12月7日 ファカルティ交流戦

12月7日、三領グランドにおいてファカルティ交流戦が行われました。


チーム構成


  T.F.C. U-11

   5年生      4年生     3年生

    石黒 大智    植竹 祐人   美川 笙乃

             千葉 大夢

             斉藤 開輝

             石黒 秀輝

             設楽 大貴

             小倉 優希


試合結果(8人制、15分ハーフ)

  U-11

   T.F.C. ー ファカルティ

    2  ー  2     斉藤開輝 1  石黒秀輝 1



総 評

選手のみなさん、川口マラソンを走り抜いた後にもかかわらず、他チームの試合観戦によく参加してくれましたね。

また関係者の皆様の御好意により、試合までさせていただくことが出来ました。心より御礼申し上げます。

クラブ選手は現在「動きの質と量」をチームテーマとして取り組んでいます。今回の試合観戦で見るべきポイントはただ一つ「身体の中心軸の移動とボール・相手との関係」です。それ以外の部分は一切関係無し、そこだけに注目して観戦していただきました。

サッカーの試合では、1つのボールをめぐり複数の選手が激しく仕掛け合う局面が頻繁に起こります。この局面を制する確率が高いチームがゲームを優位に進めることは、みなさんも実感出来るはずです。

今、練習でみなさんに求めている事は、この「局面を制する」確率を上げること、つまり個人としての強さを上げる事です。具体的には身体の中心軸がどういう状態なのかを意識することから始めました。

身体の軸というと、姿勢やバランス等の要素が入ってきますが、ここでは単純に身体の中心と考えてみましょう。

ボールと自分だけで遊んでいるレベルでは、自分の軸やボールとの距離なんて考えた事もないと思います。これに1人相手が加わると、1つのボールに対して2つの軸が存在することになります。こうなるとボールを保持している選手と奪う選手という場面が生まれてきます。普通に考えれば、軸がボールに近い方の選手がボールを保持している状態になります。この距離を維持していれば、オンの選手はボールをキープし続けられるでしょう。逆にボールを奪おうとする選手は、どこかでこの距離を逆転しなければなりません。

このような基本的な事は、ほとんどのクラブ選手は基準をクリアしています。しかしボールをキープしているだけでは良いサッカーは出来ません。今みなさんが取り組んでいる事は、相手を完全に抜き去ること、軸が入れ替わることですよね。この「軸が入れ替わる」アクションの時に、いくつか問題が発生しています。コーチが気になる項目をいくつかあげますと、

  1、軸を移動する、入れ替わる意識が足りない

  2、実戦で相手との距離感を考えないテクニックを多用する

  3、単純に身体のスピードが足りない

の3つです。


1の項目では相手に仕掛ける際に、ボールを動かすこと、テクニックに意識がいきすぎて、自分の身体が動くこと、相手の身体を動かすことが中途半端になっています。今行っている事はボールテクニックで相手を翻弄させる事ではありません。ボールスキルは必要ですが、相手を動かすという事は、自分の軸を移動させて相手を誘う動きのことです。ボール無しのステップワークだけでも楽に「軸の入れ替え」が行えるように意識しましょう。

また、相手を「抜き去る」意識が弱く、「かわす」だけのプレーが目立ちます。実戦では技をしかけるも相手選手に軸を寄せられ、シュートやパスを身体に当てられてしまい、コースが変わってしまう場面も多く見受けられます。最悪の場合は自分の軸とボールの間に身体を入れられ、ボールを奪われることもあります。自分の軸とボールの間には誰も入れさせない「懐の大きさ、強さ」も同時に獲得していきましょう。


2の項目は、実戦でみなさんが使うテクニックの選択の問題点です。「局面を制する確率」を上げるためには、「確実に速く」相手を抜き去る技術の選択が必要です。ですがこれに関しては、今年度から現在も取り組んでいる「自己表現」と矛盾する部分も含んでいます。

軸の移動という観点で、今はボールと自身の軸が確実に速く移動でき、その際相手の軸をボール・自分の身体に寄せさせない技術を練習しています。また、そのために必要な細かい要素やコツを半ば強制的に取り入れてもらっています。(笑) このようなテクニックのみを推奨することは、選手のみなさんにしてみれば、今までの努力を否定されたような感じで面白くないですよね。。

今年度「自己表現」を開始してからずっと、コーチは様々なジレンマを感じていました。試合の内容、結果が良くなかったり、それまで取り組んできたことがおろそかになってしまったり。。それでも「自己表現」は必要だと感じましたので、現在も継続しています。今ではどの選手も「○○ワールド」を感じさせるまでになりました。

しかし「軸の移動とボール・相手との関係」のテーマからみると、みなさんの選択する技術は「理にかなわない」ことが実に多いのです。今取り組んでいることの理解度が上がってくれば、みなさんも気が付くと思うのですが。。

「軸」にスポットを当てた当初、抵抗が最も強かったのは「大夢ワールド」「秀輝ワールド」でしたが、時間が進むにつれ、以外とすんなり成果が上がってきています。今一番気になるのが「大智ワールド」「大貴ワールド」かな。

2人ともスキルフルで個性豊かな選手ですが、共通するメンタリティとして「実戦にむかない」タイプに感じてしまいます。大事なPKでラボーナとか平気で使いそうだもんね。。ミニゲームでなら分かりますが実戦で「又抜き」や「半月ドリブル」といったボールと軸との距離を無視したリスクの高い技を連発します。「大智ワールド」に至っては、もはやスポーツではなく「芸」の域に達してしまっています。2、3人の相手にボールをさらし、回転してよけまくる姿はサッカーとは呼べません。何をしているのか意味が分からないよ。。今年度の実戦での彼の評価はほとんどの試合で0点です。(笑)

「実戦感覚」を伴わない「自己表現」は強制終了はしませんが、今後は推奨もしません。今まではパスもさせずに無理矢理いろんな事をさせていましたが。。これからは「使える自己表現」ということで。。これ以上ディープな世界に入り込む選手が出ないうちに。。

最初から効率的な技術を教えてしまえば済む話ですが、回り道をする時間の余裕があるのもクラブ選手の特権だと思います。4、5年生の大事な時期に、こんな事に時間を費やしている功罪については、10年後に再会した時にじっくり検証していきましょう。(笑)


3の項目については、単純にみなさんの身体能力のみにスポットを当て、可能な限りその能力を引き出したいと思います。正直に言いますが、実戦でうちのチームの身体能力のアドバンテージを感じたことは1回もありません。極端な話をすれば、10対0で勝ったチーム相手に「鬼ごっこ」や「しっぽとり」をしたら0対10で負けるような気がします。今度前半はサッカー、後半はしっぽとりで試合をしてみようかな。。

この部分で個人の成果が出れば、チームとしてもメリットが大きいと思います。実戦での気持ちの弱さ、安定感の無さは、身体能力の強さ・自信が無いために現れているなと感じることが頻繁にあります。またプレー一つ一つの安定感、確実性も身体能力に比例していると思います。試合で問題点や物足りなさを感じる時、原因を探っていくと「身体能力」に行き着くことが多いです。

50m走で1秒以上差がつく相手とサッカーをするなんて大変なことだよね。そのスピードの差を補う部分で結果を出し、それをアドバンテージに変えているみなさんは凄いと思います。しかし今回はそのアドバンテージの部分に逃げ込まず、純粋に自身のスピードに向き合ってみませんか。身体の発達段階や素質の差は、なかなか変えられませんが、無意識に出来る事、意識しないと出来ない事をリストアップしていくと、改善の余地は相当残されていると思います。スピードで成果を上げるためには、選手自身が意識的・積極的に取り組まなくてはいけません。コーチの用意したメニューをやらされているという感覚では、大した成果は得られないことは分かってもらえますよね。


新人戦や試合に向けた練習を全く行えていませんが、実戦ではきっちり結果を出してもらいますからね。もう時間がないのでチームワークや連携は諦めました。個人がやるべき事をしっかり行えれば、それで十分です。今はそれが一番大事なことだと思います。試合以外にも目標がある選手もいると思いますが、自分の良さを十分アピール出来るような準備をしておいてください。

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