でんしゃのしくみ

第2回・車両のしくみ・その1


はじめに

 さて、今回はみなさんが普段利用されているであろう、「電車そのもの」すなわち車両について書こうと思います。基本的なしくみというと…

電車の概略図

 上の図に示したように、架線からパンタグラフで電流をとり、その電流を制御装置で調節して主電動機(モータ)を回します。主電動機の回転は減速装置(歯車)を経て車輪に伝わります。この回転で走るわけです。

電気で走るってことは…

 本来、電流は+(プラス)から−(マイナス)に流れることになっていますが、ふつう架線は1本しかないのでこれでは電流が流れ出る場所がありません。実は、車輪からレールに電流が流れるのです。たとえば架線を+極とするとレールは−極になるわけです。
 架線から流れてくる電流ですが、路線によって直流(電流の向きが変わらない)と交流(電流の向きが周期的に変わる)があります。交流とは家庭に来ている電気(商用電力)と同じ様なものです。関東では50Hz(1秒間に50回電流の向きが変わる)、関西では60Hzであることは有名ですね。電力会社から供給される電力はふつう交流です。いっぽう直流と言えば、電池で動く電化製品(たとえばひげ剃りとか)を想像してもらうと良いです。この手の電化製品には電池がないときにも使うための「ACアダプタ」というものがあります。これは家庭に来ている電力(交流)をその装置で使える直流に変換するためのものです。
 鉄道でも同じ様なもので電力会社から供給されているのは交流です。ところが電車を動かすには直流の方が都合が良かったのです。理由はあとで説明しますが、ミニ四駆等のモータを使った車などが乾電池で動いているということと同様です。
 ここで電車のための「ACアダプタ」に相当するもの、すなわち変圧器と整流器が必要になるわけです。

直流電化のイメージ

大都市圏では必要な電車の数が多いので、変電所でまとめて必要な電力(直流)を作るようにしています。このようにすることで、電車の製造コストを下げることができるのです。

交流電化のイメージ

 一方、交流の場合だと変圧器や整流器が各車両に搭載されていることになるわけです。この場合だと変電所の設備は単純になり、電化に要するコストが安くなります。その反面電車自体の構造は複雑で、高価になってしまいます。そのため地方の幹線のように走る電車の数が少ないような路線は交流電化となるわけです。

 長距離を走る列車の場合は直流区間〜交流区間にまたがることもあります。このような列車は両区間で走ることが出来るように、交流用の装置と直流用の装置の両方が搭載されています。交流・直流の切り替えは、主に走行中に行います。直流区間から来た列車は電流の流れていない区間(デッドセクションと呼ぶ)に入り、その区間を通過している間に運転席にあるスイッチを操作して装置を切り替えます。デッドセクション通過時は電力が供給されないので車内の照明なども一部を除いて消えてしまいます。しばらくするとデッドセクションは終わり、交流区間に入るわけです。それと同時に照明もつきます。交直切り替え

まとめると

☆車両のしくみ・その2に続く予定。


第1回・信号のしくみもご覧になれます。

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