John Lennon



Anthology

(Capitol:1998年)





 94トラックにも及ぶ未発表音源、オノ・ヨーコによる手記、これは紹介しようか、正直迷った。何故ならここに収められているのは元ビートルでもなく、ただの「ジョン・レノン」という裸のアーティストの半生があるから。しかもそれは”妻”であったヨーコ=オノから見た、プライヴェートな一面から、彼の人となりを赤裸々に綴っている。興味のない人には「こんなの作品じゃない」と思うかもしれない。その通りだと思う。私だって別に彼のことを神のように崇めている訳ではない。でもこれを聴き終えて、ふと「彼はもうこの世にいない」と思うと、たまらない喪失感に襲われる。 死んだから伝説になったのか? 違う。彼が生きていたら、違う形でそういう価値観を破壊できたと思う。リアルタイムで聴いていなくとも、そう期待させるだけのものを、彼は持っていた。
 これは彼の為、ファンの為、そして家族の為に作った、とある。それだけで充分じゃないか。




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