すべてがFになる


 トリックは判らなかった。というより,位置関係が重要なんだろうけど, 細かいところは大抵読み飛ばしているので判らなかったんだけどね。
 ところで,BだのDだのFだの言ってれば,理系の人間なら,すぐ16進法だとわかると思うんだけど, なんで副所長しか気がつかないんだろう?

 16進法には愛着がある。
 昔,友人のIに教えてもらい,頻繁に使っていたソフトに「f−edit」というものがあった。 簡単にいうと,パソコンゲームのセーブデータの数値を変えるソフトである。
 このソフトでは,数値を16進数で表示してしたのだ。
 たとえば,キャラクターのパラメータを「80」から「100」に変更しようとした場合, 元々の数値80を16進数に置き換えると「50」になっている。 (16*5=80)
 これを「64」(16*6=96 + 4 =100) に書き換えればよいわけだ。
 このソフトを手に入れた頃は,数値を16進法でもっているゲームが多かった。 「天下統一」や「レッスルエンジェルス3」といったゲームを改造するためによく使っていた。
 序盤を読んでいて,このことを思い出して,非常に懐かしかった。

 「7は特別な数字」というくだりで,また別のことを思い出した。
 昔友人のYに聞いた話。
 何かを決断するとき,成功確率が何%以上なら実行するか,との問い。
 しばらく考えたが,70%だと思った。
 この70%,7割というのが,常人が決断するときの確率なのだそうだ。
 フランスの英雄,ナポレオン・ボナパルトは,60%の確率があれば,決断できたそうである。 常人と英雄のちがいは,この10%にある。
 また,確率は自分の判断で決めるものなので,楽天家は成功確率を高く見積もり,悲観がちの者は低く見積もるため, 誰でも同じ決断をするわけではないが,7割という数値は変わらない,のだそうだ。
 印象に残っていた話なので,思い出した。
 ちなみに,友人Yの決断確率は80%なのだそうだ。慎重な人間ということだろう。


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