コメント集

<〜露伴先生はここまでやる!!君もやれ!!〜>

フィクションである岸辺露伴が現実の漫画賞(第103回ホップ★ステップ賞)の審査員を務めるという、「岸辺露伴は動かない」の原作者設定につながる面白い企画。実際の掲載時には、描き下ろしのイラストが付けられていた。小さなフォントで記載した部分はそのイラスト内のコメント。

「ペンの筋肉」

これから漫画家になろうという君達に、この露伴のような天才テクニックを身につけるというのは、所詮無理な相談だが、せめて「ペン線」ぐらいは練習しなよ。君らは子供の時からエンピツばかり握っているから「ペン」の筋肉が腕にできてないんだな。野球選手が死ぬほど素振りするように、君らも死ぬほど練習することを勧めるよ。ま…やらなきゃあやらないでも、僕の知ったこっちゃないけどね。


『取材』

この漫画界に、この露伴の『漫画作法』を完全に理解できる人間などいないだろうが、『取材』ぐらいしないで、迫力あるストーリーを描けると思ってんのかね?つまりだ、頭だけで考えたことや想像力は体験して感動したことにはかなわないってことなのだ。ぼくに言わせりゃ、“SF宇宙漫画”をマジに描くなら、「宇宙に行って来い!」って事に行き着くな。それぐらいの心構えでやれってことさ。

このあいだ動物園で目撃したのだが アフリカゾウはシッコの時間が10分ぐらいだった。ズゥ〜〜としてんだもん。ビックリした。


『キャラクター』

登場人物(キャラクター)を生き生きと動かすにはどうしたらいいか?動くように(・・・・・)してやりゃあいいんだ。生年月日や出身地、趣味、好きなブランドなんかを決めてやりゃあいいんだ。ウソだと思うならやってみろよ、自然に動きだすから。ぼくはな、何も好きこのんでこんなトコで漫画のウンチクたれてんじゃあないぜ。すぐれた人材が育って漫画界が少しでも発展してくれればいいと願ってるからだぜ。マジメにやれよ。


『ディティール』

この岸辺露伴が、絵を描く上で、最もむずかしくてかつ(・・)楽しいのは「破壊」を描く時かな。たとえばガラスのコップを「破壊」する時その破片が一個一個「ジグソーパズル」のように断面が合うようにしなければダメだと思うんだ。ただ単に「ガラスが飛び散る」じゃあ、「ちゃちいマンガ」と思われてもしかたないぜ。そういう所にこだわらないで、「読者に対して申しわけない」と思わないかい!?




H★S賞選考結果大発表

露伴先生うならず!?なんと入賞なし!!!

キミたちの漫画には“リアル”を感じないよ!!

残念ながら、稀に見る低調さ!!
ついに佳作は出ず!!
露伴先生をうならせるところまでの作品はなかった!!

それなり(・・・・)の作品はあったけど、「これは!」っていうのはね…


審査員賞決定!!
岸辺露伴賞はこの作品 総合20点

(作者・作品名省略)

今回の選考の中で私の目をひいたのはこの作品だ!!

<講評>おもしろいよ、これ!!今回の最終候補作の中じゃ、僕の“イチオシ”かな。キャラもたってるし、セリフも鋭いものがある。ちょっとだけ“リアル”を感じたよ。たださあ、キミもう少し絵はていねいに描きなよ。作風には合ってるけど。 <露伴>


荒木先生の講評を終えて

今回のH☆S賞の選考は、私に代わって、私の漫画に対する態度・考え方の『分身』とも言える岸部露伴*に一任しました。ですから、今回は、私は彼が候補作に目を通している合間に、ちらっと原稿をのぞいただけだったのですが、結構読んでいて楽しい作品が多かったと思います。*編者注:原文ママ

<露伴先生の選考を終えて>

荒木君はずいぶん甘いことを言ってるようだな。だけど僕は思った通りの事しか言わないぜ。まず、今回気になったのは、絵柄がイイカゲンな作品が多かったことだな。もっとこだわらなきゃだめだぜ。ストーリーは、全体的にまあまあかな。残念ながら佳作をあげられる程の作品はなかったけど、しょうがないな。まあ、こんなとこだけど、これからの漫画界は君達にかかってるんだぜ。がんばんなよ。

1993年/週刊少年ジャンプ