAC004便はほぼ満席の乗客を乗せて、定刻の19時丁度に離陸すると、バンクーバーに向けて8時間30分のフライトに出発した。フライトは比較的穏やかで、赤ワインと牛肉の夕食を頂くと、朝食までぐっすり眠る。夕食の牛肉はボリュームも少なく、味もいまいちであったが、隣の我がマダムが食べているチキンは美味しそうで、その半分程も頂く。
現地時間の8時にポテトとオムレツの朝食が出て、しばらくすると定刻の10時15分にどんよりと曇ったバンクーバー空港のD-75Gate に到着した。
入国手続きのカウンターは長蛇の列で、1時間程かかる。どうやら日本からのツアー客が多く、入国審査官の簡単な質問の答えに時間がかかっていたらしい。我々のツアー仲間の時も、時々ツアコンの福島さんが呼ばれていた。なお、我々のツアー仲間の一人がランダムに行われているテロ対策のチェックに引っ掛かり、ツアコンの福島さんと二人は乗り継ぎ便に間に合わず、夜の10時過ぎにエドモントン経由でイエローナイフに到着した。
託送の荷物をFirst Airのカウンターに預けると、国内便ゲートのB-15に急ぐ。B Gateの入り口で入念なセキュリティーチェックがあり、ポケットの金目のものは万年筆でもチェックされ、荷物の中のカメラは全部シャッターを半押しにして確認するので時間がかかる。
First Air889便イエローナイフ行きオーロラ・エキスプレスは、我々のツアーの人数が揃うのを待って、定刻より40分程遅れて離陸した。バンクーバーとイエローナイフは1時間の時差があり、約2時間半のフライトである。バンクーバー空港を飛び立つと、すぐ眼下に白い銀世界が広がり、これがイエローナイフに着陸するまで続く。
定刻より40分遅れてイエローナイフ空港に着陸し、空港ロビーまでの凍った道を歩いていると、さすがに極北の地という寒さである。ここでもアクシデントがあり、ツアー客の一人の荷物が届いていなかった。空港のロビーには大きな白熊のはく製が飾られており、先住民の服装をした人が歩いている等、極北地を思わせた。
空港には現地のガイドの小林さんが待っていて、ツアコンの代わりをしてくれた。空港からバスでExplorer Hotelに向かい、15分程で到着する。
4階の416号室に落ち着くと、眼下には白銀の世界にポツ々とネオンがともり北緯62度27分の極北の地に居ることを感じさせた。
イエローナイフはカナダのノースウエスト準州の首都で、人口は約18千人、オーロラ帯の真下にあり、街の真下には今でも金鉱へと続くトンネルがあり、まさに金の上にできている街である。
防寒具4点、つなぎの防寒服、防寒靴、帽子、手袋を受け取って部屋に帰ると、Aurora観賞に出発する時間までしばし寛ぐ。
8時過ぎに部屋から見えた先住民の住宅、ティーピーを模したオーロラ・ビレッジを見物に行き、オーロラが見えたという人と広場で空を見上げると幽かにオーロラが見えたようである。
8時50分に皆同じ宇宙人のような格好でロビーに集合し、スクールバスと書かれた送迎バスに乗り、氷の道を30分程走りオーロラ観測所に到着する。
NO.5のオーロラ・キャビンに落ち着いて、時々夜空を見上げながらオーロラの出現を待つ。北斗七星やオリオン座等の星が大きく、はっきりと夜空を飾っている。オーロラ展望台とキャビンを何回か往復し、夜食のトナカイのシチューを食べたり、売店で記念品やお土産を買いながらオーロラの出現を待ったが12時50分の出発時間まで、ついに出現しなかった。12時10分頃添乗員の福島さんとツアー客一人が皆さんの拍手の中、エドモントン経由で遅れて到着し、彼等は2時過ぎまで観測所に滞在した為、オーロラに出会ったらしく、何が幸運を招くかわからない。
送迎バスで1時30分にホテルに帰り、寝酒のオールドパー、粉茶、持参の小うどん、どら焼き等で夜食を食べ、2時半までおしゃべりをしながら、明日の幸運を期待する。

1月5日(土)晴
10時半に目覚めると、昨日とはうってかわって快晴である。ホテルのダイニング、Barkley'sで11時半過ぎからバイキング形式のブランチを食べる。
1時半から2時間程の予定で、バスで市内観光に出かける。外気は-20℃であるが、風があるので体感気温は-30℃位にはなっているらしい。バスの窓には内側に氷が張り付いて、硬いカードののようなものでしょっちう氷を落としていないと、窓外の景色が見えない。
先ずはKam Lake Rd.を街の南に向かって進み、Dog Sled Ridesで犬ゾリ用の犬の飼育所を見学する。ここには200頭以上の成犬や子犬が飼育されており、1頭の値段は40万円〜120万円もするそうである。明日の午後はここから犬ゾリ体験に出かける予定である。
次は街の東側にあるGreat Slave Lake に向かい、途中で白色の保護色になったパーミガン(ptarmigan,雷鳥)に2回程出会う。このような人里近くに出てくるのは珍しいとのことで、その度にバスの運転手がバスを止めてサービスしてくれた。
Great Slave Lakeは琵琶湖の42倍程の広さがあり、凍結した湖面に道路が作られていた。現在では凍結が十分でない為、Ice Roadは大型車の通行が禁止されていた。凍った湖面に立つと、見晴らす限りの銀世界で、気温-15℃の空気が肌をさして頬が痛い。
オールドタウンや湖を見下ろす高級リゾート地域の別荘等を見物してダウンタウンに戻り、3時半にホテルに帰ってきた。
ダウンタウンは碁盤の目のようで分かりやすい。ホテルの前の道をしばらく歩くと、フランクリンAve.との交差点に出る。この通りが唯一信号機のある通りである。地図で調べておいたセンター・スクエアモール、エクストラフード・スーパーマーケット、パンダモール等で珍しい極北の美術品や工芸品を観賞し、ショッピングを楽しむ。街や店は土曜日にも関わらず、人出は少なく、疎らである。
夕食は7時からホテルのレストランで北極イワナのソース焼きを赤ワインで頂く。ツアーの中に今日誕生日を迎えた女性が居て、7日が誕生日の私と二人にローソクの点ったケーキを頂き、お祝の歌をプレゼントしてもらう。お陰で健康な64才を迎えることができそうである。
8時50分にロビーに集まり、バスで昨夜と同じオーロラ・キャビンに出かける。今夜は時間を延長して、2時半までの予定である。キャビンで待つこと2時間あまり、11時半過ぎから頭上にオーロラが現れた。一筋のオーロラが二筋になったり、渦巻きになったり左右のオーロラが繋がったり、いろいろな形と微妙な色の変化を1時間半程楽しませてくれた。写真を撮りながら、時々首の運動をして見上げる度に違った形をした地球と太陽の贈り物を堪能した。
明け方の5時過ぎには、ホテルの窓越しにオーロラが見えたそうであるが、残念ながら見逃してしまった。

1月6日(日)晴
9時半に起きる。窓外は暗く、コーヒーを飲んでいると、東の空が明るくなり、夜明けである。ちなみにこの時期、夜明けは9時35分頃、日の入りは4時頃で、最高気温は-25℃、最低気温は-35℃だそ
うである。
10時半過ぎからホテルを出て街のレストランにブランチに出かける。日曜日の午前中とあって人出もまばらで、店もシャッターを下ろしているところが多い。
センター・スクエアモールに隣接したYellowknife Inn Hotelの2階に開いているLatitudes Restaurant & Bistroを見つけ、ベーコンエッグ、フライドポテトなどでボリュームのあるブランチをする。
2時から犬ゾリ体験に出かける。バスで20分程のところにある、昨日見学したDog Sled Ridesに向かう。6人乗りのソリを16頭の犬が引き、氷結した湖の上から周りの銀世界を眺め、極北の肌に痛い風を顔面に受けて約7kmを20分程で走る。犬1頭120万円として、約2,000万円の乗り物である。帽子、マフラー、手袋等で防寒していたが、帰って来ると帽子には氷が着き、カメラのレンズは凍りついていた。気温は-20℃ということだが、体感気温は-30℃以下とのことである。
3時半過ぎにホテルに帰って来ると、女性群二人はホテルの向かい側に見えるプリンス オブ ウエールズ博物館に出かける。私は街の見物に出かけ、市庁舎、警察署、銀行、郵便局、酒屋等を訪ね歩く。ホテルに帰って来ると4時半頃で、地平線に真っ赤な夕日が沈むところで、周りの空を赤く染めていた。
6時半からホテルのダイニングで夕食である。私はアルバータ牛のプライムリブ、女性二人はカリブ−のシチューを選ぶ。
8時半頃ホテルの外に出てみると、満天の星空で、今晩もオーロラが期待出来そうだ。バスで9時半にオーロラキャビンに着くと、既にオーロラが出ており、展望台に直行する。薄くなったり濃くなったりしながら、いろいろな形に変化するオーロラを今日はASA800のフイルムを使って撮影する。観賞時間が終わりに近ずく頃、オーロラが消えたので、キャビンに帰り、北極イワナのシチューとバロックパン、コーヒーで暖まる。
ホテルへ帰るバスの中から今までとは違った、カーテンのようなオーロラが左右の窓越しに現れ、いろいろな色に変化して楽しませてくれた。太陽の風プラズマにより起こる神秘の光 オーロラを堪能した余韻を残してバスはExplorer Hotelに到着した。

1月7日(月)Yellowknife−曇、Vancouver−雨
4時半に起きて、30分おきにホテルの外にオーロラを見に行くが、ついに現れなかった。暗闇の中、6時50分にホテルを出発して、

空港に向かい、8時25分に到着する。
First Air888便は定刻よりわずかに遅れて、8時20分に離陸し、雨のVancouver空港のB−11Gateに9時55分に到着した。
国内線ゲ−トから国際線ゲートに移り、出国手続き、セキュリティーチェックを受けると、出発のD−71Gateを確認する。2時間程の時間があるのでロビー内の売店や土産物屋をくまなく見て歩き、生ビールとソフトクリームで喉を潤す。
Air Canada AC0003便はほぼ定刻の13時45分に離陸すると、穏やかなフライトを続け、日付変更線を越え、成田空港上空で待機飛行をしたにもかかわらず、定刻の17時に到着した。

1月8日(火)
入国審査は今までになく混雑しており、どうやら帰国ラッシュに会ったらしい。荷物を託送する千葉のおばさんと分かれ、空港第2ビル発18時24分発の京成特急で日暮里、東京、武蔵小金井を経て9時に帰宅する。


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