H30 Maniax!

TexT 100%!

『平成三十年』単行本化の大予言

 ISIZEあちゃら 99年3月号の記事によれば、「(平成三十年の)問題の単行本化だが、朝日新聞によると現在準備中。堺屋氏は大臣職が多忙なので、職を解かれたときに加筆して刊行するらしい」ということだそうだ。

 ではその時、いかなる「新しい平成三十年」が誕生するのだろうか?


★ハリウッド超大作風『平成三十年』(表紙:生瀬頼義)

 駆け足で終わった最終章「夢か幻か」を大胆加筆修正。織田新党党大会の会場・沖縄に向かう専用機「オワリコン1号」を急襲する明智配下の空自戦闘機。広島の毛利に新党参加を説得していた木下にその報が伝わる。自家用機で単身、織田救出に向かう木下。だが、空自の最新鋭戦闘機に木下機は満身創痍に。残された最後の手段は、こんなことがあろうかと思ってオワリコンが極秘に開発していた核爆弾しかない。妻の平美、娘の成子への思いが、その後延々100ページくらい綴られる。党本部にいる成子への最後の通信、グエンくんと・・・平和で豊かな日本再生を果たしてくれとの最期の言葉が、テレビ電話を通じて語られる。オワリコン1号に追いすがる明智機。木下はその正面から、核爆弾と共に決死の特攻を果たすのであった。


★鯨統一郎風『平成三十年って何ですか?』

 全面改訂。堺屋本にしては珍しい、いきなりの文庫化である。舞台は都心の地下1階にあるダイニング・バー。バーテンの木下和夫は、カクテルは苦手だがフーズにはうるさい。産業情報省大臣・織田信介と美貌の才媛、あの惣流・アスカ・ラングレーも顔負けの強気な秘書の波多初芽は、今日も日本の政策談義に花を咲かせる。ところがフリーライター風の独身男・石田光男が奇想天外な政策を持ち出して横やりを入れる。初芽がジャケットを脱ぎ捨てる。今日も「政治バトル」の始まりだ。「消費税はどうして上がりましたか?」「自動車業界は累卵の危うきなのですか?」など、表題作を含めた6本の連作短編集。石田の決め手、カシスシャーベットが注文されるのはいつか?


★劇画『平成三十年』(作画:原哲夫)

 物語の開始期を西暦2000年まで溯る。平成12年、世界は「2000年問題」の炎に包まれた。既存のコンピュータ・システムが崩壊し、強いもののみが生き残る世紀末の時代。オワリコンの創始者・織田信介は、新方式のOS「WAVE」を開発し、暗黒の時代に光を点そうとする。織田と木下、初芽の旅が始まった。ホンコンからの謎の拳法使いチャーリー・チャン、日本制圧を目論む謎の外国人ルイス・フロイド、そして茶の湯の師匠千野利久など、様々な強敵に出会いながら、織田信介は愛を取り戻すことが出来るのか? 共同原作は武論尊。


Back to H30 Maniacs!