ANNE BOLEYN Museum of Art

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「癒しの抱擁 NO.22」 ミクストメディア 27.3×22.0cm

門間 由佳 Momma Yuka

現代日本美術会会員

1993 女子美術大学絵画科洋画専攻卒業
1994 個展 ギャラリートーニチ 相模原・神奈川
1995 相模原芸術家協会展出品(以降毎年)
1996 個展 ギャラリーアリエス
1997 個展 ギャラリー華音留
1998 個展 日辰画廊
1999 個展 ギャラリーヴェルジェ企画
2000 個展 ギャラリートーニチ 相模原・神奈川
2001 個展 ギャラリーヴェルジェ企画
2002 個展 Oギャラリー
     近・現代の女性作家展 相模原市民ギャラリー企画
     絵になる瞬間 女子美ミュージアム企画
2003 個展 ギャラリーヴェルジェ企画
2005 トロントアートエクスポ
     個展 ギャルリーヴェルジェ企画
2006 個展 マキイマサルファインアーツ企画
2007 個展(ギャルリーヴェルジェ企画) 
     3人展 ぎゃらりー二桜舎企画
2008 Spectcl展 東和ギャラリー
     2人展「シベリアからそうぞうへ」 ギャラリー二桜舎企画
2009 Spectcl展 東和ギャラリー
     個展「華宝(かほう)」 ギャラリー二桜舎企画
     個展「無限億の泉」 ギャルリーヴェルジェ企画

[受賞]
2004 現代日本美術会特別賞及び会員推挙賞
2009 現代日本美術会年間優秀作家賞



門間由佳は、色彩の造形家である。粘土をこねるかのように色彩を扱い、手に伝わる感触とそれが生み出す気分を平面に現前させようとする。といっても厚く絵の具を塗り重ねるわけではない。

淡く繊細な色調で、

軽やかなものなのだが、それでも何か感触のような"気分"が伝わってくる。
だからロールシャッハ・テストのようにインクの染みを眺めながら浮かび上がってくるフォルムを語りだしてはいけない。またこれが現実にあるフォルムを解析し分解して得られた抽象だとして、もとの対象を復元しようと分析してもいけない。これは抽象絵画というよりも、

一種の具象の極地なのだと思う。

一見単純な色彩の構成に見えながら、四次元世界を三次元に、三次元空間を二次元平面に・・・、移し変えようもないものを次元を減じながら実現しようと計算している、恐ろしく欲張りな精神が充満しているのだ。

楽譜という平面図形を見ることで

音楽が思い浮かべられるように、眺めることによって手触りや気分を実感させようとしているかのようである。
そもそもフロッタージュ風の画面を眺めていて入り込む幻想の風景というものは、荒涼としていて、何か「地の果て」のような、若山牧水の「幾山川越えさりゆかば寂しさのはてなむ国ぞけふも旅ゆく」といった漂泊の思いにとらわれるものだが、門間由佳の作品は、心地よい景色を眺めながら初夏の微風に包まれるような気分になる。ほら、作品の題名の通り「癒しの抱擁」ではないか。
こういう作品を前にしたら、分析のカギとなる記号を探そうなどとはしないで、

目の前の色彩の心地よさに身をゆだねよう。

シャガールの絵ではないのだから子供の頃に見た祭りや街角の光景の記号や象徴なんか埋め込まれていない。色彩が醸し出す気分に浸って、彼女の得た感触やイメージのテレパシーを受信して、

色彩自体に陶酔すればいいのだ。



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