(2007年8月6日)

文楽第107回公演(国立文楽劇場=大阪日本橋)
■第1部「金太郎の大ぐも退治」「解説 文楽はおもしろい」「瓜子姫とあまんじゃく」
■第2部「鎌倉三代記」「釣女」
(第3部は「伊勢音頭恋寝刃」他)

 いやー、久々の文楽です。
 観劇レポートも久々やな。昔のレポートをネット上に残していないので、ばるさんの観劇レポートは初めての人も多いやろな。いや、ここ見てる人自体が多くはないけどさ。

 夏の文楽は割りと子どもを意識しておられるので、3部構成。
 1部は11時から休憩挟んで1時くらいまで。子どもも多い。
 第2部は2時から休憩挟んで5時半くらいまで。
 第3部は6時半から始まる。
いやー、毎度の事ながらこの上演時間に頭が下がります。
私よりもはるかに年配の方々が重い人形を遣って、朝から晩まで、
これを二週間半ほど毎日されるんですから。
すごい!

 さて、久々だったので、いろいろな事を感じました。
まず、正直なところ人形の人が減ったなぁ。という事。
玉男さんが亡くなられてからは行ってなかったし、
しかも、この時は文雀さんも病欠。
蓑助さんは3部だけの出演だし。
1部2部だけではちょっとさみしい感じではありました。
 パンフを見返すと、一暢さんは確か亡くなったんやったかな。
作十郎さんは?ちょっとお年ではあったしなぁ。どうされたんやろ?
玉松さんの顔も見えないなぁ。まだお若かったと思うけど。
(若いといっても文楽の世界の基準でね。)

と、気になる人形遣いの方々が少し減っている印象を受けました。
勘十郎さん(←蓑太郎さん)が鎌倉三代記の女房おらち役を軽妙に可笑しく演じておられたのが印象的でした。でも、これから人形遣いの中心になっていかれるであろう勘十郎さんのもう少し重い役をしっかり演じられる姿も見たかった。(夏の一公演を見ただけで言うのもなんですが)
玉女さんが三代記の安達藤三郎を演じておられましたが、なんとなく以前の玉女さんより元気がない気がしました。この三代記は初めてみたんやけど。玉女さんのすぱっと元気な芝居が好きなんですが。
時姫役の紋寿さんはさすが。お姫様が庶民の暮らしに下りてきて起こるズレをテンポを守って面白く演じておられて、安心して見られました。(なんて私が言うのもおこがましいですが)

 釣女では太郎冠者を文吾さんが演じておられて、少しもったいないようではありますが、さすが的確に面白かった。
 で、醜女は文雀さんの予定だったのが和生さんの代役でした。和生さんも、もちろんきっちり面白く演じておられましたが、この役を文雀さんだったら、どう演じられたのか、ちょっと見たかったな。

さて、中身ですが、
2部はしっかり時代物の鎌倉三代記。絹川村の段は女性の姿が楽しく描かれている笑いの場もあって、いかにもな時代物の「実は・・・」もあって、それなりに楽しめました。釣女は狂言からの移入なので全編可笑しく、分かりやすいし。
1部、金太郎の大ぐも退治は初めて観たかな。
大ぐもシーンの大ぐも大きく、照明もハデではあるのですが。
大ぐもの動きはもっと迫力出せるのではないかと思った。まあ、これは人形劇やっている者として、この手の文楽からするとイレギュラーな人形なら私らの方が扱えるかもね、という気持ちもこめて。
スモークも焚くし宙吊りもあるし、ハデでした。
けど、金太郎が成人サイズで真っ赤な顔。どうなんやろ?そろそろ坂田の金時を名乗っていい頃の年齢やと思うんやけど、この真っ赤。はずかしぃ。
えっと、この曲は赤鬼・青鬼・金太郎とちょっと普通でない人(?)が出てくるけれど、頭の仕上がりがもう少し美しくあって欲しいと感じました。なんやろな?以前の酒呑童子とか西遊記モノの方が人形頭の仕上がりが美しかったように思う。
で、宙吊り、まあ宙吊りには深い意味付けは求めない方がいいのかも知れないが、この話で終盤に鬼童丸が宙吊りで逃げると言うのは、ちょっと無理やりな気がしてしまった。
今まで観た宙吊り、五天竺でゴクウがとか、茨木童子がとか、よりも無理やりな感じがした。
うーん、負け逃げやからかな。茨木童子は確か腕を取り返して飛び去ったっけな?
ちゃんと憶えちゃいないけど。
 「解説 文楽はおもしろい」はいろいろ解説と、最後は三人の子どもを舞台に上げて人形を三人で遣ってもらうという大サービス。昔やったら考えられないなあ。体験できた子はむちゃラッキーやな。しかも足に当たった子は去年も当たって足をやったらしい。うーん、確かに初めてにしては微妙に上手かった。割とちゃんと歩いていたし。よく観に来ているのかもね。主遣いの子は「重かった」という感想。そうでしょう。そうでしょう。よくやった。
 「瓜子姫とあまんじゃく」は嶋太夫さんの義太夫が表情あって、丁寧な作品に仕上がっていた。これは、前にも観た気もするけれど、木下順二作品では「赤い陣羽織」の方がおかしくて好きやなぁ。

 そう、太夫さんは瓜子姫の嶋太夫さんが表情あって、
伊達太夫さんも鎌倉三代記で熱演されていたし、
 好きな三味線、富助さんも鎌倉三代記でエエ音出してはったし、
良かった、良かった。

と、いろいろ偏ったレポートでした。

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